作品タイトル不明
第944話 ドゴールさんとマグノリアさんの結婚式(4)
ウェディングドレス作成は、着々と進んでいる。皆、綺麗なものは大好きだから、黙々と縫っては、確認を繰り返している。
しかし、毎回、マグノリアさんを呼び出すのもということで、ドワーフの中でも木工が得意なエトムントさんに、木製のトルソーを作ってもらった。おかげで、かなりはかどっているらしい。
縫っている途中のものは、子供たちが触れたりしないように、村長であるネドリさんの屋敷で預かっている。
そんな中、マグノリアさんだけではなく、せっかくならフェリシアちゃんのドレスも用意しよう、ということになったのは自然な流れ。
マグノリアさんチームとフェリシアちゃんチームに分かれて、盛り上がっている。
だったら、ザックスくんや新郎のドゴールさんは? となるのだが、二人とも、スーツの写真を見て、最初はプルプルと首を振ったのだそう。
『そんないい服、着ていけるところなんかない』
『もったいない』
そんなことを言ったら、ウェディングドレスだって、着ていくような場所はないだろう、と思うのだが、それはそれで、綺麗なマグノリアさんは見たいらしい。
その隣に立つ人が、冒険者な格好でいいわけがない。
なんとか説得して、ドゴールさんだけはスーツを作ることにした。
生地は毛梳きチーム自慢のホワイトウルフの糸で作ったものを、黒く染めた。最近では、ジジババの腕がかなり上がって、薄い生地も織るようになっているそうだ。
ザックスくんは、助かった、と言ってるらしいが、そのうち貴族相手に仕事をするようなことがあったら、正装用の服もあったほうがいいんじゃ? とチラリと思った。言わなかったけど。
そんな結婚式の準備で盛り上がっている村に、前レミネン辺境伯様から手紙が一通届いた。
宛先はピエランジェロ司祭。
もとから、時々、マグノリアさんの近況をレミネン辺境伯様には連絡をしていたそうで、今回、マグノリアさんの再婚についても知らせていたらしい。
前レミネン辺境伯は、マグノリアさんにとっては伯父にあたる方だそうだけれど、肝心のマグノリアさんが、会ったこともないんだけど、と困った顔で言っていた。
その前レミネン辺境伯と夫人が、この村にやってくるらしいのだ。
「また、お貴族様か~」
「はははは」
私は村の様子を見にきたついでに、寺子屋から出てきたピエランジェロ司祭と立ち話をしているところだ。
私がうんざりしたような顔で言うものだから、ピエランジェロ司祭も申し訳なさそうな顔で笑っている。
基本的にはお付きの人がいるだろうから、お世話するほどではないだろうけれど、めんどくさいなぁ、と思うのは仕方がないと思う。
「これは、早いところ、サントスさんが戻ってきてくれることを祈るしかないか」
「まだ、ドレスも縫い上がっておりませんし、こちらから連絡を入れてから移動されるでしょうから、余裕はあるかと」
実際のところ、王都についたサントスさんから、宿屋をやるために何人か連れていきます、との連絡がピエランジェロ司祭のところにはきている。
――連れてくる人たちが、問題ない人だといいんだけどねぇ。
少し心配に思いつつ、私はピエランジェロ司祭と、最近の子供たちの話をするのであった。