作品タイトル不明
第937話 ばあ様周りを整えよう(4)
ユグドラシルのばあ様の元には、二、三日に一回のペースでガーデンライトを挿しに行った。同行者はマリンと、テオとマル。
『ヒロゲルクン』で『整地』したおかげで、スーパーカブを使って移動できるようになったのでだいぶ楽になった。そのスピードについてこれるマリンたちがいてくれたので、挿していくスピードもアップ。
気が付けば最初に野営した場所までたどり着いていた。一人でやっていたら、もっと時間がかかっていたと思う。
ガーデンライトを挿し終えて気分上々で、私たちはユグドラシルのばあ様の元へと戻ってきた。
『おや、おかえり』
ばあ様の声に、目の前のユグドラシルを見上げる。
「ただいま。やっと、終わりましたよ~」
『あのあかるいやつかい』
「そうそう」
『ほほほ~、それはおつかれさまだったねぇ』
スーパーカブをタブレットに『収納』して、私たちは村へ戻ろうと『どこでも〇ア』を設置してある裏手へと移動する。
「おお~、こっちもだいぶ綺麗になったね」
来たばかりの時は草ぼうぼうだった場所が、今ではすっかり雑草は刈られて薬草畑になっている。
「あ、サツキ様!」
「やほ~」
薬草を採りに来ていたベシーが立ち上がって挨拶をしてきた。
「一人で来たの?」
「あ、はい」
「え、危なくない?」
ユグドラシルのばあ様の根元とはいえ、周りには強い魔物がいる場所だ。この前、オババさんに草刈りを拒否されてから、私のほうでもまだガーデンライトも挿していない。
そんなところに、獣人ではない人族のベシーちゃんが一人とか、危険極まりない。
「一応、ギャジーじいちゃんから、魔物除けを貰ったんで、畑の周りに置いてあります」
あれです、と言って指さした先には、手のひらサイズの黒っぽい円柱が置いてあった。
ギャジー翁の魔物除けならきっと大丈夫なんだろうと思うものの、若干の不安も感じてしまう。
『ほっほっほ、わたしがおる。こどもらはだいじょうぶさ』
「ばあ様」
『このわたしのあしもとであれば、まもってやれる。そこからでてしまったら……それはじぶんたちでなんとかしてもらわんとな』
「……ベシーちゃん、まだかかるの?」
「そうですね」
困ったような顔のベシーちゃんは、地面に置いてある籠の中を見ながらそう返事をする。
「五月、大丈夫よ」
「マリン」
「気になるなら、私も一緒にいるよ」
「サツキ様、ぼくらもベシー姉ちゃんのお手伝いしてくよ」
「してく」
テオとマルまで言ってくれた。
「ほんとに気を付けてね」
「はーい」
私は気になりつつも、そのまま『どこでも〇ア』を開いて村へと戻った。
* * * * *
マリンは五月を見送ると、薬草畑の周りをゆっくりと歩く。
テオとマルはベシーのそばへ行き、どの薬草を採るのか聞いている。
――五月が心配するのもわかるけどね。
実際、すぐ近くではなくても少し離れたところで大きな魔物がうぞうぞ動いている。
――あの魔物除けも、そこそこ強力だし。大丈夫だと思うけどね。
うーん、と背を伸ばしながら、森側のほうへと厳しい目を向けたマリンであった。