軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第899話 再び、ケセラノの街

結局野営地には、なんだかんだと5日ほど滞在した。

その5日でユグドラシルのところまで届くわけもなく、さすがの私もギブアップ。一旦、家に帰ることに。

ただ、冒険者ギルドに犬獣人の村の報告をする必要があるだろうと、ケセラノの街に立ち寄ることになった。狸獣人の村は寄っても意味ないだろうとエイデンたちが言うのでスルーした。仕方ないと思う。

ビャクヤたちは野営地の周りを見て回るということで、そのまま残ってくれた。

私も準備を整えたら、もう一度戻ってくるつもりだ。

「早かったですね」

ケセラノの街に残っていたガイシャさんとテオ。

ネドリさんとガズゥでアースドラゴンの調査をするという話だったから、確かに5日で戻ってくるのは早いのかもしれない。

「ああ、色々あってな」

疲れた顔のネドリさん。それは私もガズゥも同じ。余裕の表情なのはエイデンだけだ。

私たちは今、ガイシャさんたちが泊まってる宿の食堂にいる。ここはボドルさんたち『疾風迅雷』の定宿にしているところなのだそう。

ガイシャさんたちとは、彼らが今日の依頼を終わらせて戻ってきたところで、街の外で遭遇したのだ。

昼時を過ぎたところで、食堂の人は少ない。私たちは遅い昼食をいただきながら、お互いの状況を確認しているところだ。

――さすが、獣人の国だけあって、お肉モリモリだわ。

軽めにお願いしても私には多すぎたので、スッとエイデンの方へ差し出せば、何も言わずに受け取ってくれた。

――この流れが普通になりつつあるなぁ。

心の中で、苦笑いをする。

肝心のボドルさんたちは、ケセラノの冒険者ギルドの依頼を早々に終わらせて、ちょうど昨日村に戻るためにケセラノを出たらしい。強面の彼らが、どんだけ家に帰りたかったのか、と思ったら、ちょっと笑えた。

そしてガイシャさんとテオは、地道に依頼をこなしていたそうだ。

「やっぱり、なかなかみつからないんだよ」

テオが口を尖らせながら、ガズゥに報告している。

「時季が時季だからな。それでも、テオのことだから、けっこう見つけてるんだろ?」

「へへへ。まぁな」

ガズゥの言葉に、ニカリと笑うテオ。

この二人のやりとりだけで、ほっこりする。

「俺たちは冒険者ギルドに行ってくるが、五月はどうする?」

気が付けば私の渡した皿は空になっている。さすがエイデン。

「ん~、街を見て歩きたいのは山々なんだけど、止めておこうかな」

さすがに疲れてしまって動き回る気力はない。

ギルドでの話がどれくらいかかるかわからないので、今日はこの宿で一泊することになった。

「まさか、ネドリがうちの宿に泊るなんてね!」

宿屋の女将さん(蛇族という種族らしいけど、普通に人と変わらないように見える)が、嬉しそうな声をあげている。さすが有名人なネドリさんである。

ネドリさんだってケセラノの街に来たことはあるだろうに、と思ったら、ネドリさんがよく泊っていた宿は廃業になってしまっていたらしい。

「あの宿はいい宿だったんだけど、跡継ぎがいなくてねぇ」

羊獣人の老夫婦がやっていたそうで、そのまま宿を畳んで街の外れで暮らしていたが、寿命だったのか、二人ともまもなく亡くなったのだそう。

「さぁさぁ、しんみりした話はここまで。で、部屋はどうするんだい? そこのご夫婦と、ネドリのとこと、二つでいいかい?」

「は?」

「おや、そちらのお嬢さんと黒い旦那は夫婦じゃないのかい?」

「ち、違いますよっ!」

「(お、俺は同じ部屋でも……)」

「なんか言った?」

ジロリと睨むとエイデンはスイーッと目を逸らした。

――エイデンと夫婦に見えるとか、無理でしょ。

私は、大きくため息をついた。

* * * * *

エイデンと五月のやりとりを、後ろで見ていたネドリ親子とガイシャ親子。テオを除いた三人の目は生温い。

「ねぇ、サツキさまのみみ、あかくない?」

「……そうだな」

「なんで?」

「……なんでだろうな」

「テオ、それはシーッだ」

「ガズゥ」

「シーッ」

「……わかった」

わかってないけど、わかったと応えるテオの頭をガイシャがグリグリッと撫でた。