軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第896話 エイデンたちの帰還

タブレットを手にした私の目の前を、一気に木々が薙ぎ払われていく。

そう、《《薙ぎ払われて》》いるのだ。

風の精霊王様が右手を払うように動かすたびに。

ギョエッ

ピアーッ

キキキキキッ

木が倒れるたびに、魔物なのか、ただの動物や鳥なのか、鳴き声が響く。

――いいのかなぁ。いいんだろうなぁ。精霊王様がやってるんだしぃ。

遠い目になりつつ、タブレットの『ヒロゲルクン』で紅葉の苗を植えていく。私が前に進むと、後ろで紅葉がミシミシと音をたてて成長しているのがわかる。

「あんまり無理させないでね~」

『わかってるー』

『でも、ここの土の子たちがやる気だからさー』

最初の頃は野営地で弱々な光しかともせなかった光の玉たちが、ビガビガにやる気に満ちているのだ。(遠い目)

私は何をしてしまったのかなぁ、と思いつつ、精霊王様の後をついていく。

しかし、私の足で進める距離にも限度というものがある。

タブレットの地図を見ると、野営地からちょこんと小さな角のように出ている白い部分がある。おそらく、この尖った先に私たちがいる感じだ。

そして、目的地のユグドラシルのあるところまではかなりある。この距離を歩いて行くのは絶対無理だろう。

すでに日も落ちてきた。

「精霊王様、一度、戻りませんかー」

私の声かけと同時に、ズドドドドッという音とともに木々が倒れた。倒木の音の大きさに、私の声は届いたか心配になったが、しっかり聞こえたようで、風の精霊王様は振り向いて頷いた。

『そうだな。それに、そろそろエイデンたちも戻ってきそうだ』

「え、ほんとに?」

『ああ……と言っているうちに、ほら、あそこの黒いのがエイデンであろう(まったく、心配性だな)』

クスクス笑う精霊王様や精霊たちと一緒に野営地へと戻ってみると、エイデンだけではなく、ネドリさんとガズゥも戻っていた。

出しっぱなしにしていた折り畳みの椅子に腰かけて、それぞれに気の抜けた格好で座っている。

「……お疲れだね」

「うむ」

「あははは」

「……」

私の声に力なく反応する大人二人。ガズゥにいたっては返事もできないくらい脱力している。

「精霊王様たちは?」

私の声に、ネドリさんとガズゥは真っ白な顔色に変わり、エイデンはエイデンで一層不機嫌そうな顔になった。

「……何があったの?」

「精霊王たちは今回の元凶のエルフを探しに行った」

「エルフ……?」

「今回、精霊たちの力を奪っていたのは、犬獣人たちの村だったんだ」

「もしかして、そのエルフって彼らに奪う方法を伝授したとか……」

「ああ……かつて、犬獣人の元に立ち寄った年老いたエルフが、魔法陣をいくつか残していったらしい」

眉間に皺の寄ったエイデンの様子から、これは長い話になりそうだ、と思った私。

「詳しい話を聞かせて欲しいけど、まずは、ご飯にしようか」

「う、うむ」

ご飯というパワーワードに、エイデンたちは一気に顔色を戻す。

――ちょっと気合をいれて、豪華にワイルドボアのステーキでも出そうか。

私はタブレットの『収納』をチェックし始めるのであった。