軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三十五話 ダンジョンの断罪3

「何があったんだ?」

俺は取り乱し、三人に尋ねた。

「……俺がここに転送されたときにはすでにこの状態だった」

ガルドが答えた。

斥候であったリネットも、まさかダンジョンの入り口自体にトラップが仕掛けられているとは思いもしなかったのだろう。

もちろん俺もそんなことは想像もしていなかった。

クローデリアがリネットに近づき、調べようと身をかがめると、リネットのいた床が光った。

クローデリアは後ろに素早く飛び退いた。

するとリネットの身体は石の床に沈み込んでいった。その様子は、まるでダンジョンがその死体を捕食しているかのようだった。

「このダンジョンは普通じゃない」

同じパーティーのメンバーを失ったセシルはショックを隠せないようだった。

「斥候を失ったのは痛いな」

ノクティアが俺たちが直面している現実を突きつける。

トラップだらけと思われるこのダンジョンで、斥候を失ったのは大きな痛手だ。

「それでも進むしかないだろう。後戻りももうできそうにない」

ガルドが言う。

「ダンジョンから出るには、ダンジョンを攻略するしかないってことね」

クローデリアが冒険者らしい解決案を提示する。

しかし、「反断罪戦線」はなぜこんなところに聖女エリシアを監禁したのか……?

いや、簡単なことか。侵入者はダンジョンに簡単に撃退され、エリシアは簡単に脱出ができない。行き来するためには、彼らだけしか知らない秘密の方法があるのだろう。

こんなダンジョンでは俺の断罪スキルなど、文字通りゴミスキルだ……おそらくジークフリートは、俺に反断罪戦線の首魁を見出させるために俺を探索隊に入れたのだろうが、そこにたどり着く前に死んでしまう可能性も高いのではないだろうか。

「あなたは私が必ず守るから大丈夫」

クローデリアが不安そうにする俺にそう声をかける。

そうだ。俺にはクローデリアがいる。

それに、聖女エリシアを誘拐・監禁し、俺の大好きな断罪を否定するようなやつらを野放しにしておくことなどできない。

「進むぞ」

俺は静かに、しかしはっきりとそう宣言した。

「断罪迷宮デスホール」はトラップだけのダンジョンではなかった。

俺たちがダンジョンを奥へ進むと、強力そうなモンスターにも数多く遭遇した。

ただ、「剣姫」クローデリアがいずれも瞬殺してしまうので、本当に強力なのかどうかは不明だった。

クローデリアのおかげで順調に進むため、どこかで油断していたかもしれない。トラップらしいトラップもなく、ダンジョンの最奥に向かっているのだと信じこんでいた。

モンスターもいないのに、クローデリアが足を止めた。

「何か来る……。後ろ」

まさにクローデリアの後ろにいた俺はどきりとする。石造りの地面から震動を感じた。続けて、遠くから轟音が近づいてくる。

俺は後ろを振り返る。そこには何もなかったが、地面の震動と、轟音が次第に大きくなってきていた。

やがて目に飛び込んできたのは、球状の巨石だった。

巨石は転がりながらまっすぐこちらに向かってくる。左右は石壁に囲われ避けようがない。前に走ったところですぐに追いつかれるほどの速度だ。

動線上に、俺たちのほうに近づいていた巨大なオークのようなモンスターに巨石が衝突すると、嫌な音を立てて、その巨体が潰された。

巨石の勢いはまったく削がれていないようだった。

「おまえら、先に行け!」

ガルドが叫ぶ。

「先にって……どうするつもりだ?」

俺は思わずそう尋ねた。

「俺は 盾役(タンク) だ。おまえらを守るに決まっているだろう?」

「守るったって……」

「いいから行け!」

そう言うと、ガルドは後ろの巨石を待ち構えるように大盾を構えた。

ガルドを残し、俺たちは先を急いだ。

後ろで大盾と巨石がぶつかる音がした。

「うおおおおおお!」

ガルドの声がダンジョンに響き渡る。

「振り返ってはダメ」

ノクティアが言う。その声は震えていた。

「ぐああああぁぁぁ……」

ガルドの声が小さくなっていった。