軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

七十八話 今後の行動を考える

迷宮都市から泉の家に戻って来た。迷宮都市で用事を簡単に済ませると、ディーネが契約の為に噴水を作るように言って来た。何かくだらない理由が隠されている気がする。

「噴水を上手に作る事が出来なかったら迷宮都市で買って来るから、それでいい?」

「うーん、それだったら、お姉ちゃんの前にノモスちゃんとドリーちゃんが契約する事になっちゃうわー」

別に契約の順番で何かが変わる事なんて無いらしいのに、契約の順番にも 拘(こだわ) ってるよな。何がしたいのか良く分からん。

「うーん。噴水はそんなに必要なの?」

「絶対に必要なの。この泉の家の中心はこの泉なんだから立派なのが必要なの!」

そうじゃないと……の時に目立たない。ディーネが目立つとか何とかボソボソ言っているのが聞こえる。

「とにかく裕太ちゃん。お姉ちゃんのお願い。噴水を作って!」

なんか甲子園に連れて行って欲しいヒロインのような言い方だな。これはもう、作らないと収まらないんだろうな。

ディーネの目が何だか必死だし……。ディーネが水を噴出させるって言ってたから、形だけを作るのなら何とかなる……のか? 噴水を作るとか考えた事すら無いから、出来るかどうかの判断すらできない。

「分かったよ。でも本当にシンプルなのしか作れないからね」

「ありがとう、裕太ちゃん。お姉ちゃん嬉しいわ」

大喜びをするディーネ。こうも明け透けに喜ばれると、頑張らないといけない気になるから不思議だ。

「では、私はディーネとの契約と益虫の選別が終わってから契約ですね。ノモスより先に契約する事になりますが構いませんか?」

「ふん。構わん。順番に 拘(こだわ) るのはディーネぐらいじゃ。好きにせい」

ドリーとノモスが順番を確認しているが、こちらはあっさりと決定した。二人とも大人だ。

「あっそう言えば、ねえ、ノモス。迷宮でトゥルがミスリルの鉱脈を発見してくれたから、採掘して来たんだけど、ノモスならミスリルを取り出せるよね?」

「ミスリルか。簡単じゃわい。契約したらやってやるから楽しみにしておれ」

何も難しい事等ないって感じで簡単に請け負ってくれた。どのぐらいのミスリルが手に入るんだろう。ミスリルとか楽しみ過ぎる。

「ノモス、ありがとう。ドリー、畑の方はどうなってる?」

「畑の植物はまだ時間が掛かりますね。ですが土を持って来られたのなら、タマモが一気に成長させる事も可能ですよ」

……一気に成長か。野菜が無い時なら間違いなくお願いしたんだけど、迷宮都市で沢山野菜を買って来たからな。無理をする必要も無いか。余裕はあるんだからゆっくり野菜の成長を楽しもう。

「土は沢山持って来たけど、野菜も沢山買って来たから、畑の野菜はのんびり成長を待つ事にするよ」

「分かりました。のんびり様子を見守っておきますね」

「ありがとう。だいたい聞きたい事は聞けたから俺も休ませてもらうね。ああ、酒を買って来たけど飲むか? いくつか出しておくぞ」

「「「「飲む!」」」」

大精霊の声が綺麗に揃った。

「分かった。取り敢えずエールとワインだ。赤と白、両方いるか?」

当然のごとく 頷(うなず) かれたので、コップとエール、赤ワイン、白ワインの樽を出しておく。ツマミに迷宮都市で買った燻製肉も出しておいた。

「シルフィ。俺はキッチンで寝るから、悪いが移動拠点に風壁を掛けてくれ。あと、あんまり飲み過ぎるなよ」

「分かったわ。お休みなさい裕太」

お酒に目が釘付けだ。大丈夫かな? 一抹(いちまつ) の不安を覚えるも、今更取り上げる事も出来ない。まあ、精霊なんだし大丈夫だろう。

移動拠点に入り、キッチンに置いてあった岩のテーブルと椅子を収納して代わりにベッドを置く。 拘(こだわ) っただけあって、なかなかの迫力だ。

「ふおぉぉ。はねるー」「キュー」「なかなかのでき」「クーー」

ベル達にベッドへの初ダイブを奪われてしまった。可愛いから良いか。でもわざわざ魔力で干渉して跳ねるのはどうなんだろう? 取り合えず俺もベッドに寝っ転がる。なかなかの寝心地だ……何故か俺の上に乗るベル達……。

「今日は皆で一緒に寝る?」

「ねるー」「キュキュー」「いっしょ」「クーー」

取り合えずベル達を撫でながら皆で一緒に寝る事になった。興奮して 燥(はしゃ) いでいるベル達を何とか寝かしつけ、落ち着いてベットに横になる。

しかし地味にやる事が多いな。一度整理しておくか。

サラ達用の移動拠点の作成

噴水の作成

ディーネとの契約

益虫の選別

ドリーとの契約

土地の開拓 現在二十五分の六が完了

ノモスとの契約

木材の乾燥場所

サラ達のレベル上げ

ミスリルの抽出 ノモスとの契約が出来たら

ガラス製品の作成 同じくノモスとの契約が出来たら

こんなものか? なんか忘れている気もするけど、思い出したら追加しよう。また十日前後で迷宮都市に行くつもりなんだから、どのぐらい消化できるんだろう? まあ、コツコツと出来る事をやらないとな。

取り合えず益虫の選別からだよな。危険なのは申し訳ないけど処分しないと。 迂闊(うかつ) に此処に放すと天敵がいないぶん大繁殖……洒落にならないからな。頭の中で予定を考えながら眠りにつく。戻って来ても結構やる事があるな。

***

スッキリとした目覚めだ。なんかかなり熟睡出来た気がする。いつの間にか上に乗っていたベル達をそっとベッドにおろし……。

「ゆーた。おはよー」

そっと持ち上げたとたん、ベルの目がパチリと開き、ニパッっと笑って朝の挨拶をしてきた。その声につられたのかレイン、トゥル、タマモも目が覚めて、それぞれに朝の挨拶をする。みんな目覚めが良いな。

ベッドを収納して買って来たテーブルと椅子を設置して、サラ達の様子を見に行く。……まだぐっすりと眠っているな。朝食は起きてからで良いか。

サラが料理を習いたいって言ってたけど、暫くは時間が無さそうだから出来合いの物で済まさせて貰おう。手抜きを考えながら外に出る。

「……あー。もしかしてずっと飲んでたのか?」

外に出て見たものは、四人の大精霊がコップを片手に談笑している姿だった。エールの樽は外側が凍っているし、美味しく楽しんでいるようだ。

「あら、裕太。起きたのね、おはよう」「裕太ちゃん、おはよー」「おお、もうそんな時間か」「おはようございます。裕太さん」

なかなか気分が良さそうだ。ほろ酔いって感じか?

「みんな、おはよう。精霊にお酒の飲み過ぎが毒になるのか分からないけど、今度からは徹夜で飲むのは止めてくれ。子供も増えたから教育によろしくない」

サラ達が起きて来る前に片付けないと。大精霊の酒盛りとか説明し辛い。あっ、ベル達が周りを飛び回って樽とか覗き込んでる。精霊側の子供達には良くない光景を見せてしまったな。

「んー。確かにそうじゃの。子供に悪影響を与えるのは、大人のする事では無い」

そう言ったノモスが持っているコップをグイっとあおり立ち上がった。ノモスってドワーフみたいだから、お酒に執着するのかと思ったら意外と常識があるんだよな。

ノモスの声にシルフィ。ディーネ。ドリーも 頷(うなず) きお酒を飲み干して立ち上がった。

「裕太。ご馳走様」

「裕太ちゃん。お酒、美味しかったわ。またお願いね」

「そうじゃの。また頼む」

「裕太さん。御馳走様でした」

「うん。まあ、少し時間を置いてからね」

神様にお 神酒(みき) をお 供(そな) えするような感覚だから、お酒を渡すのは全然問題無いんだけど、目の前で飲んでるとなんか違う気がするよね。

コップを洗浄して収納する。続いて樽を収納しようと手に取ると、エールと赤ワインの樽が空になっている。白ワインは……五分の一ほど残っているだけか。四人でほぼ三樽……ザルだな。ちょっと恐ろしく思いながら樽を収納する。

「お師匠様。おはようございます。寝坊して申し訳ありません」

サラが慌てて走って来た。その後からまだ眠たそうなキッカをおんぶしてマルコも速足で近づいて来る……何をそんなに焦ってるんだ? フクちゃんもウリも一緒に飛んで来ているが、のんびりした雰囲気だ。何か問題が起こった訳でも無いんだろう。

あー、もしかして、師匠より遅く起きるとは何事だ! っとか言うやつなのか? ここは叱る場面なの?

……いやいや、ないな。悪いことをしたのなら怒るのは大事なんだろうけど、こんな事で怒っていたら俺の身が持たない。

「みんなおはよう。何時までに起きるようにとか言って無いから大丈夫だよ。しっかり眠って、起きてから頑張れば良いんだよ」

だいたい、この子達には夜にゾンビとか倒してもらう事になるから、朝も遅くなるだろうし、そんな事言ってたら大変だよね。お昼寝もさせておくべきかもしれないな。あっ、俺の声を聞いてビクッっとしたキッカが完全に起きた。なんか悲しい。

「は、はい。頑張ります」

サラがホッとした表情で返事をする。俺ってそんなに怖がられてる? ……まあ、 殆(ほとん) ど知らない人に死の大地に連れて来られたんだ。普通に怖いよね。俺も頑張って出来るだけ早く子供達の緊張を解きほぐさないといけないな。

「さて、じゃあご飯にしようか。当分は忙しいと思うから、出来合いの物で勘弁してね」

素人料理だから、出来合いの物の方が美味しい可能性もあるけど……ドラゴンステーキが気になるな。アサルトドラゴン、ワイバーン、ファイアードラゴン、マリーさんも滅茶苦茶美味しいって言ってたから楽しみは多い。

移動拠点に戻り食事をテーブルに並べる。屋台のスープにオーク肉とラフバードの串焼きとパン。スープが増えたぶん、食事が華やかになった。

……なんかちょっと涙が出そうだ。迷宮都市では普通に食べていたけど、死の大地でこのメニュー。もう焼き魚と蒸し魚と煮魚の違いに、食事のメリハリを感じる必要は無いんだな。

「あの、お師匠様。こんなに食べるんですか?」

サラが不思議そうに聞いて来る。

「精霊達のもあるからね。フクちゃんやウリは串が大変だから、サラとマルコが外してあげるように」

俺もレインとタマモの串を外してお皿に乗せる。サラとマルコも半信半疑で同じく串を外す。

「じゃあ食べようか」

俺の言葉にベル達が一斉に朝食に群がる。サラとマルコとキッカは呆然としている。姿が見えないんだから驚くのもしょうがないだろう。

「ほら、サラ、マルコ、キッカ食べていいんだよ。フクちゃんとウリも食べて良いんだから許可を出してあげて」

サラとマルコが食べて良いと許可を出すと。フクちゃんもウリも嬉しそうに食べ始めた。迷宮都市に行って、サラ、マルコ、キッカ、フクちゃん、ウリが加わって食事のメニューも増えた。揉め事はあったにしても、更に賑やかになった食卓を見ると悪くない結果な気がする。