軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

二百四十五話 精霊王

ノモスが六本の杖の改造を終わらせてくれたので、泉に作った台座に設置して起動させた。自分で作った噴水が足を引っ張っているが、それ以外はファンタジー感満載で素晴らしい。

「形に問題は無いか?」

「うん、リクエスト通りだ。ありがとうノモス」

「うむ、問題ないなら儂は精霊王様に報告に行ってくるぞ」

「あっ、ちょっと待ってくれ。戻るのは何時頃になるんだ?」

「分からん。精霊王様達がすぐに集まれば時間は掛からんじゃろうが、用事があった場合は時間が掛かるかもしれんの」

「……分かった。まあ、気を付けて行ってくれ」

「うむ」

ノモスを見送り考える。タイミングが分からない場合は、すぐに戻ってきて驚かされるか、戻ってくるのに時間が掛かって焦らされるだけ焦らされるかだな。一応掃除でもしておくか。

ベル達は自分の属性の杖の周りで楽しそうに遊んでいる。自分の属性が無いタマモとムーンはちょっと寂しそうに見えるが、さすがに杖を探して同じように台座を作るのは辛い。

ジーナ達は水の上を走り回りながら、属性の台座を楽しそうに見て回っている。ジーナ達には公園の遊具を試してほしかったんだが今は無理そうだな。

「ジーナ、サラ、マルコ、キッカ。ここを十分に満喫したら公園でも遊んでみてくれ。新しい遊具を幾つか作ったからね」

「ゆうぐ? 師匠! どんなの? おもしろい?」

マルコが食い付いてくれた。こう素直に反応してくれると嬉しいな。

「見てからのお楽しみだな。遊んだら感想を聞かせてくれると嬉しい」

「わかった! さっそくいってみる。みんないこう!」

マルコがジーナ、サラ、キッカを誘って公園に走っていった。そこまで期待されるとちょっとプレッシャーだ。……掃除しよう。

「みんなー、俺は家に戻ってるね」

遊んでるベル達に声を掛けて家に戻る。とりあえず家中に浄化を掛けて埃を取るか。ゴミは回収しないといけないけど、拭き掃除をしなくていいのはかなり便利だよね。

***

「あら、精霊王様達が来たわ」

家の中で浄化を掛けまくっていると、シルフィが何でもない事のように呟いた。……早く戻ってくるパターンも考えてたけど、戻ってくるのが早すぎるんじゃないか? ノモスが出かけて二時間位しか経ってないぞ。あと当然のごとく精霊王様達が来てるんだな。

「出迎えるべきだよね」

「そうね。お出迎えした方がいいと思うわ」

だよね。出迎える為にシルフィと一緒に家の外に出る。

「ゆーたー。おうさまくるーー」

ベル達も精霊王様達に気がついたのか俺の方に飛んできた。蒸留所からディーネ、ドリー、イフ、ヴィータも出てくる。公園の方からはフクちゃん達に先導されるようにジーナ達も走ってきている。なにも言ってないのに全員集合だな。

「師匠! シバ達が騒ぎ出したんだけど何かあったのか?」

ジーナが少し焦った顔で質問してくる。フクちゃん達が頑張ってジーナ達を連れてきてくれたんだが、さすがに簡単なコミュニケーションで精霊王様達が来た事までは伝えられないか。

「大丈夫だよ。精霊王様達がいらしたみたいなんだ。ジーナ達には見えないと思うけど、一緒にお出迎えしようか」

「せ、精霊王様って、ものすごく偉いんじゃ……」

ジーナが顔を蒼ざめさせている。気持ちはよく分かる。いきなりそんな事を言われても困るよね。

「俺にもどのぐらい偉いのかは分からないけど、たぶんとても偉いと思うよ。でも、礼儀正しくしていれば大丈夫だよ。ねっ、シルフィ」

「人間が何をしようとも、精霊王様達が気にする事はないわ。だからジーナ達なら絶対に大丈夫ね」

「そうか、ありがとうシルフィ。ジーナ、シルフィがジーナ達なら絶対に大丈夫だって。だから落ち着いてね」

「わ、わかった。サラ、マルコ、キッカ、あたしの後ろに居るんだぞ。騒がないようにな」

ジーナの緊張が伝わったのか、サラ達も硬い表情で頷いている。可哀想だけど、少し緊張してたほうが変な行動をしないだろうし、逆に安全度が増すかな。

「あっ、きたー」

ベルがちっちゃな手で空を指差して教えてくれる。豆粒のような影がドンドン近づいてくるが……なんか影がとてつもない速さで大きくなってるぞ。ありえない光景に呆然としていると、その巨大な精霊が俺達の真上に停止した。

俺は精霊が見えるせいか、精霊の存在の大きさとかよく分からないんだけど、今回は威圧感を感じるな。見た目でそう思っているだけなのかもしれないけど。

「ねえ、シルフィ。精霊王様ってドラゴンなんだね。あと、あれだけ大きいと拠点に入りきらないと思うんだけど……」

九十層の巨大ゴーレムも、このドラゴンと比べたら小物だな。

「あのドラゴンは風の精霊王様ね。心配しなくても大丈夫よ。まあ見ていなさい」

シルフィの言葉に首を傾げていると、頭上のドラゴンがみるみるうちに縮んでいった。サイズ変更が可能なのか。いつの間にか空には七人? がプカプカ浮いている。ノモス以外の人達が精霊王様なんだろうな。あっ、降りてきた。

「裕太、こちらが精霊王様達だ。挨拶しておけ」

ノモスが敬意を払っているのか、適当なのか分からない言葉を掛けてくる。挨拶ってどんな挨拶をすればいいんだよ。それ以前に精霊王様達の見た目が予想外で、ちょっとどうすればいいのか混乱中だ。

「えっと森園 裕太と申します。シルフィ達にはいつもお世話になっております」

とりあえず頭を下げておく。

「うん、君が裕太君だね。シルフィから話は聞いてるよ。なかなか面白い事をしてくれて感謝してるよ」

「はあ、えーっと……ありがとうございます?」

小さくなってとっても可愛くなった風の精霊王様が、微妙に返答に困る事を言ってくる。

「精霊王様達、ここには人間の子供達も居るから気配を抑えてあげて。怖がってるわ」

えっ? シルフィの言葉に驚き振り返ると、ジーナ達が思いっきりガクブルしている。確かに威圧感みたいな物は感じるが、そんなにヤバいの?

「ああ、ごめんね。人前に出るなんて久しぶり過ぎてすっかり忘れてたよ」

風の精霊王様の言葉と同時に、威圧感みたいな物が引っ込んだ。ジーナ達を見るとまだ顔色が悪いが、少しは落ち着いたみたいだ。

安心して顔を戻すと、ベル達とフクちゃん達が精霊王様達にご挨拶しながらじゃれついている。いいの? あんなに気安くしていいの? 王様だよ?

「べるねー、ゆーたといっしょにがんばったー」「キュキュッキュキュキューー」「めいきゅうにはいった」「クーーククー」「まものをたくさんたおしたんだぜ!」「……………………」

「シルフィ、あの状況は大丈夫なのか? ベル達が怒られたりしない?」

「大丈夫よ。あのぐらいで怒る方達じゃないし、楽しそうでしょ」

まあ、確かに楽しそうにベル達の話を聞いてるし問題なさそうではある。心臓に悪いけど。しかし、あの方達が精霊王様なのか。なんか想像してたのと違うな。

ちゃんとした自己紹介はまだだけど、なんとなく属性は分かる。でも、何と言えば良いのか……バラバラな感じだ。

風の精霊王

どのぐらい大きいのか分からないぐらいに大きかったドラゴンが、現在はベル達ぐらいの大きさまで縮んで、とっても可愛らしくなっている。キラキラと輝くライトグリーンの鱗。つぶらな瞳とピコピコと動くシッポがたまらない。

水の精霊王

水色髪の優しそうなイケメンお兄さん。子供番組に出てくる、体操が得意なお兄さんに通じる爽やかさを感じる。

土の精霊王

人型ではあるんだけど、土の精霊王様がこの中では一番不思議なのかもしれない。鉱物……しかも明らかに普通じゃ無い金属でできた体。迷宮で出てきたゴーレムのようにゴツイ訳では無く、スラッとした見た目なのが違和感を感じる。鉱物の髪が長いし、胸の部分が膨らんでいるから性別は女性なのかな?

火の精霊王

火の鳥……たぶん朱雀とかフェニックスって感じかな? なんか精霊王様達の中で一番それっぽい気がする。でも朱雀って神獣だったよな? 精霊なのか?

光の精霊王

神々しい光を放つ玉兎。光の精霊王様なら頼んだらモフらせて貰えそうで、右手が疼く。

闇の精霊王

黒髪で怖いぐらいに透き通る白い肌の洒落にならない感じの美女。黒いドレスは露出が少なめなのに、物憂げな雰囲気と合わせて怖いぐらいの色気を感じる。ジーナが装備しているダークドラゴンのローブも色っぽい感じだったし、闇系統はお色気属性なんだろうか?

思っていた以上に個性が豊かな精霊王様達。朱雀と玉兎が同格の精霊王なんだし。どんな形で生まれたのかは、精霊にとってそこまで重要な事ではないようだ。

まあ、風の精霊王様も縮んだし、他の精霊王様達も本当の姿じゃ無いって可能性もあるよな。巨大玉兎とかかなり魅かれるんだけど、頼んだら大きくなってくれないかな?

「ごめんね。ちょっと話し込んじゃったよ」

巨大玉兎を想像しているとベル達の挨拶が終わったのか、ベルに抱き着かれた風の精霊王様が話しかけてきた。……なんかベルと風の精霊王様がほぼ同じ大きさだし、ベルが大きなぬいぐるみに抱き着いているように見える。可愛すぎて鼻血が出そうだ。

「いえ、大丈夫です。えーっと、これからどうしましょうか?」

打ち合わせとかあるかもしれないし、儀式をする前に家でお茶ぐらい出した方がいいのか?

「そうだね。とりあえずさっさと聖域にしちゃおうか。みんなもそっちの方がいいよね?」

風の精霊王様が他の精霊王様達に話しかける。あっさりと言ってるけどそんなに簡単な感じでいいのか? あと、俺ってまだ風の精霊王様としか話してないんだよな。特に闇の精霊王様と話してみたい。

知られたら怒られそうな事を考えていたが、精霊王様達はあっさりと頷いた。先にこの場所を聖域にするようだ。

「では、よろしくお願いします。何か準備する物とかありませんか?」

「ん? 聖域の要を作るだけだから、何も必要無いよ。でもせっかくだから、あの泉の祭壇で作ろうか。その方が雰囲気あるよね。じゃあさっそく始めちゃおう」

……確か精霊王様達の力が込められた玉が要だったよな。わざわざここで作らなくても良かったみたいだし、準備は要らないのか。面白そうだからこっちで作る事を決めたって雰囲気だな。風の精霊王様の先導で泉に向かう。

(ねえ、シルフィ。ジーナ達がちょっと萎縮してるんだけど、このまま一緒に連れて行って大丈夫かな?)

(んー、離れていた方が気楽でしょうけど、聖域に指定される瞬間なんてたぶん一生に一度の機会よ。あの子達も側で見せてあげた方が良いんじゃない?)

確かにそうだな。ちょっと萎縮してるぐらいで見逃すには惜しいイベントだ。ここは我慢してしっかり聖域になる瞬間を目に焼き付けて貰おう。あっ、俺もスマホで撮影しておこう。歴史的瞬間だもんな。このタイミングなら貴重な電池を消費しても許されるだろう。