軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

二百二十話 かなりセクシー

昨日の休日の話をマルコとキッカから聞き、トルクさんにエンペラーバードのお肉を渡した。夕食が楽しみだな。そしてこの扉を開くと負けられない戦いが始まる。

「師匠、おれとジーナ姉ちゃんに渡したいものってなに?」

サラ達の部屋に入ると、マルコがさっそく質問してきた。部屋を出る前に伝えていた事に好奇心が刺激されていたらしい。出会った頃なら、こういった質問は飛んで来なかったよな。こういう質問が飛んでくるようになったのは、なんか信頼されている気がして嬉しい。

「うん、迷宮探索で見つけた物で役に立ちそうな物があったから、渡そうと思ってね」

興味が魅かれたのかサラとキッカも寄ってくる。

「じゃあ、まずはマルコから渡すね」

魔法の鞄の中から魔法の盾を取り出しマルコに渡す。子供のマルコにはちょっと大きいか? メルに頼んで調整してもらった方が良さそうだな。ノモスに頼めば一発な気もするが、メルに仕事を回した方がいいだろう。魔道具の調整をメルができるかどうかが分からないけど。

「たてだ!」

魔法の盾を受け取ったマルコが嬉しそうに盾を観察し、盾の裏面の革の輪っかに左腕を通す。

「おっ、おお凄いね。さすが魔道具? 大きさの調整も勝手にしてくれるんだ」

裏面の革の輪っかがシュルシュルと閉まり、盾の大きさも五センチ程縮んだ。少し大きいかなって思ってたけど、丁度良くなったな。

どんな仕組みでサイズを判断しているのかとか、縮んだ分の素材は何処に行ったのかとか疑問は多々あるが、開拓ツールの時点で今更だよな。ファンタジーだからと納得しておこう、でないと疑問が多過ぎて何も出来なくなる。

「裕太、誤解しているようだから言っておくけど、普通の魔道具にサイズを調整する能力なんて付いてないわよ。勘違いしないでね」

シルフィが俺の勘違いを訂正してくれる。普通の魔道具にはサイズ調整をする能力は付いてないんだね。迷宮の深い場所で手に入れたからこそのレアな能力っぽい。シルフィにお礼を言って、盾を掲げて喜んでいるマルコに盾の能力を説明する。

「まりょくをこめるとしょうへき? 師匠、ためしてみてもいい?」

どうなんだ? 部屋の中で試してみてもいい物なのか? 盾を手に入れた時に俺も試しておけば良かったな。

「どんな障壁が張られるか分からないし、後で裏庭で試す事にしようか」

「わかった」

直ぐに試したそうだが、納得してくれたマルコ。よっぽど気に入ったのか盾をニコニコと眺めている。

「次はジーナだね」

いよいよ本番だ。ダークドラゴンのローブとサークレットを、何でもない風を装ってジーナに渡す。ここで挙動不審だと疑われるから頑張るんだ。

「ローブとサークレット?」

「うん。素材がダークドラゴンだから防御力も精神耐性も付く、なかなか優れもののローブなんだ」

ちょっとエッチィけど。

「へー……って、ダークドラゴンって凄く貴重な装備じゃん。師匠が装備した方がいいだろ。あたしにはもったいないよ」

俺が装備したら、スネ毛がまる出しになるからダメだ。

「いや、そのローブって女性用で俺には装備できないんだ。売り払うにはもったいない品物だし、ジーナが装備するといいよ。アンデッドの層にも突入するみたいだし、ゴーストやレイスも居るんだから精神耐性は無駄にならないからね」

「女性用? あっ、なんかすげぇスリットが入ってるぞ!」

女性用と聞いて畳まれているローブを広げたジーナが、ついにスリットに気がついた。この世界でもスリットってあるんだな。いやそう聞こえているだけか。でも似たような服はあるって事だ、夢が広がる。

「そう言う事で、俺が装備するとただの変態なんだ」

「師匠が装備できないのは分かったけど、あたしにスリットが入ったローブって似合わないだろ。それになんだか恥ずかしいぞ」

ジーナはスタイルもいいし、母性の象徴も豊かだから色っぽいタイプの服は似合うと思うけど、こんなのを装備させてるのが分かったら、ピートさんがブチ切れそうだな。実家に戻る時は装備して行かないように注意しておこう。

「まあ、少し恥ずかしいかもしれないけど、俺はジーナに似合うと思うよ。それにダークドラゴンの装備だからね。安全度が上がるのなら身に付けておいた方がいい」

表情に出やすいって言われているから、真剣な表情でジーナを説得する。間違った事は言って無いし、大丈夫なはずだ。命が一番大事、そう言う方向で押して行こう。

「うーん……」

「とりあえず、一度着替えてみれば? それでどうしても無理なら売りに出せばいいよ」

「分かった、ちょっと装備してくる」

……内心でガッツポーズを取りながらジーナを見送る。シルフィが俺の表情に注目している気がするので、表情は崩さない。既に俺の内心を読み取られている気がするが、ツッコム隙を与えなければシルフィといえど何も言えないはずだ。しばらくして、ジーナが戻ってきた。なんかすっごくモジモジしている。

「あれ? そのローブってそんな形だったっけ?」

「このローブも魔法の盾みたいに縮んだんだ」

「そ、そう……」

「あんまり見るなよな!」

「あ、ああ。凄く似合ってるけど……ちょっと刺激が強いかな?」

装備する前のダークドラゴンのローブは、少し体のラインが出そうで深くスリットが入った感じだったが、装備した後は体のラインが完全に分かるぐらいにピッチリと体に纏われている。

ジーナは凄くスタイルが良いし、ハッキリくっきり体のラインが出ていて、白い脚がチラリと覗く……色っぽ過ぎるな。ビキニアーマーとは違う方向性だけど、それに並ぶ破壊力がある気がする。っというか痴女っぽい。

さすがダークドラゴン、程よい刺激とかぶっちぎったな。いや、ローブを作った奴がエロいのか? 迷宮の品物って誰が作ってるんだろう? できれば一度話してみたい、そしてビキニアーマーの出現率を上げてもらいたい。

異世界に来て欲望の発散も迂闊にできない状況だった俺にとって、前屈みになってしまいそうな刺激だ。程よい刺激ぐらいなら別だが、あれほど色っぽい服装を弟子にさせるのはさすがに問題だと思う。

「あたしもそう思う、すっげえ恥ずかしい」

「かっこいいよ?」

もじもじしているジーナの側で、一緒に見ていたキッカが、何がダメなの? っとジーナに質問している。純粋無垢な視線にたじろぎ言葉に詰まるジーナ。答え辛いよね。

「えーっとキッカ、俺もよく似合ってると思うけど、女の子がそんなにハッキリと体のラインを出して、出歩くものじゃないんだよ」

とても残念な事だけど。

「そうなの?」

「お師匠様の言う通りですね」

俺の解答をサラに答え合わせするキッカ。なんかちょっと寂しい。

「まあ、防御力と精神耐性は惜しいけど、今までの装備を使うのが正解かな?」

「師匠、よくわかんないけど、あの装備のうえにもういちまいローブを着たらダメなのか?」

……なるほど。マルコがコロンブスの卵的な発想でアイデアをくれる。かなりタイトな装備だし、上にもう一枚ローブを着ても問題無いかもしれない。

「薄手のローブなら問題無いかな? ジーナはどう思う?」

「んー、少しぐらい暑くても、フクちゃんとマメちゃんが風を吹かせてくれるし大丈夫かな? 今のローブは厚手だから新しく買わないとダメだけど」

「それなら今日買いに行くといい。ダークドラゴンの素材が優秀なのは間違いないんだから、使えるのなら使った方がいいよ」

マルコにナイスアイデアと褒めちぎりながら結論を出す。ちょっともったいない気がするけど、過ぎたるは及ばざるがごとしって言うもんな。あんな格好で出歩かせたら、ジーナが襲われてしまう。

「じゃあ、着替えてくるよ」

「あっ、ジーナちょっと待って。サークレットはどうなの?」

ローブの破壊力にスッカリ忘れてたけど、ジーナの頭にはサークレットが装備されている。

「あっ、そうだったな。と言っても付けている事を忘れるぐらいフィットしてるし、重さもあんまりないからよく分からないぞ」

「それもジーナに合わせて縮んだの?」

「ああ、ピタって吸いつくように縮んだな」

そうなると、サラやキッカに装備をさせてもいい気もするが……大人っぽいデザインだし、セットの効果もあるかもしれないから、そのままジーナの装備でいいか。

「分かった。引き留めてごめんね。着替えてきていいよ」

「ああ、着替えてくる」

足早に部屋から出て行くジーナの姿を脳裏に焼き付けておく。もう二度と拝めないかもしれないセクシーショットだからな。

「師匠、ジーナ姉ちゃんが戻ってきたら、裏庭に行って盾を試してもいい?」

「ああ、そうだったね。試しに行こうか」

ジーナのあの姿を見ても魔法の盾の方に興味があるなんて、マルコはまだ思春期には遠いみたいだ。ちょっとホッとした。マルコが下ネタに目覚めたら、俺はどうしたらいいんだろう?

やっぱりあんまり下世話なところは見せないようにして、品行方正な師匠を演じる必要があるんだろうけど……あんまり頑張ると息が詰まる。どうにか誰にもバレずにストレス発散できる場所が欲しいな。ジーナも仲間になったし、サラ達も手が掛からない。

ジーナがもう少し慣れたら他国に隠れ家を用意しようかな。シルフィ達は美人だし、ベル達はとっても可愛いけど、それはそれと言う事で俺も一人だけの時間も欲しい。そうなってくるとAランクの冒険者って肩書は目立つから、偽造の身分証も欲しいな。

つらつらと悪巧みをしていると、着替え終わったジーナが戻ってきた。さっそく魔法の盾の能力が楽しみでしょうがないマルコに腕を引かれて裏庭に連れて行かれる。何故かベル達も集まって俺の体を押してるけど、そんなに盾の能力に興味があるの?

「マーサさんに裏庭の使用許可を貰うからちょっと待って」

マルコとベル達が力を緩めてくれたので、何だか微笑ましい物を見るような目線で、こちらを見ているマーサさんのところに行く。

「聞こえてたよ。散らかさないなら好きに使っていいよ」

「ありがとうございます」

再びマルコに引っ張られ、ベル達に押されながら裏庭に向かう。マーサさんの目から見たら、疲れた父親を、子供が無理やり外に連れ出そうとしているように見えてたのかもしれないな。俺、独身だけどね。