軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

十四話 魚介で満腹

海で食材と砂を大量に手に入れて岩山の上に作っておいた拠点に移動する。

さて晩御飯にするか。せっかくなので今晩は海鮮バーベキューだ。まあ大きくしたシャベルいっぱいに鱗を取った魚やエビ、カニ、貝をのせて軽く海水を掛けて焼くだけなんだけどね。余ったら収納すれば良いだけなので、大量に焼いて燃料の節約だ。

焼いている間にみんなの分のお皿と、お箸は難しそうなので木でナイフとフォークを作っておく。魚を抑えるのは木のナイフでも十分だろう。

「みんなー出来たよー」

シルフィ、ベル、レインが近づいてくる。

「あー。べるがとったおさかなー」

「キュー」

「あら。沢山焼いたのね」

「ああ、沢山取れたし余ったら収納しておけば良いだけだからな。海水をつけて焼いただけのものだけど、良かったら食べてほしいな」

「ふふ。山盛りになってたものね。いただくわ」

貴重な異世界の食料でなかったら、シルフィは意外と食事に付き合ってくれるんだな。異世界の食事は遠慮されるけど、今度はお菓子を御馳走してみよう。食事よりは受け取ってもらえるだろう。

「たべるー」

「キュー」

「ベル。レイン。欲しいのがあったら言ってくれ。お皿に取り分けるからな」

「はーい」

「キュー」

「じゃあ、いただきます」

「ゆーた。べるはこれたべる」

ベルは先ほど自分で取ったと自慢していた、大きなクロダイを選んだ。

「キュー、キュキュー」

レインは大きな伊勢海老だ。それぞれのお皿に取り分ける。レインに伊勢海老の殻を剥こうかと聞いたが、殻ごと食べるらしい。シルフィはアジを選んだ。

俺は何を食べようかな。このカラフルな魚を試してみよう。食べた事無いけど沖縄の魚に似ている。確かハタの仲間で、美味しいお魚だって言っていたから試してみよう。

箸で解すのも面倒だしこの雰囲気で上品に食べるのも味気無い。よし、言い訳完了。思いっきりかぶりつく。

おっ。美味いなこれ。白身魚で、焼いた影響か身がしまり良い歯ごたえがある。皮の部分が特に美味しい。脂が乗っていて、その脂はくどくなく上品だ。

煮つけとかにしても美味そうだが、醤油と砂糖だけで上手く作れるか? たしか味醂も必要だったよな。しかも魚の煮つけでご飯を食べないとか地獄だし。

米系のストックはレンジで温められるご飯。五個入りを二パック。冷凍チャーハン。冷凍ピラフ。冷凍ドライカレーだけだからな。我慢出来る時は我慢しないと一瞬でなくなってしまう。考えたら食べたくなるので、今は焼いてある魚介類をむさぼろう。

焼き魚。ビールを一本開けて日本酒に移行したいが、夜はレベル上げだ。これも我慢しておこう。なかなかままならないものだ。

まあ、日本食はこれからは限界まで我慢して、我慢しきれなくなったら食べる事にしよう。当分は魚介類中心の生活だな。

穀物が手に入ればだいぶ違うんだが、そればっかりは厳しそうだ。雑草すら生えていない大地で穀物が発見されるはずもない。

あー、考えたら肉も食べたくなってきた。死の大地には美味しく食べられるタイプの魔物も居ないそうだから、頑張って町に期待だな。

***

「ごちそうさまでした」

「でしたー」

「キュー」

「美味しかったわ」

「久しぶりにはち切れるほど食べられて幸せだったよ。この世界の魚介類も美味しいね」

「気に入ったのなら良かったわ」

「シルフィ。苦しいから少し時間をおいてだけど、今日もレベル上げに付き合ってもらって良い?」

レベルを早く上げれば上げるほど美味しい物に近づくと考えれば、大抵の事は頑張れる。

「ええ、良いわよ。いつも通りゾンビとスケルトンを狙うのよね?」

「あー、最初はゾンビとスケルトンでお願いしたいな。ベルやレインの魔法を色々と試してみたいから。それが終わったら、勝てない相手以外は片っ端から戦おうかと思ってるんだ。お願い出来るかな?」

「いいわよ。色々歩き回るから裕太は頑張って倒してね」

「うん。頑張るよ。でもその前に相談したいのが、体中が日焼けしてヒリヒリするんだ。回復魔法って無いの?」

「回復魔法はあるけど、ここに居るメンバーじゃ使えないわ」

「そうなのか? 俺の中で回復魔法って水とか聖のイメージなんだが、レインでも使えないの?」

回復魔法ってあるのと無いのじゃかなりの違いだよな。特に今は日焼けを治したい。

「どんなイメージなのか分からないけど、精霊では回復は命の精霊の領分ね。通常の魔術では教会が管理している術式ぐらいかしら。どちらも貴重な力だから厳重に管理されているわ。だから一般人はポーション頼みね」

教会が管理とか利権の臭いがプンプンだな。でもポーションって響きはテンションが上がる。ファンタジーな薬品がある世界。上級ポーション、万能薬、エリクサー、夢が広がる。

「ポーションか興味はあるけど、ここでは作れないんだよね?」

「そもそも材料がないわね。まず薬草を育てないと」

スタートが難し過ぎる。

「命の精霊を連れてきてもらう事は可能? 下級精霊なら契約出来るんだよね」

「まあ確かに契約出来るけどあんまり気が進まないわ」

「どうして?」

「死の大地は命の精霊にとって辛い場所よ。せめて周りに生命力が溢れる場所が無いと心が持たないわ。特に裕太が契約出来る下級精霊だと直ぐに耐えられなくなるわね」

うーん。俺と契約すれば魔力は問題無いけど、それ以外は常に精神を削られ続けるって事か? 確かに辛いな。

「契約が難しいのは分かったよ。周りに生きている人間が増えないと厳しいんだね」

「人間である必要は無いわ。植物や動物も命があるもの。ただ魔物は瘴気にまみれているから駄目よ」

「命の精霊の協力を得たいのなら、緑があって動物がいるぐらいには、環境を整える必要があるのか」

「ええ、せめてそれぐらいは用意してほしいところね」

緑が生えて生き物が住む場所。それって死の大地で可能な事なの? 環境が整う頃には町に移動できる気がする。

「簡単じゃない事は分かったよ。今の状況じゃどうしようもないから、怪我をしないように注意するよ」

「うん、それが一番ね。レベルが上がれば体も強くなるんだから、コツコツ努力しましょう。まずはレベル上げよ」

「そうだな。出来る事からやっていくか」

ベルとレインを呼び寄せ拠点を出る。日焼けの痛みを我慢しながらレベル上げに向かう。

***

「ゾンビが六体か……ベル。レイン。いっぺんに倒すんじゃなくて、出来るだけ別々の魔法を使って一体ずつ倒すことは出来る?」

「できるー」

「キュー」

二人とも自信があるみたいだ。

「じゃあ、やってみて。三体ずつお願いね。右側の三体をベルが、左側の三体をレインが倒して」

「はーい」

「キュキュー」

ベルとレインが魔法を使う。ベルが風刃と唱えると風の刃が飛び出してゾンビを真っ二つにした。レインがキューーっと声をあげると、水の玉が猛スピードで発射されゾンビの頭が弾け飛んだ。

全てのゾンビを倒した後、ほめてーっと突撃してきたベルとレインをべた褒めしながら、魔法の威力を考える。

ベルが使ったのは三種類の風魔法。

風刃 風の刃で敵を切り裂く。

風弾 圧縮された空気の玉が敵を貫く。

小竜巻 小さな竜巻が敵を飲み込み切り刻む。

レインもベルと同じような魔法を使った。鳴き声しか分からないので、ベルに合わせて名前を付ける。水刃、水弾、小渦巻って事にしよう。

その後もゾンビやスケルトンを討伐しながら、様々な魔法を試す。正直俺は要らないんじゃないかと思うが、幼女やイルカに戦闘を任せたままなのは精神的に辛い。俺も出来るだけ戦闘に加わろう。

シルフィに頼んで様々な魔物のところに案内してもらった。前回ビビってしまったデスリザードも、落ち着いて対処出来れば問題無い。

ベルとレインが本気で攻撃すればサクッと終わるが、わざわざ補助に徹してもらっている。

「……サソリか? シルフィ。初めて見る魔物だけど、どんな魔物なの?」

「デススコーピオンね。両手のハサミは鉄の盾ごと切り裂く力を持っているわ。他に注意するのは尻尾の毒ね。かすっただけで動けなくなるわ」

「毒かー。毒は嫌だな。安全に行くか。ベル、奇襲で尻尾を斬り落とせる? レインは右側のハサミを水弾で攻撃してくれ。俺は左のハサミをハンマーで潰して止めをさす」

「はーい」

「キュー」

ベルもレインも自信があるようだし、安全を取るか経験の為にわずかながらもリスクを負うか……経験を積む為にも手順を踏んで倒そう。絶対に安全なんてことは無いんだ、自分で戦えるようにならないとな。

「じゃあベルが攻撃したら突っ込むからお願いね」

「りょーかいです」

ベルがふわりと浮かびデススコーピオンの真横に陣取る。気配を感じ取れる魔物もいると思うけど、最初から超隠密状態の精霊って、チートだよね。そもそも精霊に攻撃が通じるのか? 後で聞いてみよう。

ベルが両手を前に出して魔法を唱える。風の刃が放たれ尻尾が切り離されて宙を飛ぶ。タイミングを見計らいハンマーを振りかぶり突撃する。

あっ、……突然の攻撃に驚いたデススコーピオンが後ろを向いてしまった。……予定を変更して背中をハンマーで叩き潰す。

「キュキュー」

レインがハサミを攻撃できなかった事を謝るように、頭を擦り付けてくる。

「俺の作戦ミスなんだ、レインは何も悪くないから気にしないで」

頭を撫でてレインを慰める。いつのまにかベルも隣にいて一緒にレインを撫でている。いい子だ。

しかし、尻尾を切り飛ばされたら当然後方を警戒するよね。戦闘経験が無いと、考えたら分かるような事も見逃してしまうのか。

安全を確保しながらも、出来るだけ色々なシチュエーションで戦闘を経験しないとな。