軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

多彩な

どの馬に乗ってイルク村に戻るかと考えていると、そこに何人かのゴブリン族がやってくる。

……見慣れない若者で、領民でもイービリスの仲間でもないゴブリン族だ。

よく見てみると皮膚? 皮? の色が少し濃くて体の細さも他のゴブリン族とは少し違って見える。

そんなゴブリン族へと視線をやっていると、それに気付いたらしいゴルディアが説明をしてくれる。

「ああ、連中は遠くの海から来てくれたゴブリン族だ、今回は海からもモンスターがやってきていてな、それの迎撃を手伝ってくれたんだよ。

イービリス達が潮の流れの変化を感じ取ったとか、嫌な予感がするとかで声をかけていたらしくてな、世界中の海から援軍としてやってきてくれた感じだな。

もちろん助けてもらったからには相応の礼はするつもりだ、ナルバント達の工房の品なんかのゴブリン族に受けが良い品を揃えてるところだ」

「なるほど……遠くの海から来てくれたから少し体が違ってみえるのか。

……ありがとう! わざわざ遠方から助けに来てくれるとは嬉しい限りだ! 可能な限りの礼をさせてもらうから、その品が揃うまではゆっくりしていってくれ!」

ゴルディアの説明を受けて私がゴブリン達にそう声をかけると、ゴブリン達はイービリスによく似た笑みを浮かべてから言葉を返してくる。

「流石、陸の勇者! 気前の良いことだ!」

「既に十分な歓待を受けているとも!」

「手合わせを! あのイービリスさえ負かしたという腕前を見せて欲しい!」

「いや、武勇伝だ、これまでのドラゴン狩りの伝説を語り聞かせて欲しい!」

「いやさ、待て待てお歴々、まずはこの戦地より帰還したばかりの英雄殿を故郷までお送りせねば」

そんなゴブリン達の中から一段と細長い体をしたゴブリンが進み出て、そう言って一同を制止してから、私に笑顔を向けて……それから川へと視線をやって言葉を続けてくる。

「イルク村に戻るのであればあちらの船に乗られよ。

我らが曳いて川を上ればあっという間に到着するとも、我らは急流が流れる北海の一族、この程度の川、あっという間に上って見せよう!」

「ああ、頼むよ、ゴブリン族に曳いて貰えるならそれが一番だ」

私がそう返すとゴブリン達は皆嬉しそうに笑い……それから用意された船に乗り込むと、そこからイルク村まではあっという間だった。

大入江に注ぐ川を遡り、水源に到着したなら一旦そこで休憩。

毎日大量に収穫されているらしいデーツを食べたり、水源の水で沸かした茶を飲んだりしたなら、イルク村から注ぐ川を遡ってイルク村へ。

イルク村が見えてきた辺りで、見回りをしていた犬人族や鷹人族が気付いてくれて、そこからは大騒ぎ、皆の大歓迎を受けながらイルク村の南端に入り、そこにある船着き場と言ったら良いのか、荷下ろし場と言ったら良いのか、そこで船を降りる。

するとゴブリン達は他の面々や積荷を運ぶために荒野と戻っていって……船を降りた私は、まずは駆け寄ってきた犬人族達を撫で回してやる。

「おかえりなさい!!」「おかえりー!」「ディアス様ー!!」

なんて声を上げる犬人族達をこれでもかと、満足するまで撫で回し……そうこうしていると今度は村の皆が顔を見せに来る。

マヤ婆さんやエイマ、ヒューバートや……キコと血無し達。

まずは皆に軽く挨拶をし、それからキコに丁寧な挨拶をし……30人程いるのか、血無し達にも挨拶をしていく。

1人1人丁寧に、しっかりと自己紹介もして……出来るだけ顔も名前も覚えていく。

一度で完璧に覚えるのには無理があるのだろうけども、それでも可能な限り頑張って挨拶していると、そこに洗濯を終えた所なのか空の洗濯籠を抱えたアルナーがやってくる。

私を見るなり目を見開き、しかし露骨に驚いたり慌てたりせずに静かに近付いてきて、それから私のことをじぃっと見やって、ジロジロ観察し、それから声をかけてくる。

「心配はしていなかったが怪我がないようで何よりだ、他の皆は無事か?

それとちゃんと武勲は上げてきたか? 戦こそ男気の見せ場でもあるんだからな」

「ああ、けが人もなく皆無事だ。

武勲はそれなりかな、奪った物資が追々届くはずだからそれを見て欲しい。

やろうと思えばもっと暴れられたのかもしれないが……嫌な予感がしたから一旦帰還することにしたよ」

「うん? そうか、ディアスがそう言うのならそうした方が良かったのだろう。

……戦場で嫌な予感か、ならその周辺は当分近付かない方が良いだろうな。

次は別の場所に行くか、少し時間を開けた方が良いだろう」

「そうなるだろうなぁ……。

……次は王城にでも行ってみるのも良いかもしれないな、道中も中のこともピゲル爺が詳しいだろうし、今回よりも楽にいけるかもなぁ」

私がそう言うと、一瞬だけ驚いたアルナーはすぐに、

「分かった、その方針を皆に伝えておこう」

と、そう言ってから私の背中をトンと押して、ある場所に行けと促してくる。

方角的にそこはセナイ達の畑に違いないだろう。

すっかりと広がったそこは、畑というか小さな森のような空間になりつつある。

育ってきた苗木に、立派な木となった両親の木、その周囲に畑が広がって……中には木の実をつけ始めた木もある。

そこに近付くとまずフランシスがこちらに気付く。

「メァ~~! メァメァ、メァ~!」

そしてフランソワ。

「メ~ァ~!!」

2人ともおかえりと、そう言ってくれているらしい、そんなに長期間だった訳ではないのだが、それでも2人は大げさなくらいに喜んでくれている。

そして六つ子達とセナイとアイハンが気付いて……ダッと駆けて飛びかかってくるのを受け止めて、抱きかかえてやる。

「ディアス、おかえり~!」

「おかえり! むらも、もりも、もんだいなしのあんぜんだよ!」

するとセナイとアイハンはそう言ってきて……私は2人の報告を聞くために自分のユルトに向かう。

ユルトについたなら2人に手伝ってもらいながら鎧を脱いで着替えを済ませて……その間も2人は報告を続けてくれる。

「たくさん魔法覚えて使った!」

「きのなかまふえた!」

「そのうち木の仲間がそこらを歩いて見回ってくれる!」

「めがないから、くらやみでもへいき! よるでもへいき!」

……木の仲間?

色々と疑問が浮かんだりもしたが、とりあえずいつものクッションの上に腰を下ろした私は、

「ただいま。もっと話を聞かせてくれ」

と、そう返し2人の話を促すのだった。