軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

いよいよ

これから戦いに向かうとなって、その前に改めての戦い方を見直しが行われることになった。

今までの戦い方でも十分だとは思うのだが、全く進歩をしないというのもそれはそれで問題で、実際に役に立つかは一旦置いて色々なやり方を試そうとなった感じだ。

そういう訳で模擬戦も行おうとなり……模擬戦は2つの勢力に分かれて行うことになった。

片方はクラウスが指揮する一団、もう片方はモントが指揮する一団。

全く別々の考え方をするクラウスとモントがそれぞれにとっての最良の形を考え出し、それをぶつけ合う。

ぶつけ合いながら意見を交わし、改善し……その時までに戦い方を練り上げることになった。

クラウスの戦い方は獣人との密接な連携を主としている、犬人族との仲が良いクラウスらしいものとなっている。

モントは獣人はあくまで補佐に徹する形で、人間族が主となって前に出る戦い方を主としている。

モントが積み重ねてきた経験はどうしたってそちらに偏っているし、領兵の多くもそうだ。

その経験や手腕を無駄にせずにより洗練させるというのがモントの方針らしい。

どちらが良いという訳でもなくどちらも重要で……模擬戦の場となった、村から少し離れた一帯、街道側の広い草原で模擬戦の様子を見守る。

それぞれ武器も防具も模擬戦用の木製、布などを巻いて安全性を高めている。

クラウスは槍を、モントは剣を振って、クラウスは前線に立ち、モントは後方に立ち、それぞれ指揮を執っている。

クラウスは前傾姿勢となって前へ前へと進み、その左右背後を犬人族達が一体となって補佐している。

クラウスが前に進む時は犬人族も一緒に、クラウスが声を上げる時、攻撃をする時も一緒に。

クラウスがまるで犬人族のように見える程に連携が取れている。

モントはどこまでも冷静だ。前へ前へと進んで来るクラウス達を上手くいなしている。

クラウスに勝てる兵はいないからと受け流し包囲し、全方位からの攻撃を繰り返すことでクラウスの体力を奪おうとしているようだ。

クラウスは私との連携を練り上げようと考えていて、モントはいつか私を倒してやろうと考えていて、それがまた良い具合にらしい戦い方を作り上げているようだ。

どちらが正しいという訳でもなく、どちらが特別優れているという訳でもないのだけども……クラウスの腕前が圧倒的過ぎて、段々と優勢となっていく。

ジョー、ロルカ、リヤン達もここに来てから鍛え直し、かなりの強さとなってはいるが、若く才能に溢れるクラウスには勝てないようだ。

このまま行けば決着……なのだが、そこに乱入者が登場、戦場をかき乱していく。

クラウスにもモントにもこのことは伝えてある。

どこかで奇襲を仕掛ける集団がいると、それに警戒しながら戦って欲しいと伝えていて、その一団を率いるのはゴルディアだ。

ゴルディア、アイサ、イーライのギルド組、それに何人かのニャーヂェン族と犬人族達が援護をしている。

ゴルディアは籠手を付けた両腕を振り回し、アイサは威力を低くした魔法で、イーライはアイサ達の補佐をする形で暴れ始める。

戦場にはこういう奇襲もあり得るものだ、そしてゴルディア達の戦い方は兵士としてのものではない。

自分達を守るためだけの、個人としての戦い方で……その無茶苦茶な動きが戦場をかき乱すという意味では上手く機能している。

しかしクラウスもモントも経験豊富な猛者達だ、突然のことに驚きはするがすぐに立て直していく。

ちゃんとした兵士達に立て直されてしまうとゴルディア達は厳しい。

元々自衛のために磨いてきた技だからなぁ……正規の兵士相手にどうこう出来るものでもないのだろう。

「……ディアス様、我々もいきますか?」

と、そこでニャーヂェン族のソマギリがそう声をかけてくる。

今回は私達も参戦予定だ、私は木の斧で、ソマギリ達は木の短剣で。

お互いにしっかりとした連携をしたことはほとんどないが、だからこそ試しておくべきで……私が斧を構えると、ソマギリ達も短剣を構える。

更には私の補佐のために犬人族の氏族長達が、サーヒィがやってきて一緒になって構えてくれる。

サーヒィは私の肩で、犬人族達は足元で、そして一気に駆け出すと全員が一団となってついてきてくれる。

そうやって私達が駆けていくとクラウスとモント、そしてゴルディアがそれに気付いてそれぞれ声を上げる。

「ディアス様に一矢報いたら肉食べ放題だぞ!」

と、クラウス。

「ディアスをはっ倒せぇぇぇ!!」

と、モント。

「うぉぉぉぉ、この機会逃せるかよ!!」

と、ゴルディア。

……2人からは変な殺気を感じるなぁと思いながら、私もある程度は本気を出そうと声を上げる。

「おぉぉぉぉおおおおおお!!!」

言葉に意味はないとただ声を張り上げる、全力で、大口を開いて相手にぶつけるように。

すると皆は怯み上がる、聖地で聞いた話だと私を相手にすると誰でもそうなってしまうらしい。

……だが、これから先相対する相手にもそういう連中がいるかもしれない、これにも慣れてもらうしかないと非情に徹してその隙を逃さず突き進む。

攻撃を手加減するつもりはあるが、それ以外で手加減をするつもりはない。

一気に距離を詰めて斧を振るっての攻撃を仕掛ける。

クラウスは槍を上手く操っての返しを狙い、モントはすれ違っての一撃、ゴルディアは斧と打ち合うつもりなのだろう、こちらに突っ込んできてまっすぐ拳を突き出してくる。

ならばと私は体をひねって槍をギリギリの所で避けて、モントにはその勢いのままに体当たりを放ち、そうやって立ち位置を変えながら斧をゴルディアの脇腹に振るう。

それからぐるりと振り回し、こちらに飛びつこうとしていた犬人族達を振り払う。

それからクラウスに、次にモント、そしてゴルディアの順に斧を振っての攻撃を放って、クラウス達はこういう流れになると読んでいたのだろう、見事に回避してみせる。

……なんだかんだとクラウス達も成長しているらしい、簡単に一撃を入れることは出来なくなっている。

しかし回避に力を入れた結果なのか、クラウス達の次の動きは遅れていて、その隙は逃せないと斧を振り上げていると、そこにアルナーがやってきて声を張り上げてくる。

「ディアス! 王都の連中が動き出したらしいと報告があったぞ!」

……エルダンが動く前にリチャードの方が動いたのか。

「分かった!」

そう声を上げた私は振り上げた斧をそっと振り下ろし……そこで木製の斧が音を立てて壊れてしまう。

……どうやら無理をさせすぎてしまったらしい、軽く振り回しただけなんだがなぁ。

とにかく詳細を聞く必要がありそうだと判断した私達は、それで模擬戦を切り上げ、報告を聞くためにイルク村へと足を向けるのだった。