軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

それぞれの感想

議決とやらが終わったようで画面が変わり、よく分からないものを廃棄命令との文字が表示。

するとどこかから唸り声のような音が響いてきて……どうやら廃棄が始まったようだ。

その音を耳をピクピクとさせながら聞いていた小メーアが、こちらへ向き直って口を開く。

「とりあえず一安心だけど、ベンディア、ディアス。

貴方達の方針に反対だった者も当然います、今回のことはそういった者達への敵対宣言をしたようなもの。

今後なんらかの攻撃が仕掛けられる可能性があります、対策を進めておいた方が良いでしょう」

……そうか、そういう可能性もあるのか。

と、私がその時のための覚悟を決めようとしていると、伯父さんがなんとも軽い言葉を返す。

「問題はない。

そもそもとして魔力無しの人間が外の世界で出世、または成功した例はないに等しい。

聖地で知識を得たとしてもそれを活かせる土台がない、権力も財力も発言力もなく……ディアスのようなのは例外中の例外だ。

王国公爵で港を含む大領地を持ち、個人の武に数々の神器、更に十分な戦力と最新と言って良い技術まで持ち始めた。

誰がディアスを害せるかって話だ……そうなるまで待った訳だしな、問題はないだろう」

……なるほど、今日まで伯父さんが聖地のことを教えてくれなかったのはそれが理由だったのか。

領地が十分に発展して外敵がやってきても問題ないくらいになるのを待っていたと……。

「……しかし伯父さん、毒だのなんだの凄い力を持つ聖地や神々が動いたら、いくら私でもどうしようもないと思うのだが……?」

という疑問に思ったことをそのまま問いかけると伯父さんは、

「それも問題ない、というかあり得ないことだ。

聖地の目的はあくまで瘴気対策、モンスター退治だ、それを散々やってきたお前を攻撃など出来るはずながない。

ディアスの言動が気に入らないものだったとしても、敵対的な行動を取ったとしても、断言してやろう、世界の神々がお前やお前のものを攻撃することはあり得ない」

と、返してくる、更には小メーアまでがそれに続く。

「それに関しては私も保証してあげます、誰がどんな声を上げたとしても、それだけはあり得ません。

貴方は個人としては歴史に残る程の偉業を成しています、それを攻撃したのでは存在意義に関わりますし……どうやっても出来ないのです。

そう作られている、植え付けられている、その枷を外すことは私達にとっての死を意味します」

……よくは分からないが問題ないらしい。

つまりは気にすべきは聖地に至った人だけであり、神々は気にしなくて良いと……。

なんだか急に色々と詰め込まれて驚くばかりだったが、とりあえず一安心はして良いらしく、ホッとため息を吐き出すことが出来る。

そうやって一段落がついた所で、椅子に座って様子を見守っていた皆がそれぞれ動きを見せる。

まずはエグモルト、大きなため息と共に立ち上がってこの場から立ち去ろうとする。

ダレル夫人がそれに気付いて立ち上がり、手を取って「本当に良いの?」と問いかけると、エグモルトは大仰な仕草で両手を広げて声を張り上げる。

「がっかりだ! ここにいても何も得られない!

滅んだ連中の知識などいるものか! 同じ道をなぞってもその先にあるのは滅びだけ。

……がっかりだ!!」

エグモルトには珍しい声の張り方だった、大きな声ではあるが感情が込められていない、本当にがっかりしているのだろう、誰かを責めているようでもある。

エグモルトが立ち去るとそれに続いてダレル夫人も出口に向かう。

次に動きを見せたのはサーヒィで、椅子の背もたれから飛び立って私の腕へとやってきて、やれやれといった様子で声を上げる。

「なるほどなぁ、長が気にしていたのはこれのことだったんだなぁ。

つまりアレだろ、鷹人族もモンスターと戦うため、ディアス達を助けるために作られたんだろ?

……そう言われちまうとガッカリなんだか、神々の使徒としての誇りを持ったら良いんだか、よく分からないな。

……ディアスは鷹人族にどうして欲しいとかあるのか?」

「いや、好きにしてもらったら良いと思うが……。

領民になってくれただけで十分ありがたいしなぁ」

と、私がそう返すとサーヒィは納得をしたようで、ふんすと鼻息を吹き出し……以降は何も言わず、私の腕に止まり続ける。

次はアルナー。

「……恐らくだがナルバントやマヤ達は、これを知っていたのだろうな。

ナルバント達は元々地下暮らしだった訳だし、聖地に触れたことがあるのだろう。

マヤの占いの力はこの聖地から知恵を引き出すものだったのだろう。

……族長も、もしかしたら知っていたのかもな。

ま、どうでも良い話か……ろくでもない毒が消えたのならもう私には関係のない話だ」

アルナーもあまり気にしてないようだ。

そしてマヤ婆さん達か……まぁ、知っていても驚きはしないな。

そしてエイマとヒューバートは見知った情報を書き取るので忙しいらしく、ペンと紙束に夢中になっている、メイゾウはその手伝い。

あとはソマギリと神官達だが……ソマギリは腕を組んだ状態で首を傾げて、現状を懸命に理解しようとしているようだ。

神官達の反応は……それぞれだった。

フェンディアは聖地に至れたことを感動しているのか祈りを捧げている、パトリックとプリモは何を思っているのか拳を握って震えている。

ピエールはどこか失望しているようにも見える、ポールはソマギリと似た様子。

皆それぞれの形で受け入れようとはしているようだ。

……まぁ、あまりにも突然過ぎる上に突飛な内容だったからなぁ、しっかり受け入れるには数日は必要なのかもしれない。

なんてことを考えているうちにある疑問が思い浮かび、それを言葉にする。

「そう言えば伯父さん、聖地というのはこれが全てではないんだよな?

他にも色々……具体的に何と言われると困るが、あるんだよな??」

すると伯父さんは当然だろうと頷いて言葉を返してくる。

「当然ある。

……が、儂らには無関係でもある。

聖地の維持のための設備、他の聖地と繋がるための設備、大メーア様の設備などなど。

小メーア様が儂らに下賜してくださった品の製造や管理するための区画なんかもあるが、そこに関わっても仕方ないだろう。

聖地で作られる特別な品の管理は、儂らが関わってどうこうして良いものではない、根本的には破棄した毒と変わらん代物なのだからな。

あとは望めば過去の歴史を覗き見ることも出来るが……それもまぁ推奨はせんな。

歴史とは自らの手で調べ紡ぐもの、与えられたものをそのまま享受するようなものではない。

……色々な歴史を見せられたとして、本当にそれが事実かの確認が出来ないでは意味がないからな。

それでも見たければディアス、お前には見る権利があるがどうする?」

「うーん……私はあまり興味はないが、エイマやヒューバートが見たいというのなら見ても良いかな。

……エイマ、ヒューバート、どうする?」

私がそう問いかけるとペンを走らせていた2人が同時に顔を上げ、こちらを見てほぼ同時に声を上げてくる。

「今は良いです!」

「手に負えない内容だと困るので、やめておきます」

2人とも興味はないらしい、エイマはあくまで今は、だけども。

「……えーっと、そういうことなら用事が終わったし、帰る、で良いのか?

伯父さん、他に何かすることは?」

と、私が問いかけると伯父さんではなく小メーアが言葉を返してくる。

「あなたにはこのままここに住まう権利があって、必要なら部屋も用意するけど?」

口角を上げてからかうような声でそう言ってくる小メーア。

答えなど分かりきっていると、その態度からこれでもかと伝わってくる。

「いや、帰るよ。

こんな所で暮らしてもしょうがないし、今日はもう家で休みたいな」

私がそう言うと小メーアだけでなく、皆も笑ってくれて……そうして私達は色々と衝撃的な経験をすることになった聖地を後にするのだった。