軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

崖っぷちの勇者君

【勇者ランドルフ視点】

風土病『クラウチダウン』の影響で村が荒廃していく中で、特効薬になるホーンディア討伐を俺は断わっていた。だって、メンドーだし。

それを、勇者である俺のせいにする村人。全く分かって無い。俺は勇者だから、国から守られているんだぞ。

そんな日々を送っていたら……ルディが特効薬を持って来たらしく、回復した村人達にボコボコに殴られた。全く勇者に手をあげるなんて、けしからん。

俺だけでなく、女達も殴られていた。

こんな現場を嫌いなヤツに見られて笑われるとは……ルディのヤツめ。そうしたらヤツは、笑いながら……

「ねぇねぇ、人妻さん。今、どんな気持ちなの? なんか対策を考えてるの? 多分、旦那さんに捨てられると思うけど……ランドルフは助けてくれそうかな?」

全員が『えっ』、って顔でルディを見る。俺も思わず見てしまったではないか。

「当たり前じゃん。旦那さんが苦しんでる所でヤリまくりの奥さんなんて、置いておく意味はないよ。しかも……股から液体出てるし。魔法で妊娠してなくても、子供にも影響あるらしいよ。人妻さんが、今まで受け入れてきた男の遺伝子が入ってしまうらしいよ。だから旦那さんは、もう人妻さんを捨てると思うけど……これからどうするのさ?」

ブルブルと身体を震わせて、後悔し始める人妻。なんでだ? 俺達は別に遊んでいただけだぞ。

「ん〜、勇者君に面倒みて貰うか、村から出ていくか、旦那さんに赦してもらうか、村所有のオモチャになるくらいかな……人妻さんはたいした能力もないのに、顔と身体だけがマシだから、それを活かしていけば良いんじゃないのかな……」

どういう事だ? なんで俺が女達を面倒見ないとダメなんだ? 勇者である俺の面倒を、女達が見るのが普通のはずなのに?

「うんうん、中古になった女と、一緒に居られる男なんて少ないと思うよ……俺なら絶対に、復縁なんかしねーよ。あっ、オススメはしないけど、性欲処理用の女になる選択もあるよ。今とやる事に大差ないから、それもいいんじゃねーの」

泣き出す人妻。ヤレヤレと、ジェスチャーするルディ。他の女達は人妻さんが泣いた事に、非難の目を向けているけど……

「あ〜、泣かしたって目で見てるけど、お前達がやらかした結果を、正確に教えてあげてるだけ。その結果、待っているだろう結末を予想している。心構えが出来た事に、感謝して欲しい位だね。後ね、キミ達も他人事じゃないよ。これで嫁の貰い手なんか、村にはいないよ。勇者君にしがみついて、生きていかないと……」

フゥ、首を横にフリフリして、女達に事実を教えてやるルディ。なんだ? 女達はなんか焦ってるけど……意味がわからん。

「待ってルディ……」「私はそんなつもりは……」「結婚出来ないの?」「たかがエッチくらいで……」「みんなヤッてるし……」

実は、俺もそれどころではなく、村人に殴られ続けていた。なんか顔が腫れ上がり、喋りづらい。

「勇者ランドルフと戦える女達に罰として、ホーンディアを今から討伐させてくればいいのでは? 通常なら彼らは村の為に、率先していかなければならないはずだし……」

なっ……ヤツはまたバカな事を言い出した。なんで俺様が、そんな事メンドーな事をしないと……多分、言ったらまた殴られそうだから黙っとく。

ルディの言葉で、殴り続けていたまとめ役達は動きを止めて、お互いの顔を見て頷く。

その結果……俺達は村の外に追い出されるように最低限の装備だけを持たされて、村人から逃げるようにホーンディア討伐に向かった。

この前まで俺達は狩りをしていた。経験もあるし楽勝だな。俺様はヤレば出来る子だし。

ルディはいないけど、アイツは『おとり』しかしてなかったしな。

ホーンディアを探していた俺達は『おとり』無しで戦った事もないので……上手くいかなかった。ウルフに噛まれ、ツノウサギに突かれ、ベアーに殴られと、魔物達の手痛い歓迎を受けている。良いスキルのはずなのにオカシイ。なんで上手くいかないのだ〜。

「クリスティ、手を擦りむいた。回復してくれ」

「ランドルフ、魔法がもう使えないわ」

クソッ、ルディがいた時なら、ヤツを『おとり』にしてトドメを刺せば良かったけど上手くいかない。ホーンディアも、なかなか見つからないし……何週間も辺りを探したが、結局は見つからなかった。

村に戻ると既に村は、ルディが特効薬を持ち込み、それで回復している状況になっていた。ああ……俺達の苦労は? 目の前には村人にチヤホヤされて、英雄扱いされているルディがいる。

またアイツかぁ、クソクソッ。俺だって頑張ってホーンディアを狩りに行ったのに、この扱いの差はなんだ。

しかも……特効薬を売ったらしくて、ルディは金をかなり稼いだらしい。さらにムカついてしまう。

さらに俺達を優先していた村長や、ルディの父親などは、村人から非難が集中していた。しかもルディは『よろず屋』に最初格安でホーンディアの買い取りをお願いしたんだけど、村長達の指示で買い取り出来なかった事告げて、さらに非難は拡大していた。それは、俺のせいではないだろう?

俺達や村長含めて全員が鉄拳制裁を受けて、畑を元に戻す為に日夜農作業を強制的にさせられ……今年の税金は畑が全滅した事により、村人は税金が支払い不能になっていた。

その税金は原因を作った村長一派が、全額出す事になる。

ルディが不思議な力で、それぞれの家から財産を探し出し、結局は全額没収されていた。

それを見届けたルディは満足そうに頷くと、最後に要らん事を言って去って行った。

「勇者って言っても、使えないんですね。貴方達はその『勇者』とあう言葉に踊らされた。だけど……俺は、村八分にされてた事実を忘れないよ。それが俺の生き方だ」

『勇者』というだけの俺はさらに、風土病から回復した村人の男衆に囲まれてリンチされてしばらくは動く事が出来なかった。人妻と遊んだツケらしい。

ちょっと遊んだだけなのに……