軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

でかい猫。

「相変わらず……でかいな……」

三兄弟はヨシュアの家に来ていた。

パレス領一番の豪商ゆえの豪邸は領主の屋敷なんて足許にも及ばない敷地と豪華さだ。

通された応接室はヨシュア専用の屋敷の中にあり、出された紅茶は王室御用達のロイヤルマークがついていた。

「お待たせしました!エマ様!」

意気揚々とヨシュアが入ってきて自然にエマの隣に座っていたウィリアムを退けて座る。

「ヨシュア。この紅茶美味しい」

安定のエマはすでに3杯目の紅茶に口をつけて笑う。

「それは良かった!お土産に用意しておきますね」

ヨシュアがニコニコとメイドに指図する。

「ヨシュア今日はお願いがあってきたの」

エマがヨシュアをじっと見つめる。

「引き受けました!」

いい笑顔でヨシュアが答える。

「内容聞いてないよ?」

ウィリアムが呆れて突っ込みを入れている。

「エマ様からお願いなんて断るわけないじゃないですか!」

エマのお願いなんてヨシュアにとってはご褒美である。先日のお茶会でのエマのモテ様を見て、時間をかけて口説くとかみみっちいことしてられない。

「猫ですか?」

エマのお願いを一通り聞いて、ヨシュアが驚く。

「猫好きだったんですか?エマ様?……すぐにプレゼントしますよ!何匹いりますか?」

「ヨシュア……僕達がお願いしたのは……猫を取り扱っている商人を紹介して欲しいってことで……」

ゲオルグも呆れながら突っ込みを入れる。まさか自分の父親の誕生日プレゼントをヨシュアに買って貰うわけにはいかない。

「しかし……猫は一匹で家が買える値段しますよ?」

「ううっ」

ヨシュアなら買えるが三兄弟には高すぎる。

「パレス領内には取り扱ってる商会がないので連絡やら輸送やら考えるとあまり時間ありませんが?」

現実はきびしい。パレスくらい田舎になると猫を飼おうなどという発想自体がない。猫は今や、ご飯の心配も、魔物の心配も、お金の心配もない貴族の贅沢品なのだから。

「前(世)なら野良猫拾ってくるとか出来たのに……」

エマが前世を懐かしむ。特に実家の方はど田舎だったので野良猫もいっぱいいたし、気づいたらうちの子になってたりした。同じ田舎なのに、こちらの猫不足は、スチュワート家にとって深刻な問題だ。

猫のいない世界なんて、タピオカとミルクティーの入ってないタピオカミルクティーのようなものだ。

「野良猫……ああっ!噂がありましたね野良猫」

ヨシュアがそう言えば……と話し始める。

「数年前からスカイト領で猫の目撃が相次いでまして、どこかの屋敷から逃げたのかと言われてましたが飼い主はおらず、群で魔物を狩ってるとか?」

「でも……猫は高価だから誰かしら捕獲なりしてないの?」

一匹で家一軒買える猫が放っておかれる訳がない。金を掘り当てるより、ギャンブルで一人勝ちするより稼げそうだ。

「それがその猫達は特別でかくて、すばしっこくて誰にも捕まえられなかったみたいです」

魔物を狩れるほどの猫なら人間に捕まらずにいることもできるようだ。

「でかい……猫」

エマの目が光っている。

でかい猫……なんて素敵な響きなんだ……。

モフりたい。

「スカイト領……はさすがに遠いよ姉様」

ウィリアムがエマの目をみて釘をさす。

取り敢えず今日のところはヨシュアの家に猫カタログを取り寄せて貰うように頼み、家路についた。

三兄弟はお小遣い制ではなく欲しいものがあれば父に頼む方式の為、父は買ってくれるだろうし、喜んでくれるだろうが流石になんか違う。

帰りの馬車で3人で金策を話し合うがなかなか良い案は出なかった。