軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第096話 秘密を知る人間が増えてきたな……

「ただいまでーす!」

俺がソファーでまったりしていると、カエデちゃんが帰ってきた。

「おかえりー。残業って言ってたし、もっと遅いのかと思ったわ」

今は7時半だ。

「早く帰りたくて頑張りました! 明日はお休みです!」

「おー! 良かったねー! ご飯を用意するから一緒に食べようよ」

「はーい! あ、着替えてきます!」

カエデちゃんがそう言って、リビングを出ていったため、俺はキッチンに行き、買っていた弁当をレンジで温める。

俺が弁当を温め、ビールと共にテーブルに置くと、カエデちゃんがリビングに戻ってきた。

「あ、なんとビールまで用意してあるじゃないですか! 先輩、スパダリですねー」

スパダリのハードルってめちゃくちゃ低いんだな。

カエデちゃんがニコニコ顔で席に着いたので俺も座る。

「かんぱーい!」

「おつかれー」

俺達は乾杯のビールを飲むと、弁当を食べ始めた。

「今日は疲れましたけど、良いこともありましたねー。レベル3の回復ポーションは絶対に高く売れますよー」

「だよねー。一気に稼ごうぜ。あ、そういえば、カエデちゃんって夜勤とかないの? 前はたまにあるって言ってたけど、一緒に住み始めてからはないよね?」

俺は以前から気になっていたことを聞いてみる。

「あー、それですかー。私の夜勤って、要は鑑定が使える人がギルドに1人はいないといけないからなんですよ。でも、先輩が鑑定メガネをくれたからどうとでもなります。ですので、ほぼほぼ夜勤はなくなりましたね。元々、女性の夜勤は危ないので避けますし」

鑑定メガネを共有してんのか……

他のギルドに売ろうかな?

「夜勤って危ないの?」

「夜勤は数人ですからね。たまーに酔った冒険者とかが来るんです」

そら、危ないわ。

ウチのカエデちゃんが危ない。

「確かに女性は危険だな……鑑定メガネをサツキさんにあげて良かったわ」

「ですねー。ところで、なんでそんなことを聞いてきたんです?」

「いや、気になっただけ」

ホント、ホント。

「ふーん……私がいない方がいいとか思ってません?」

「思うわけないじゃん。一緒がいいよ」

「…………じゃあ、聞きますけど、玄関にある見たことのない女性物の靴は何です?」

カエデちゃんが笑顔を止め、箸を置いた。

「その件ね。怒らないで聞いてくれる?」

「…………内容によります」

浮気じゃないのになー。

「実はね、夕方にヨシノさんが訪ねてきたんだよ」

「ヨシノさん? え? 家に来たんですか!?」

カエデちゃんが驚く。

「俺も急に来たからびっくりした。それで大事な話があるって言われたから家にあげたんだよ」

「大事な話…………まさか……」

カエデちゃんも察したらしい。

「そうそう。来ていきなり、お前はエレノア・オーシャンだろうって言われちゃったよ。多分、バレてると思う」

びっくりした。

「えー……本当にいきなりですねー。しかも、わざわざ家に来るなんて…………え? 多分って? 思うって? ヨシノさんは?」

「俺一人じゃ対応できそうにないから黙らせた」

「だ、黙らせた!? 何をしたんです!?」

カエデちゃんが身を乗り出してきた。

「これはマズいって思ったからコーヒーに隠し味として、エレノアさん特製の眠り薬を入れた」

コーヒーを飲んだら一口で倒れたね。

ホント、すごい効果だわ。

「何してんですか!? 最低じゃないですか!?」

カエデちゃんが怒る。

「しゃーないじゃん。先にアポなし突撃をしてきたのは向こうだよ?」

ゆるせん!

あの巨乳、カエデちゃんの留守を狙ってきやがった。

俺一人ならぼろを出すとでも思ったか?

「卑劣さでいけば、眠り薬の方が…………いや、まあ、それはいいです。それで、その眠らせたヨシノさんはどこにいるんです?」

「俺の部屋で寝かしている」

「先輩の部屋ですか…………」

言っておくけど、おっぱいは触っていない。

そんなことを考える余裕はなかった。

「寒いしねー。風邪を引かせると悪いからベッドで寝かしてる。カエデちゃんの部屋は鍵がかかってたし」

「ハァ……あれって効果時間は6時間でしたっけ?」

眠り薬は何回か夜とかに飲んだことがあるが、ぴったし6時間で目が覚めるのだ。

「そうそう。だから起きるのは10時過ぎかな? それまでにどうするかを決めないと」

「先に言ってくださいよ。ビールを飲んじゃったじゃないですか」

だって、カエデちゃんが怒ると思ったし。

ちょっと機嫌を良くしようと企んだのだ。

「まあ、このくらいは飲んだうちに入らないって」

「ハァ……先輩、ご飯食べたらサツキさんを呼びますね」

「従姉だし、それがいいだろうね」

サツキさんに説得もとい、金で買収してもらうしかないだろう。

「じゃあ、食べましょう。せっかく先輩が用意してくれたご飯ですし」

カエデちゃんはそう言って、箸を取り、食事を再開した。

「買ってきて温めただけだけどね」

「それは料理ですね」

そうかな?

器に移してすらないんだけど…………

◆◇◆

カエデちゃんはご飯を食べ終えると、サツキさんに電話をするということで自室に戻っていった。

俺もその間にナナポンに電話をすることにし、ソファーに座ると、スマホを手に取る。

「もしもし? ナナカさん?」

めんどくさいが、ナナポンがうるさいのでエレノアさんにチェンジしている。

『もしもしー? エレノアさんですか? こんな時間に何の用です?』

「遅くにごめんなさいね。あなた、今、何してるの?」

『家ですよー。エレノアさんにもらったポーションを整理しているところです』

友達の家に遊びに行くって言っていたが、もう帰っているらしい。

「いきなりだけど、今日、ヨシノさんと会ったって言ってたわよね?」

『ヨシノさんですか? そうですね。ミレイユ街道の帰りに会ったのとギルドに行く時に会いましたね』

「行きの方はこの前の誘拐事件の事情聴取だったわよね? それだけ?」

『ですねー。あとはギルマスさんの話です。まあ、長々と話してたわけではないですよ。エレノアさんを待たせていましたし、ほんの数分です』

ん-? バレた原因はナナポンじゃないっぽいなー。

「冷静に聞いてちょうだい。夕方にヨシノさんが私の家に訪ねて来たわ」

『ん? エレノアさんの? というか、沖田さんのお家ですよね?』

「そうそう」

『…………浮気?』

なんでやねん。

「浮気じゃないわよ」

『付き合ってませんもんね』

そういう意味じゃない!

「沖田君はカエデちゃん一筋だから大丈夫」

『そのかっこいいセリフを私じゃなくて本人に言ってくださいよー』

うるさいガキだな。

19歳のくせに。

「そんなことはどうでもいいの。それよりも家に来たヨシノさんが沖田君にお前がエレノア・オーシャンだろうって言われたのよ」

『え? なんで?』

「知らない。だからあなたに今日のヨシノさんが変じゃなかったか聞いてるの」

『あー、なるほど。うーん、でも、そんなに変なことはなかったような…………あ、でも、なんでミレイユ街道にいたんですかね?』

そういや、そうだな。

待ち合わせって言ってたけど、夕方だったし、冒険に行くような時間ではないと思う。

夜の遠征?

でも、それにしては早い。

ただでさえ、遅い出勤に定評のあるヨシノさんが早めに来るだろうか?

「うーん、変な会話はしてないわよね?」

『別に…………あ、でも、やたらジロジロ見てませんでしたか?』

見られてたな…………

頭からつま先までガン見だった。

正直、感じが悪かったが、いつも沖田君がヨシノさんを見ている手前、そんなことは言えなかった。

「その辺かしらねー? まあ、いいわ。何かあったら連絡するからあなたは家で待機」

『ん? 話は終わったんじゃないんです?』

まあ、夕方に訪ねてきて、今はもう夜だもんね。

「ちょっと眠らせたから」

『えー……』

ナナポンが電話越しに引いているのがわかる。

「私一人では対応できないし」

『あのー、もし、ブラフというか、ハッタリだった場合、その行動は自白してません?』

…………………………。

「おやすみなさい。いい夢を」

『いや、エレノ――』

俺はナナポンを無視し、電話を切った。

「ったく、あのガキは…………」

そんなことを言われたら俺がバカみたいじゃないか。

「ナナカちゃんは何て言ってました?」

俺がスマホを切ると、いつのまにかリビングに戻ってきたカエデちゃんが聞いてくる。

「よくわからないってさ」

確か、そう言ってた。

「ですかー……あ、これからサツキさんが来られるそうです」

「何て言ってた?」

「お前らの愛の巣に行くの? うえー、だそうです」

そこはどうでもいいだろ!

「このままエレノアさんの姿で待つわ」

沖田君だと、めちゃくちゃ言われそうだし。

「まあ、ヨシノならどうとでもなるって言ってましたね。なんとか説得するそうです」

前にも言ってたけど、大丈夫かねー?

「そっか。とりあえずは待とう」

「そうですね」

カエデちゃんは同意すると、隣に座ってくる。

「どうなるかねー?」

「さあ? レベル3の回復ポーションで黙ってくれませんかね?」

最悪はそれでいくか……

俺達がこのままソファーに座りながら待っていると、サツキさんが家にやってきた。