軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第080話 ヨシノさんに電話(エレノアさんver)

カエデちゃんと飲みに行き、カラオケで盛り上がった翌日、10時に起きた俺達は回復ポーションで二日酔いを治し、朝ごはんを食べた。

「昨日ははっちゃけすぎました……」

カエデちゃんが喉を押さえる。

「めっちゃ歌ってたもんね」

「ですです。でも、回復ポーションってすごいですね。二日酔いも喉も治りました」

カエデちゃんが朝起きた時はカエデちゃんのかわいい声がガラガラだったのだ。

「便利だよねー」

「ホントですねー。先輩様々です。かーっこいい!」

錬金術は本当に素晴らしいスキルだわ。

「カエデちゃんもかわいいよー」

「知ってるー! あ、先輩、コーヒー飲みます? 淹れてあげます」

本日のデイリーミッションを達成すると、カエデちゃんが上機嫌になった。

「おねがーい。あ、ヨシノさんに電話するわ」

「昨日言ってたパーティーの件です?」

「それは後。まずはエレノアさんでアイテム袋を売る件を話すわ」

「なるほどー。わかりました。じゃあ、黙っておきます」

カエデちゃんはそう言うと、洗い物を持ってキッチンに向かった。

俺はテーブルから立つと、ソファーに向かい、置いてあるカバンからTSポーションを取り出して飲む。

すると、すぐにカエデちゃん絶賛の沖田君からナナポン絶賛のエレノアさんに変わった。

俺はブカブカになったスウェットの袖を捲ると、エレノアさんのスマホを操作し、ヨシノさんに電話をかける。

『もしもし?』

電話をかけ、数コールすると、スマホから怪訝そうなヨシノさんの声が聞こえてきた。

「どうもー。はじめまして、エレノア・オーシャンと言います。三枝ヨシノさんの携帯で合ってるかしら?」

『エレノア!? すまん、ちょっと待ってくれ』

ヨシノさんがそう言うと、電話の向こうからバタバタという音が聞こえてくる。

『すまん、待たせたな』

しばらくすると、ヨシノさんが電話に出て、謝ってきた。

「いいえ。お仕事中だったかしら?」

『いや、買い物中だったんだ。今、車に戻った』

この人、車を持っているのか……

俺もやっぱり車を買おうかな?

「お休みのところ申し訳ないわね」

『いや、暇してての買い物だからちょうどよかった』

この人も今日はオフか。

「じゃあ、本題ね。沖田君から聞いたんだけど、私からアイテム袋を買いたいというのは本当?」

『ああ、そうだ。沖田君に橋渡しを頼んだ。ちなみにだが、君は沖田君と知り合いなのか?』

早速、探ってきたな。

「知り合い……まあ、知り合いかな? ウチのギルドは人が少なくてねー。特に昼間に会う人は数人だもの。会って少しお話しする程度よ」

昨日、ヨシノさんに指摘されたし、こう答えておこう。

『そいつは彼女持ちだぞ』

何かの牽制か?

「知ってる。とってもかわいらしい彼女さんね」

洗い物を終え、キッチンから戻ってテーブルに座っているカエデちゃんが満面の笑みで頷いた。

カエデちゃんはかわいいと言われると、ものすごく喜ぶのだ。

そういうところがかわいい。

『いや、知ってるならいい。カエデも知ってる子だし、気になっただけだ』

俺らの関係性を探りたいだけだろうに。

「ふーん、まあいいわ。アイテム袋は100キロでいいの?」

『…………それ以外もあるのか?』

「さあ、どうでしょう? 聞いてみたら? もしかして持ってるかもよ?」

『…………100キロでいい』

おやおや、いくじなしめ。

「いくらで買うの?」

『4000万で買いたい』

4000万から4500万だったな……

「4500万ねー。じゃないと、オークションで出した方がいいもの」

5200万円で売れたし、手数料を引けば、4500万がいいところだ。

『そこをなんとか……4100万出す!』

きざむつもりか?

こいつ、ホント、金に汚い。

「めんどくさいわねー。わかったわよ。4300万にしてあげる」

『4250万で…………』

まさか50万単位できざみだすとは…………

「ハァ……それで結構。他の人に言ったらダメよ。本当は4500万なんだから」

『わかった!』

250万円も浮いて喜んでそうだわ。

「受け取りはいつ? あ、現金でお願いね」

『げ、現金か? わ、わかった。受け取りはいつできる?』

「いつでも。あなたの準備ができたらでいいし、予定が空いていればいつでもいいわよ」

『わかった。ちなみになんだが、オーブをもらうことはできるか?』

オーブ?

あー……カバンをアイテム袋にするやつね。

「なんで?」

『私のお気に入りのカバンを100キロにしたいんだ』

見え透いてるなー。

俺が本当にオーブを使っているのかの探りだろう。

「それは無理。もうアイテム袋にしちゃったし」

『そうか……できたら肩にかけるやつがいいんだが、ないか? ほら、沖田君が持っていたやつ』

「あの10キロのやつ? あれならあるわね」

適当に買うか。

せめて、ヨシノさんの好みっぽいカバンにしてあげよう。

うーん、サツキさんに聞くか?

『あれは本当に10キロか?』

ん?

なんだこの質問?

変だ。

「どうして?」

『昨日、沖田君と会ったんだが、彼、明らかに10キロ以上の量の剣をカバンに入れてた』

………………………………。

俺はチラッとカエデちゃんを見ると、カエデちゃんが手で目を押さえ、天井を向いていた。

「うーん、10キロってことにしてくれない? 実はあれ、一緒に住むっていうお2人にお祝いであげたものなの。でも、あまりお金を持っていなさそうな沖田君だから10キロってことにしてもらってるだけ。トラブルの元だし」

自分で言ってて悲しくなるな。

『あ、そうなのか………うーん、今度、注意しておこう』

えー……

今度、レベル4に注意されるのー?

…………いや、リスペクトだ!

先輩のAランクの助言をありがたくいただこう。

「そうしてちょうだい」

『じゃあ、似たような肩にかけるタイプのカバンにしてくれ。受け取りは…………明日でもいいか?』

明日?

早いな。

「いいわよ。どこで取引をする?」

『池袋ギルドの近くにあるファミレスでどうだ? 奢るぞ』

あそこか……

しかし、ファミレスねー……

「そんなところで取引をするの? あまり大っぴらにできる取引ではないわよ?」

『大丈夫。ファミレスでそんなことをしているとは誰も思わん。あ、でも、あの格好はやめてくれ。さすがに目立つ』

服がないんだけどなー……

カエデちゃんに借りるか。

「わかったわ。じゃあ、昼でいい?」

奢ってくれるらしいし、昼食にしよう。

『ああ、ジュースやコーヒーならいくらでも飲んでくれていい。あ、食事は1つまでだぞ。それ以上は自腹で頼む』

何がいくらでも飲んでいい、だ。

ドリンクバーじゃねーか。

この人、マジでドケチだ……

「じゃあ、それでいいわ。切るわよ」

『あ、最後にいいか?』

「何よ?」

『君、剣術レベルはいくつだい?』

直接的だなー。

「じゃあ、10にしておいて」

『ふーん、わかった。じゃあ、明日な』

ヨシノさんはそう言って、電話を切った。

「ふぅ……」

俺は1つ息を吐くと、テーブルに座っているカエデちゃんを見る。

「ばーか」

カエデちゃんは呆れたような顔をすると、笑いながら罵倒してきた。

ちょっとミスっちゃったね。