軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第078話 サツキさんに相談

俺はヨシノさんとリンさんと別れると、ギルドに戻ってきた。

そして、受付まで戻ると、まっすぐカエデちゃんのもとに行く。

「あれ? 先輩、早いですね?」

時刻はまだ4時であり、少し早い。

そのため、カエデちゃんが意外そうに聞いてきた。

「ちょっとサツキさんに話がある。サツキさんはいる?」

「いますよ。ちょっと待ってくださいね」

カエデちゃんは立ち上がると、奥に向かって歩いていく。

しばらく待っていると、カエデちゃんが戻ってきた。

「先輩、ギルマスが会うって言ってますんで、どうぞ。あ、その間に精算をしておきますよ」

カエデちゃんがそう言って手を伸ばしてきたので刀とカバンとステータスカードを渡す。

「勝手に行っていい?」

「どうぞ」

俺はカエデちゃんに許可をもらったのでエレノアさんがいつもやっているように受付の端に行き、受付内に入った。

そして、そのまま支部長室に行き、扉をノックする。

「入っていいぞー」

サツキさんの声だ。

俺はサツキさんの許可を得たので、部屋に入った。

「よう、お疲れ。まあ、座れや」

サツキさんはソファーで寝ころびながらスマホを弄っていた。

「何してんの?」

俺は対面のソファーに座りながら聞く。

「ソシャゲ。しかし、お前に会うのも久しぶりだな。いつもエレノアだったし」

「俺がここに来るのはナナポンと初めて会った時以来だからなー」

「あの時か…………まあいい。で? 何の用だ? 言っておくが、惚気は聞かんぞ。カエデと仲良く出勤してきた沖田君」

ホント、人間が小っちゃいわ。

「なんで知ってんの?」

「朝早くから冒険に行くようなやる気のある冒険者はここにはいない。朝から職員の中で話題になった」

悲しいな、おい。

「早くDランクになりたかったんだよ」

「ふーん、スケルトン100体だっけ? まあ、頑張れ。あ、そうだ。私もちょっと聞きたいことがあったんだった」

サツキさんはそう言うと、身体を起こし、スマホをテーブルに置いた。

「何?」

「強化ポーションはどんなんだ?」

あー、それか。

「今日、フワフワ草を入手したから防御力が上がるポーションを作った。でも、効果がよくわからないからちょっと色々と試してみるわ。それと、これは売らない方向で行こうと思ってるけど、大丈夫?」

「ああ、カエデから聞いている。私も売らない方がいいと思うから個人で使え。特にナナポンは後衛だからその防御力が上がるポーションは万が一に備えて有用だろう」

「じゃあ、そうする。また何かわかったら報告するわ」

錬金術師らしく、また色々と実験をしよう。

これが意外と楽しい。

「了解。それでお前の用件は何だ?」

「今日、クーナー遺跡でヨシノさんに会ったわ」

俺は本題に入ることにする。

「ヨシノ? あいつ、まだクーナー遺跡にいるのか?」

「エレノアさん目的じゃなくて、新人の指導だってさ。実際、新人っぽい女の子が3人いた」

「あー、はいはい。あいつはそういうのが好きなんだ。ヨシノだけか?」

道場の子だけあって面倒見がいいのかね?

「いや、リンさんもいた」

「リン? ふーん、ヨシノといい、リンといい、下の名前で呼ぶくらいには仲良くなったのか?」

「まあ、そこそこに……でも、リンさんはまず、苗字を知らない」

「ったく……自己紹介くらいしろよ。リンは清水だ」

清水リンさんね。

覚えた。

「それでさー、ヨシノさんにパーティーに誘われたわ」

「パーティー? お前が? エレノアではなく?」

まあ、意外に思うだろう。

「うん、俺」

「ふーん、どうするんだ? 入るん?」

「どうした方がいいかなって相談しにきた」

「別に移籍するわけじゃないんだろ?」

「カエデちゃんがいるからしない。それにステータスカードのことがあるから移籍できないって話になったじゃん」

ヨシノさんがユニークスキル持ちかはわからないが、もし、俺のステータスカードを見られ、錬金術のスキルが見つかるとマズい。

おそらくだが、ヨシノさんは他の冒険者のステータスカードを見れるくらいの地位にいると思う。

「だったら好きにしろ。別に反対はせん。でも、ナナポンのことがあるぞ」

「俺も最初はそこがあるから断ったんだよ。そしたら正式なパーティーじゃなくてもいいし、時々、一緒に冒険に行く程度でいいってさ」

「狙いはエレノアか?」

まあ、誰でもそう思うだろう。

「だと思う。繋がりが欲しいんだって。本部長はこの前の回復ポーションの取引のことを相当、悔やんでるっぽい」

「ふーん」

「まあ、ギルド職員と同棲している俺から情報を掴みたいんだと思う」

「そうかもな。でも、お前、クレアとの取引が終わったら本部長に売るんだろ?」

「そのつもり」

早く取引をしたいが、クレアはアメリカに帰ってしまっている。

今は待ちなのだ。

「うーん、お前はどうしたい? ヨシノと組みたいか?」

「今日、1人でスケルトンを狩ってたけど、マジでつまんないのな。雑魚だし、流れ作業だもん。ナナポンが恋しくなったわ」

「それはわかる。ただの骨だしな。これを生活のためにやるヤツもいるが、お前にとったらはした金だもんな」

5000円をはした金と言いたくはないが、まあ、そうだ。

普通にポーションを売った方がいい。

「だから一緒にやるのは良いかもと思っている。どちらにせよ、エレノアさんの姿でナナポンとやることがメインだが、あいつ、大学があるじゃん」

「まあなー。私も大学を辞めろとは言えん。カンニングで勉学方面の意味はないかもしれんが、大学で遊ぶことも重要だからな」

わかる、わかる。

それがあったから今の俺があるし、カエデちゃんがいるのだ。

「それでどうしよう? ヨシノさんが色々と教えてくれるって言ってるし、組むのもありかなと思う。でも、逆に向こうはエレノアさんを探っているわけだから関わらない方がいいとも思える」

「うーん、まあ、お前の好きにしろよ。確かに1人で冒険はキツいだろ。ギルマスとしてもソロを推奨できない。いくらお前が強かろうと、1人では限界がある。極論を言えば、お前がソロ活動中に事故や病気で倒れたらそれで終わりだ」

誰も助けてくれず、スケルトンに殺されるわけか。

「ヨシノさんでいいん? バレたらどうするよ?」

「バレてもあいつならどうとでもなる。一応、従妹だし、金でいくらでも買収できるヤツだ。札束をチラつかせたら黙ってくれる。じゃなきゃ、私を裏切って移籍せん」

こら、相当、根に持ってそうだな。

「うーん、ちょっとカエデちゃんと相談してみるわ。それよかさ、サツキさんって、そんなにヨシノさんを恨んでるの?」

一応、聞いておこう。

ヨシノさんはサツキさんと仲直りしたいって言ってたし。

「恨む? 別に恨んではいないぞ」

「そうなん? 元パーティーごと移籍されたんじゃないの?」

「ああ、ヨシノから聞いたのか。確かにそれでウチの売り上げは下がった。それでどうしようかと悩んだこともある。だがな、そんなことは些細なことだ。私達は今、億の金を動かしているんだぞ。あいつらの儲けなんか、アイテム袋1つでひっくり返るわ」

金の亡者はエレノアさんというヨシノさん以上の金脈を手に入れたんだな。

やっぱりこいつも金しか頭にないようだ。

「じゃあ、気にしてないん?」

「そもそも、あいつは昔からあんなんだ。父親が腰をやって引退するって言ってんのに、自分の金のために車いすに乗ってでもやれって言い放った女だぞ。まあ、気にすると言ったらあいつが本部長の手先だからっていうくらいだわ」

「ふーん」

ヨシノさんが深刻そうに言うからどんなもんかと思ったが、そこまで深刻ではなさそうだな。

というか、ヨシノさんひでー。

人当たりはいいくせにマジで金の亡者だ。

「そうか……逆に言うと、お前にスパイをさせることもできるわけだ。ヨシノから探れよ。探ってくる相手っていうのは逆にぼろを出すもんだからな」

「うーん……」

確かに効果的かも……

今日だって、アイテム袋の購入予定額を聞けた。

レベル2の回復ポーションの購入予定額も聞けるかもしれん。

「悪くないかもー」

「まあ、好きにしろ。あ、でも、カエデに相談するのはいいと思うぞ」

「やっぱり?」

カエデちゃんは賢いもんな。

「ああ、お前がヨシノの巨乳に惑わされないように注意してくれるだろう」

あれはしゃーないよ。

絶対に魔法がかかってるもん。

今日、何度も吸い込まれそうになったわ。

早く、カエデちゃんに悪い魔女の魔法を解いてもらわないと!

…………いや、魔女は俺だったわ。