軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第036話 ナナポンは便利

俺は横川の透視により、順調にスケルトンを狩っていっている。

「…………お強いんですねー」

スケルトン2体を斬り終え、ドロップしたスケルトンの剣を拾っていると、一切、戦闘に加わっていない横川が声をかけてきた。

「まあな。子供の頃からやっていた」

「…………すごいと思います。あのー、お願いがあるんですけどいいですか?」

「何だよ」

「エレノアさんになってもらえません?」

ん?

「なんで?」

「さっきもちょろっと言いましたけど、実は男性の方が少し苦手でして……」

横川が申し訳なさそうに言う。

「男性恐怖症的な?」

「そこまでではないです。ずっと女子校だったもんで免疫があまりないんです」

「よく冒険者になろうと思ったな」

女性もいるけど、割合的には男性が多い。

「なるまでは意識してなかったんです。でも、実際になってみると、ちょっと…………」

「ナンパとかされた?」

「…………声はよくかけられます。ソロですし」

カエデちゃんもナンパされたって言ってたし、そういうのが多いのかねー。

特にこいつは気が弱そうだからナンパされそう。

「俺は苦手? 話しにくい?」

「そんなには…………でも、2人きりがちょっと……」

傷つかないでもないが、まあ、こういう人もいるだろう。

「もしかして、大学生になって冒険を辞めてたのはそれ?」

「…………そうです。でも、そういうのは今後のためにも治した方がいいし、沖田さんは彼女持ちだから大丈夫って、ギルマスさんが……」

適当なことを言うなー、あの人。

「彼女いないよ?」

「え? 朝倉さんは?」

そこまでしゃべったのか。

「付き合ってない」

「え? え? 部屋に連れ込んでませんでした?」

このストーカー女、そこまで見てたんか。

「そんな雰囲気じゃなかったろ」

「…………そうかな? 楽しそうでしたけど」

ずっと見てたらしい。

こいつ、ちょっと怖いな。

「そら、飲んでるしな。お前も飲むか?」

「お酒ですか? うーん、飲んだことないです」

ふーん……

まだ大学生になったばかりか。

「とにかく付き合ってはないわ。でも、今度、一緒に住む」

「ん? どういうこと?」

「付き合ってはないけど、同棲する」

「んん!? どういうこと!?」

壊れた機械みたいになったぞ。

「ガキにはわからん。そういう関係もあるのさ。そう、大人な関係」

「セ、セフレ……!」

本当にむっつりだなー、こいつ。

「それは逆だろ」

むしろ、体の関係がないわ。

まだね!

「意味がわかんないです」

「まあ、そのうちわかるだろう。しかし、エレノアさんねー…………」

「ダメですか?」

「いや、いいんだけど、お前もゲート前を見たろ。あれ、エレノアさんのおっかけだぞ」

多分、めっちゃ群がってくると思う。

お前の嫌いな男が。

「あ、やっぱりあれって、そういう人たちなんですね。ギルド前にもマスコミがいました」

「そうそう。だからエレノアさんはどうかなーって」

「じゃあ、じゃあ、夜に来ましょうよ。だったら人はいません」

夜って、ゾンビやゴーストじゃん。

嫌だわ。

「夜はカエデちゃんがいないからダメ」

「別に朝倉さんじゃなくても良くないです?」

「良くないです。何のために冒険者やってんだよ」

「え? 沖田さんって、朝倉さんに会うためにやってるんですか? ストーカーじゃないですか」

お前にだけは言われたくない。

「マジなことを言うと、ステータスカードのこととかがあるからカエデちゃんがいないとエレノアさんは無理なんだわ」

「あー、なるほど。じゃあ、人がいない不人気の所に行きましょうよ」

「どこ?」

「ダイアナ鉱山です」

ダイアナ鉱山……

ネットで名前は見たことがあるな。

「どんな所?」

「そのまんま鉱山ですね。落盤の可能性があって奥には行けませんが、浅い所なら行けます」

「そこは不人気なん?」

「ハイドスケルトンっていう透明なスケルトンが出るんです。なので危ないので誰も行きません。でも、私には透視があります。私はそこで活動してました」

透明なモンスターってヤバいな。

そりゃ脅威だわ。

でも、こいつの透視はそれすらもわかるのか……

ホント、すげーわ。

「透明なのも見えるん?」

「ハイドスケルトンは透明というか、迷彩って感じです」

擬態してる感じかな?

「ふーん、でも、そこで活動してるなら男と会わんだろ。辞めなくても良かったじゃん」

「行けばわかります。1人で鉱山は嫌です」

確かに怖いか……

俺も嫌だ。

「このクーナー遺跡が人気な理由の一つにその辺もありそうだな」

ここは人が多いし、廃墟とはいえ、街並みだからそこまで怖くない。

「多分、そうだと思います」

「うーん、わかった。じゃあ、そっちに行ってみよう。あ、でも、今日は我慢しろ。俺はレベル6にしたい」

だから朝から頑張っているのだ。

「わかりました。あ、じゃあ、あっちです。4体もいます」

「うむ。案内せい」

俺は横川についていき、スケルトン狩りを再開する。

そして、20体以上のスケルトンを倒すとついにレベルが上がった。

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名前 沖田ハジメ

レベル6

ジョブ 剣士

スキル

≪剣術lv5≫

☆≪錬金術≫

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レベル6

回復ポーションlv1、性転換ポーション

眠り薬、純水

翻訳ポーション、アイテム袋

透明化ポーション、鑑定メガネ、鑑定コンタクト

回復ポーションlv2

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回復ポーションのレベル2を作れるようになったか……

「ナナポン、周囲に人はいるか?」

「ナナポン!? たぬきっぽいからやめてください!」

昔、そんなあだ名のヤツがいたんだよ。

男子だったけど……

「いるか?」

「いませんけど……」

俺はそれを聞くと、カバンからペットボトルの水と薬草を2枚取り出した。

回復ポーションlv2の材料は純水と薬草2枚なのだ。

俺はまず、ペットボトルに入っている水を純水に変える。

「あ、なんか光りましたね」

「これが錬金術だ」

次にペットボトルの中に2枚の薬草を詰め込んでいく。

ちょっと水があふれてしまったが、気にせず、詰め込み、そのペットボトルをじーっと見た。

すると、ペットボトルが強い光を出し、すぐに止む。

俺の手には紫色の液体が入ったペットフラスコが握られていた。

「これが錬金術ですか…………錬金術ってこんなんなんです?」

「知らん」

俺の錬金術のイメージはかわいい女の子がでっかい窯に素材を入れて爆発させるやつだ。

俺はカバンから鑑定メガネを取り出し、作った回復ポーションを鑑定してみた。

鑑定の結果、どうやらかなりの重度の傷すら治せるようだ。

それに毒も治るっぽい。

「うーむ、すごい。しかし、毒々しいな」

紫って……

「それ、なんですか?」

ナナポンが毒々しい回復ポーションを指差しながら聞いてくる。

「レベル2の回復ポーションだな」

「へー、高いんですか?」

「わかんないから帰ったら調べる」

今は沖田君の姿だからカエデちゃんやサツキさんには家に戻ってから電話で報告しよう。

「色んな物が作れるんですね」

「すごいだろう?」

「すごいです。やっぱりこのレアスキルって破格ですね」

他のレアスキルはどんなんなんだろうな?

「よし! これはナナポンにあげよう。トラックに轢かれたらすぐに使えよ」

「ナナポンはやめてください。いや、トラックに轢かれたら即死でしょ。転生して王子様と結婚します」

「そっち派か……」

俺はハーレムを…………いや、やっぱりカエデちゃんがいいわ。

「ですね…………え? それ、くれるんです?」

遅いぞ。

「原価は1100円だ。社会人が奢ってやろう」

水代100円、薬草が2枚で1000円。

「やっす! でも、頂きます。フロンティアは何があるかわからないので」

「その通り。俺が回復ポーションを使えない状態になったら迷わず使えよ」

「ああ……そういう意味のものですか」

当たり前だ。

何のための仲間だよ。

「あ、じゃあ、アイテム袋を貸してくださいよ。嵩張りますし」

「うーん、今、10キロしかないなー。100キロは家だわ」

家というか、エレノアさんのカバンの中だ。

「100キロって………この前、5000万円くらいになったやつですよね? 10キロで十分ですよ」

まあ、10キロもあれば、かなり入るか。

「じゃあ、あげる」

俺は黒いカバンから茶色のカバンを取り出し、ナナポンに渡す。

「…………色が好きじゃないなー」

女子はうるせーわ……

「リュックに入れとけ」

「そうします」

「じゃあ、レベルも上がったから帰るかなー。明日は午後からでいいか?」

「大丈夫です。あ、連絡先を……」

ナナポンがまたもや手をもじもじしだした。

「何? 男子と連絡先を交換したことないの?」

「…………はい」

女子校って言ってたもんなー。

「大学は?」

「女子としか……」

まあ、そういうのもあるか。

俺だって、ロクに女子と連絡を取っていなかった。

4年の時にカエデちゃんとは話すようになったけど。

「じゃあ、こっちにしよう」

俺は昨日、サツキさんにもらったエレノアさんのスマホを取り出した。

「こっち?」

「これはエレノアさんのやつ。ちゃんとエレノアさんが返事をくれるから」

ナナポンとは呼ばないから安心しろ。

「なんかきぐるみとかアニメの中の人みたいですね」

「似たようなもんだよ」

演じているわけだから一緒よ。

「じゃあ、それでおねがいします」

俺とナナポンは連絡先を交換すると、ギルドに帰還した。