軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

最終話 黄金の輝きは消えない ★

今より35年前、世界各地にゲートと呼ばれる門が現れた。

その門をくぐると別の惑星(?)に繋がっており、多くの人を歓喜させた。

あの時が世界が変わる転換期と言われてた。

そして、それから30年経った5年前。

またもや、転換期が現れる。

世界に謎の魔女が誕生し、世界を混乱に落としたのだ。

その魔女は黄金の魔女と呼ばれ、数多くのポーションやアイテム袋を世界に売りさばいた。

そして、最後にはフロンティアのエリアをオークションにかけるという暴挙に出た。

魔女はその後、公の舞台から姿を消したが、いまだに健在であり、世界各国に影響を及ぼしていると言われている。

あれからさらに5年が経ち、またもや転換期が訪れようとしていた。

実はフロンティアの王が生前退位し、王の息子である王子が次の王となったのだ。

そして、その次の王は限定的ではあるものの、地球の国々と交流することを表明したのである。

その次の王の名はアルクというらしい。

…………どっかで聞いたことがある名だな……

「ねえ、大臣、あそこにいるのがフロンティア王であるアルク殿ですよね?」

私達は今、WGOの講堂で座りながら壇上にいる王と王妃を見ている。

「だろうな…………当ててやろうか? あの王妃様の名前はリディアだな」

やっぱりそうか……

「大臣はいつぞやの説明会に参加したんですよね?」

「ああ、5年前だ。あの時、ガキだったヤツらが大人になるには十分な時間だな」

子供の成長は早い。

15歳も20歳になる。

「嫌な予感がしますね」

「他の連中を見ろ。似たような顔をしている奴らがいる」

大臣にそう言われて、周囲にいる各国の代表を見ると、微妙な顔をしている人間がちらほら見える。

「皆様方、今日はお集りいただき、ありがとうございます。また、このような機会をいただき、感謝します」

私と大臣が話していると、壇上の端に座っていた王妃らしき美しい女性が壇上の真ん中に立ち、挨拶を始めた。

「王妃がしゃべるのか……」

「そういう文化では? 異国どころか異世界ですしね」

根本から違うので仕方がない。

「私にとって、そして、皆様方にとって、本日がこれからの両世界の更なる発展に繋がる日であることを願います」

これは私もそう思っている。

これまでまったく接触してこなかったフロンティア人が王が代替わりしたことで方針を変えたのだ。

これを逃してはならない。

「申し遅れました。私はそこにいるアルク王の妻であるリディアと申します」

王妃がそう名乗った瞬間、さっきまで微妙な顔をしていた人々がさらに微妙な顔に変わった。

「当たったぞ!」

「嬉しくないです」

当たったということはそういうことなのだろう。

「我々はこれより少しずつですが、交流をしていきたいと思っています。今日はその挨拶になりますが、まずはこの世界の人々に私達を知ってもらおうと思い、この場を用意していただいた次第です」

そう。

この場にはカメラが入ってるし、世界中の人々が見ている。

まさしく、歴史が変わる瞬間なのだ。

「では、これより、我が夫であるアルク王に挨拶をしてもらおうと思います…………ただ、その前に我が国の最高顧問から一言挨拶があります」

最高顧問?

「最高顧問って何だ?」

「さあ? 宰相とかでは?」

フロンティアでは総理大臣や宰相をそう呼ぶのかもしれない。

「では、師匠、よろしくお願いいたします」

王妃はそう言いながら右端に向かって礼をすると、王が座っている端に避けていった。

「師匠…………」

大臣が天井を見上げた。

師匠ということは王妃が弟子ということだ。

私達全員が王妃が礼をした右端を見ると、端から女性が歩いてくる。

その瞬間、会場がざわつき始めた。

多分、テレビの向こうでもざわついているだろう。

その女性は真っ黒なローブを着ており、その美しく輝く黄金の髪は腰まであった。

そんな女性は今までに一人しか知らない。

5年前、世界の常識を壊し、世界中を混乱に落とした黄金の魔女が壇上の真ん中に立っていた。

「ご紹介にあずかりましたフロンティア王国もといオーシャン王国最高顧問のエレノア・オーシャンです」

この魔女、フロンティアのお偉いさんだったのか……

いや、王が代替わりしたことからか。

自分の弟子が王と王妃になったから権力を手に入れたんだろう。

というか、オーシャン王国って何だよ……

ざわつきは収まらない。

気持ちはわかる。

似たようなことが5年前にもあったからだ。

「相変わらず、うるさいですね。黙らせてほしいの?」

魔女がそう言うと、ざわつきがピタリと収まった。

「よろしい。人がしゃべっている時は黙る。これは常識です。あ、あなた方はヤジばっかりでしたね」

多分、ここにいる政治家は全員、魔女のことが嫌いになっただろう。

いや、元から嫌いだったわ。

「では、挨拶を再開します。王がアルクに替わり、オーシャン王国とこの世界の交流が始まることを大変嬉しく思います。私はオーシャン王国の最高顧問として、この交流をより良いものとし、成功させなくてはならないと思っています」

いや、お前が一番邪魔だ。

お前は乱してばっかりだろう。

あのオークションでアメリカと我が国がどれだけ叩かれたと思っているんだ。

「つきましてはこの交流をスムーズに進めたいと思い、私からの提案があります」

ロクな提案じゃない。

絶対にそうだ。

おそらく、この場にいる全員がそう思っている。

「いくらアルクが優秀な王とはいえ、一度に世界中の国々と交流及び面談はできません」

お、おい……

「なんか既視感があるな……」

大臣が手でこめかみを押さえた。

「そこで私は画期的なアイデアを思いつきました」

やめろよ……

お前は何も考えるな。

ほら、フロンティア王を見てみろ。

ものすごく呆れた顔をしているぞ。

王妃は笑顔でうんうんと頷いているけど。

「オーシャン王国との交流及びオーシャン王国の王であるアルクの交渉権をオークションに掛けたいと思います」

死ね!

この魔女、滅びろ!

「詳細はオークションが決まったら説明します。皆様の参加をお待ちしております。ふふふ、それではごきげんよう……」

魔女はそう言うと、右端に歩いていく。

皆が唖然とする中、この広い会場に王妃の拍手だけが鳴り響いていた。

すると、魔女の足が止まる。

「あ、そうだ。金はもう要らないのでダイヤモンドでお願いしますね」

魔女はそう言い残し、消えていった。

この魔女、今度は金剛の魔女にでもなるつもりか?

魔女が見えなくなると、フロンティア王が立ち上がり、壇上の真ん中に立つ。

「世界中の皆さん、私がオーシャン王国ではなく、フロンティアの王であるアルクです。挨拶の前に一言…………ウチのクソ魔女がすみません」

ホントだよ!!

お前らの国、そのクソ魔女に乗っ取られてるじゃねーか!

~黄金のフィクサーエンド~