軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第276話 頼みごと

リディアちゃんに生命の水をあげて数日が経った。

この日も家でアルクとリディアちゃんのゲーム画面を眺めていると、急にアルクがゲームを中断し、立ち上がる。

トイレかなーっと思ってアルクを見ていると、アルクが俺のところにやってきた。

「ハジメ、陛下がエレノアを呼んでいるんだけど……」

アルクと王様は念話で会話できるのだ。

「んー? 何か用事か?」

「みたいだね。2人っきりで話したいらしい」

2人か……

つまりアルクを抜きにして話をしたいわけだ。

「わかった。ちょっと待ってろ」

そう言って立ち上がると、寝室に戻り、エレノアさんにチェンジした。

そして、リビングに戻り、アルクのもとに行く。

「いいわ。送ってちょうだい」

「じゃあ、行くよー」

アルクが手を掲げると、視界が変わり、王様の書斎にやってきた。

「じゃあ、終わったら呼んでね」

アルクは俺を送ると、すぐに家に戻っていく。

「急に呼び出してすまんな」

デスクについている王様が謝罪してきた。

「いいえ。どうせ暇してたし、問題ないわ。どうかしたの?」

「少し話がしたくてな……」

話ねー……

暇だから呼んだ……ではないだろうな。

「なーに?」

「アルクはどうだ? この前はかなり青ざめていたが……」

モンタニエを燃やした時だ。

「もう問題ないわよ。リディアちゃんが上手くサポートした。こういう時に奥さんがいるといいわね」

俺もカエデちゃんに癒されている。

「そうか……リディアにも感謝だが、お前にも感謝する。アルクはお前らと一緒になってから楽しそうだ」

そりゃゲームしたり、クーラーで涼んでアイス食ってるからな。

楽しいだろうよ。

「良いことじゃない」

「そうだ。とても良いことだ。母親と兄や姉を亡くしたあの子は辛い思いをさせてきたし、王という重責まで背負わせてしまったが、上手くやれているようで私もほっとしている」

あいつ、地味に重いんだよなー……

本人が能天気だからそう感じないが……

「まあ、優秀なリディアちゃんもいるし、私達もできることはするわよ」

暇だもん。

「ありがとう……それとアルクのためにリディアに生命の水を渡したそうだな?」

「そうね。使い道ないし、あげた。あいつ、危なっかしいうえに思った以上に危ないじゃん」

王様が言うように王位が代わる時に不安定になるのもわかるし、例の錬金術師のせいなのもわかる。

だが、それ以上にアルクは舐められすぎな気がする。

「そう、危ない。お前も知っての通り、アルクは末っ子なうえに例の件のせいで重鎮共との繋がりが薄いんだ」

リディアちゃんの親父さんを除けば皆無だろうな。

「頼れる人もいないわけだ」

「まあ、そうなる。だから生命の水が保険としては非常にありがたい。何が欲しい? あんなものをもらったのだから何かを返さなくてはいかん」

いらねー。

「別にいらないわよ。取引で十分に儲かっているし、これ以上何かをもらってもどうしようもないわ」

「では、土地はどうだ? いらないところはいっぱいあるし、譲るぞ」

「アルクがくれるって言ってるからいらない。そのうち、無人島でももらって、避暑地を作る予定」

海で遊ぶんだ。

「そうか……」

「別に気にしなくてもいいわよ。かわいい弟子のためだし、何よりも別に苦労して得た物でもないもの」

暇つぶしに行ったらあっただけだ。

「わかった。では、そういうことにしよう。適当にアルクから土地をもらってくれ」

「そうする。話は以上?」

「いや、本題がある。今日、お前を呼んだのは頼みたいことがあるからなんだ」

頼み?

また仕事か?

「なーに? 誰かを殺すの? それともまた護衛?」

「そんな物騒なことじゃない……お前、時々、怖いぞ」

そんな物騒な仕事しか来ないんだもん。

「じゃあ、何よ? 何か作れって?」

「そうじゃない。実はな、お前にアルクの後見人になってほしいんだ」

後見人?

保護者か?

「なんで?」

「なるべく早く代替わりしたい。正直に言うが、私は足が悪くなってきて色々と辛い。そんな爺よりも若いアルクに継がした方が良い」

「そんなに悪いの? 回復ポーションは?」

「これは老いだ。確かに回復ポーションを使えば一時的に治るが、すぐに痛くなる」

そうなんだ……

「もう引退するってこと?」

「そう遠くないと思う。遅くとも数年だ」

数年……

アルクは10代で王位に就くのかな?

「大変ね」

「そうだ。だからお前に後見人になってもらいたい」

「私? はっきり言うけど、頭は良くないわよ?」

「それはわかっている。そういうのは期待してない」

はっきり言われちゃった……

エレちゃん、ショック……

「じゃあ、何よ?」

「お前はすでにこっちの世界で恐れられている。とんでもないバケモノだとな」

モンタニエも言ってたな。

「バケモノはひどいわ」

「実際、剣術レベル6はバケモノだ」

ふふっ、まあね!

「脅しというか、アルクにはそんなバケモノがついてますよってこと?」

「そういうことだ。下手なことをできなくなる」

少なくとも暗殺を狙う連中は減るか。

「別にいいけど、私、フィーレ人よ?」

「関係ない。私はお前個人に頼んでいる。それにお前にはユニークスキル持ちの仲間もいるし、これからのアルクを支えてくれるだろう」

まあ、ナナポンもヨシノさんも便利だわな。

「まあ、弟子だし、後見人でも間違っていないわね。ウチに住まわせているし」

全部、俺が金を出している。

「やってくれるか?」

「やってくれるも何もこれまでと一緒でしょ。ずっと面倒を見てるわよ」

逆に何が変わるのか教えてくれ。

「すまんな…………私も長くない。少しでもフロンティアやアルクの未来のために動かなければならないんだ」

「いや、そういうことを言う奴は絶対に長生きするわよ」

死亡フラグをビンビンに立てるんじゃねーよ。

あんたが飲んでいる大量の酒とお菓子も俺が買ってんだぞ。

めちゃくちゃ元気じゃん。

「とにかく頼んだぞ」

「はいはい。そのうちフロンティアの国名をオーシャン王国に変えるわ」

「それはやめてくれ」

絶対に変えよう!