軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第261話 暗い、狭い

俺達はその後も洞窟の中を進み、地図を作成していた。

分かれ道があっても以前と同じようにナナポンの指示で進み、行き止まりとなったら引き返し、もう一方の道を進んでいく。

そして、またもや行き止まりだったので分岐している地点まで引き返してきた。

「エレノア、一旦、戻って休憩しましょう。洞窟内だからわかりにくいけど、そろそろ昼よ」

クレアにそう言われたので時計を見てみると、確かに12時前だった。

「そうね」

俺達がそのまま来た道を引き返していると、また浮いている頭蓋骨がいたので一刀両断する。

そして、外まで出てくると、ちょうどいい木陰ができている木の下に敷物を敷いて座り、昼食を食べることにした。

俺とナナポンの昼食はもちろん、ミーアが作ってくれたお弁当だ。

弁当箱を開けると、豪華な食材で彩られたおかずと俵おにぎりが入っている。

「すごいですね」

同じく弁当の中身を見たナナポンが驚いた。

「でしょー? このタコさんウィンナーを教えるのに……あっ」

箸で掴んだタコさんウィンナーを落としてしまった。

「ドジですねー。何してんですか……」

「いや、滑ったのよ」

俺のタコさんがー……

「んー? 弁当? あんたが作ったの?」

クレアがカバンからパンを取り出しながら聞いてくる。

「ウチのメイドが作った」

「メイドなんているんだ……あんたの家どこよ?」

言うわけないだろ。

「フロンティアの王宮」

「マジ?」

「さあね」

あんな所に住みたくはないな。

なんだかんだでアルクもたまに窓から外を眺めているし、やっぱり地下よりも地上がいいだろう。

「まあ、今さらお前の素性なんてどうでもいいけどな。プレジデントはマジで魔女って思ってるみたいだし」

ふーん……

「あんた、お湯を沸かしているけど、昼食は?」

ハリーはキャンプ用のガスバーナーでお湯を沸かしていた。

「これ」

ハリーはカップラーメンを2つほど取り出した。

「2つも食べるの?」

「カップラーメンって美味いけど、微妙に量が少ないんだよ。まあ、日本人用なんだろうが、身体がでかい俺には足らん」

「そう…………クレア、あいつ、マジで死なない? 塩分摂りすぎでしょ」

小声でクレアに聞く。

「もう知らないわよ。さんざん言ったけど、小麦は野菜理論で健康食だって言い張っている。ノーマンといい、私の知り合いは死にたがりのバカばっかりよ」

シャワーを浴びながらタバコを吸うノーマンか。

「かわいそうに……バカしかいないのね」

「ホントよ。それよりも、あのしゃれこうべは何?」

クレアがパンを齧りながら聞いてくる。

「知らないし、ネットでも見たことがないわね。そっちは?」

「もちろん、こっちも聞いたことない。私はアメリカが行けるフロンティアのエリアに出てくるモンスターをすべて把握しているけど、宙に浮く頭蓋骨なんか知らない」

うーん、アルクが知っているかな?

帰ったら聞いてみるか。

「この骨を鑑定してみてよ」

カバンからドロップ品の骨を取り出し、クレアに渡した。

「んー? げっ、大腿骨って出たわよ」

大腿骨ってどこだ?

どちらにせよ、頭蓋骨ではないのは確かだ。

「何の骨?」

「鑑定に出ないわ。そんなのはさっさと捨てなさい。鉱山で亡くなった人のかもしれないわよ」

うーん、どっちみち、売れもしないし、錬金術の材料にもならんか。

それに家に置いておいたら同居人が嫌がりそうだ。

俺は2本の骨を遠くに投げ、食事を再開する。

すると、ハリーもラーメンを食べだした。

その後、昼食をそれぞれ食べ、少し休憩すると、再度、洞窟に入る。

「まーた、いるし……」

さっき倒したところにまたもや頭蓋骨が浮いており、リポップしたようだ。

俺は頭蓋骨を一刀両断し、ドロップ品の骨を無視すると、奥に進んでいった。

そして、引き返した分岐点からさらに進み、探索を続ける。

「……エレノアさん、この奥に広い空間があります」

ナナポンが服を引っ張ってきて教えてくれた。

「……空間? 終点?」

「……いえ、その先にまだ道があります」

まだ奥があるか……

「……わかった。行ってみましょう」

そのまま歩いていくと、ナナポンが言うように広そうな空間に出た。

ただし、暗くてよくわからない。

「んー?」

「エレノア、どきなさい」

クレアがそう言うと、ハリーと共に前に出て、懐中電灯を照らしながら探っていく。

「どう?」

「かなり広いわね」

確かに広そうだ。

「……あ、あの」

ナナポンがクレアの方を見ながら手をもじもじさせる。

「何?」

「……あ、その……」

クレアに見られたナナポンがさらにおどおどし始めた。

「あなた、どうしたのよ? 男じゃなきゃ普通に話せるでしょ」

いくら内弁慶でもここまでじゃなかったはずだ。

「……怖いんですよー。レベル50超えのアメリカのトップランカーですよ」

すぐビビるなー……

「大丈夫だって。何かあっても助けてあげるから。3秒で皆殺しにしてあげるわ。1人1秒」

「…………それ、私も含んでません?」

ん?

あ、ホントだ。

「いいからクレアに話しなさい」

問題の多い弟子だわ。

「は、はい……あ、あの、クレアさん、懐中電灯を……」

ナナポンがそう言いながら伏し目がちに手を伸ばした。

「これ? はい」

クレアは普通に懐中電灯をナナポンに渡す。

「ありがとうございます……」

ナナポンは懐中電灯を受け取ると、探るように動かし、広い空間を照らし出した。

すると、とある岩を照らし、懐中電灯の動きを止める。

「どうしたの?」

「あれ、トカゲです」

トカゲ……

「げっ、サンドドラゴン?」

「こんなところにもいるのかよ……」

クレアとハリーが嫌そうな顔をした。

「あんたら戦ったことあるの?」

「一回だけね」

「以前、そういう仕事があったんだよ。サンドドラゴンの実力を見てみたいっていうことでな」

なるほど。

強さがわからないからAランクのこいつらで試したわけだ。

「どうだったの?」

「動きは遅いんだけどねー……単純に硬い」

「ドロップ品のドラゴンの鱗をもらえたの良かったんだけどな」

そういや、ドラゴンの鱗が落ちるってアルクが言ってたな。

「どうしたの、それ?」

「俺は家に飾っている」

「私は富豪に売った」

クレアはすぐ売るな……

さすがはお金大好きおばさん。

「そんなのがいるわけね」

「動きが遅いって言っても洞窟の中だときついぞ」

「足元も悪いし、何よりも暗いからねー」

うーん……

「エレノアさん、エレノアさん……」

ナナポンが服を引っ張ってくる。

「どうしたの?」

「あれもサンドドラゴンです」

ナナポンがさっきとは違うところを照らしており、そこには確かに岩があった。

「何匹いるの?」

「少なくとも、4匹は確認しました」

多っ!

「チッ、面倒ね」

一番厄介なのは見えないことだ。

いくら気配察知があるとはいえ、足元が悪いので無理はできない。

「どうするの?」

「どうすんだよ?」

クレアとハリーが聞いてくる。

「一度、戻りましょう。無理はできないわ」

暇つぶしに来ただけだし、命なんかかけられない。

とりあえずは戻って作戦会議だろう。

「わかった。引き上げましょう」

俺達は来た道を戻ることにした。