軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第251話 パーティー

早めの昼食を食べ終えた俺達はその場でリディアちゃんと話をしていると、白い礼服に着替えたアルクが戻ってきた。

「うーん、王子様に見えるわね」

「王子様なんだよ」

そうなんだけど、やっぱりリディアちゃんの方がロイヤル感がある。

人柄かね?

「アルク、師匠とカエデ様からお祝いを頂きました」

リディアちゃんがアルクにネックレスを見せる。

「え? 本当? 悪いね」

「気にしなくてもいいわ。弟子のためだし、気持ちよ、気持ち」

「いまだに何の弟子かわからないんだけどね……とにかく、ありがとう」

俺も何の弟子かは知らない。

ただ便利だから弟子にしただけだし。

「あんたには後であげるから夜に来なさい。ピザでも取ってあげるから」

「うん、ありがとう。ゲームするから行く」

ゲームばっかりだな、こいつ。

「アルク様、そろそろ……」

ミーアはアルクに声をかけた。

「それもそうだね。皆、上で陛下が待っているから行こう」

アルクがそう言ったので俺達は控室を出て、2階に上がる。

そして、会場に入ると、すでに各丸テーブルに料理やお酒が並べられており、王様がその料理をつまみ食いしていた。

「おー、準備を終えたか」

王様が俺達に気付き、声をかけてくる。

「お客さんはまだ?」

「もうすぐで来る。頼むぞ」

「任せなさい」

俺達は頷くと、壇上に上がった。

アルク、リディアちゃんが椅子に座り、俺とヨシノさんがそれぞれアルク、リディアちゃんのそばに控える。

ナナポンも俺のそばで透明化ポーションを飲んだ。

最後にゴムを取り出すと、髪をまとめ、ポニーテールにする。

「人斬り魔女さんです」

姿は見えないが、ナナポンがつぶやく。

多分、以前の誘拐犯の時のことだろう。

あの時もポニテにまとめていた。

「正義の魔女よ」

「正義の要素ゼロじゃん」

アルクがツッコんでくる。

「うっさい。ほら、王様が入口に行ったし、そろそろよ」

「わかってるよ」

アルクは呆れた顔から真面目な顔になり、前を向く。

すると、入口が開かれ、一人の髭を生やしたおじさんが入ってきて、王様と握手をしながら何かを話し始めた。

「あれは?」

前を向いたまま小声でアルクに聞く。

「ああやってホストが一人一人を出迎えるんだよ。最初は一番の客。リディアのお父さんだね」

嫁さんの親が最初か。

「ふーん……似てないわね」

「別に僕と陛下も似てないでしょ」

確かに……

王様がリディアちゃんのお父さんと話をしていると、最後に王様がリディアちゃんのお父さんの肩を叩いた。

すると、リディアちゃんのお父さんが部屋の中に入ってきて、アルクに一礼し、適当なテーブルの前に立った。

それから一人ずつ礼服に身を包んだ男性客がやってきて、王様と話し、リディアちゃんのお父さんと同じようにアルクに一礼し、適当なテーブルに向かっていく。

「男ばっかりね」

「私語の多い魔女だなー……今日は男性客しかいないよ。女性客は後日、リディアがホストで招くの」

へー……

そういう風習なのかな?

「護衛は私達だけ? 王様は危なくない?」

王様は一人でお客さんを招いている。

兵士とか警備員がいないのかな?

「それだけ信用しているというアピールだよ。今日招いているのは皆、重臣だからね」

なるほど。

それでも俺達がいるのはアルクとリディアちゃんは特別だからか。

まあ、子供だしな。

その後もどんどんとお客さんがやってくるが、ナナポンもリディアちゃんも何も反応しない。

俺が問題なさそうだなと思っていると、王様が一人の男性客と話し終え、扉を閉めた。

多分、これで全員なのだろう。

王様が歩いてこちらにやってくるのを見ながらお客さん全員を見渡す。

皆、40歳は確実に超えているおじさん達だし、中には太っている者もおり、とてもではないが、強そうな人間はいない。

魔法封じの結界とやらがあるから魔法も使えないし、ナナポンが反応していないから武器もない。

さらにはリディアちゃんも無反応なので特殊なスキルを持っている人もいないだろうし、ひとまずは安心だ。

俺がお客さんを見渡していると、王様が壇上に上がり、お客さんの方を向いた。

「皆の者。改めて今日はよく来てくれた。先の事件より、苦労しているだろうが、皆の頑張りで少しずつ、以前のような生活を取り戻しつつある。真に感謝する」

王様が言い終えると、お客さん達が拍手をする。

「うむ。フィーレとの取引も上手くいっておるし、当面は何とかなると思う。そこで私は次の王を指名しようと考えた。私ももう60歳になるし、諸君らの名前を憶えているうちに後継に託したいと考えたのだ」

王様が笑えない冗談を言ったが、それでもお客さん達はははっと笑う。

「もちろん、次の王はこのアルクだ。私はまだ引退はしないが、少しずつアルクに仕事を任せたいと思う。国家の忠臣たる皆に変わらぬ忠誠をお願いしたい」

王様がそう言うと、アルクが立ち上がった。

すると、先程の拍手の音よりも大きな拍手の音が部屋に響き渡った。

「うむ。アルクと共に……そして、民達と共にこのフロンティアを支え、ぜひ、再建に向けて頑張ってほしい」

王様、本当に国名をフロンティアにしたんだ……

やめればいいのに……

皆が拍手している中で呆れていると、王様が手を上げる。

「本日はもう一つ、めでたい話がある。この度、次期王であるアルクがジスカールの子であるリディア嬢と一緒になることになった」

ジスカール?

さっきのリディアパパか?

「アルク、リディアと共に皆にはこれから未来を担っていってほしい。皆、グラスを持て」

王様がそう言うと、入口からメイド達が入ってきた。

メイド達はテーブルの上にあるワインの栓を抜き、グラスにワインを注ぐと、皆に渡していく。

そして、メイド達の中にいたミーアが王様にグラスを渡すと、アルク、リディアにも渡した。

「私のは?」

「え?」

ミーアに声をかけると、ミーアが固まった。

「ないの?」

「えーっと……」

師匠だぞ。

乾杯ぐらいするぞ。

というか、喉が渇いた。

「このクソ魔女……自己主張が強すぎる」

「ミーア、渡してやれ……」

王様が呆れた顔で指示をすると、ミーアがすぐにワインが入ったグラスを持ってきてくれる。

そして、メイド達は部屋の両脇に控えた。

「さて、皆、グラスは持ったな? では、フロンティアの未来を願い、皆で協力することを誓おう……乾杯!」

「「「乾杯っ!」」」

皆がグラスを掲げ、飲み始めた。

とはいえ、アルクとリディアちゃんは口をつけただけですぐに椅子の裏にグラスを置く。

俺もワインを飲んだが、喉が渇いていたこともあって非常に美味しかった。

「……いいなー」

後ろからナナポンの小声が聞こえるが、さすがにナナポンは厳しいだろう。

俺はワインを飲み干すと、部屋の隅にいるミーアを見る。

すると、目が合ったので指をちょいちょいと動かした。

意図を察したミーアが慌ててボトルを持ってやってきて、ついでくれる。

「……クソ魔女、護衛なことを忘れるなよ」

アルクが前を向いたままつぶやいた。

「あなた達を祝おうという思いやりよ。あ、ミーア、いちいち戻らないでそこにいなさい。どうせすぐに空になるから」

元の位置に戻ろうとするミーアを止める。

「は、はい」

「クソ魔女……」

本日の主役が苦々しい顔をするな。

リディアちゃんを見ろ。

いつもの笑顔だぞ。