軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第183話 最悪なスキル

アルクが言うにはフロンティアは一度、滅んだらしい。

「それ、言っていいの?」

「僕の権限で言える限界かな? でも、言いふらしたらダメだよ」

「言わないわよ。そもそも私達は内緒で来てるし」

まあ、カエデちゃんとナナポンとサツキさんには言うと思う。

「ん? 内緒って?」

「あんたら、手紙を送ったでしょ? あれがお偉いさん方に見られてね」

「そうなの? でも、わからないようにこっちの文字で書いたんだけど。君は翻訳のスキルを持ってるわけだし」

だから俺以外には読めなかったわけか。

翻訳ポーションを飲んで文字を書けば、誰にも読める文字になることはわかっている。

こいつらがなんでそれをしなかったのかは気になっていたが、一応、配慮したんだ。

「読めなくてもフロンティアから手紙が来たら騒ぎになるわよ。引きこもりのあんたらからの手紙なんてこれまでに一度もなかったわけだし」

「あー、ごめん。でも、他に方法がなくてね」

「誤魔化したから別にいいわよ。あと、私は翻訳のスキルは持っていない」

というか、おそらく、そういうスキルはまだ確認されていないと思う。

「そうなの? でも、言葉が通じてんじゃん」

「アルク様……」

ミーアがアルクに声をかけた。

「なーに?」

「言葉が通じているのはエレノア様だけではありません。ヨシノ様もです」

「あ、ホントだ…………え?」

アルクは今まで気付いていなかったようだ。

「翻訳ポーションを飲んでるのよ」

「マジ? レア中のレアアイテムじゃん。それがあれば滅んだ際に失われた古代文字も読めるじゃん」

俺も交渉が下手と言われているが、こいつよりマシだ。

「そうなの? じゃあ、あなたのお父様に営業をしてみるわ」

高く売れそうだ。

アルクが余計なことを言わなきゃ、二束三文で売ったのに。

「アルク様…………いえ、なんでもありません」

アルクの失言に気付いたミーアが諫めようとしたが、すでに遅いことに気付いたようだ。

「ミーア、あなたが優しいのは良いことだけど、少しは厳しくしないといけないわよ?」

「申し訳ありません…………」

「ねえ!? 君らってどういう関係!? 親と先生に見えるんだけど!」

誰がお前のママだ。

「いいから話を続けなさい。それで滅んでどうしたのよ?」

「あ、うん。滅んだ原因は主に戦争なんだよ。だから生き残った僕達は戦争を毛嫌いしている」

だから接触を最小限に留めているのか。

まあ、平和はいいことだ。

「つまり、それでも接触しないといけない理由があったのね?」

「そうそう。一度滅んだゆえに物資が足りないし、色んな技術が失われちゃってね。それで遠見の魔法で知った豊かな世界に援助を求めたんだ」

「その見返りが貸し出した土地?」

「だね。僕達は人口が少ないから土地を持て余している。いらないからあげるって感じ。まあ、今後、復興して人口が増えた時用に貸しているって体なわけ」

なるほどね。

今は使ってないけど、後で必要になったら返してねってことか。

「それ、争いにならない?」

あくまでも貸しているのだから筋は通っているが、遺恨が残りそうだし、地球側は納得しなくないかな?

「そうなった時にゲートを閉じるんだよ」

さようならってわけか。

「ふーん、まあ、先の話ね」

「そうそう。どっちみち、数百年後の話だから僕らが考えてもしょうがないことだよ」

「物資が足りないのはよくわかったわ。それで私のアイテムが欲しいわけね」

「だね。それでこっちが代わりに渡すものなんだけど、こっちの世界の紙幣はいらないよね?」

フロンティアもお金は紙幣か。

「当然ね。あんたらもこっちの世界のお金はいらないでしょ」

「もちろん。だから物々交換でいいかな? 他にあれば聞くけど?」

「それでいいわよ。私もそのつもりだったからね」

「わかった。その辺のことは陛下と交渉してほしい。僕はあくまでも交渉前の説明役だから」

うんうん。

色んな情報をありがとう。

「少し、聞いてもいい?」

「話せることならいいよ」

これはもうちょっと情報を引き出せそうだ。

「ステータスカードって何?」

「あー、それね。フロンティアはそういう世界って思ってくれればいい。ステータスカードはその人の身分を証明するもの。そして、管理するものなんだ」

「管理?」

「ステータスカードは人が産まれた時に神から授かるものとされている。真偽は知らない。そして、ステータスカードは王族が管理する」

授かりものだったのか……

しかし、俺は2枚持ってる。

どうなってんだろ?

「なんであんたらが管理するの?」

「誰が何のスキルを持っているかを把握するためだよ。特に…………えーっと、言ってはいけないことなんだけど、君はいいか。ユニークスキルを把握しないといけない。あれは危険だ」

やはりユニークスキルが出てきたか。

「ユニークスキル?」

何それ?

エレちゃん、知らなーい。

「清々しいほどにすっとぼけたね。ユニークスキル持ちのくせに……まあいいや。君達もこっちに来てステータスカードを得ているのだから知っているだろうけど、特定の人物はユニークスキルを持っていることがある。そのユニークスキルは有用ではあるんだけど、非常に危険なんだ。こっちの世界が滅んだ戦争の原因の1つでもある。そして、ユニークスキル持ちは異常者が多い」

えー…………

「ふふっ、異常者さん」

俺はヨシノさんの肩を叩いた。

「異常者は君だろ! サイコ女のくせに」

「あん? ミス・ユニークが何を言ってんのよ!」

「ケンカはやめてよー」

年齢が半分のガキに諫められたのでさすがに俺もヨシノさんも言い争いをやめた。

「ふん。とにかく、そうやって国民のスキルを把握し、犯罪を抑制してるわけね」

「そういうことだね。ユニークスキル持ちが危険なのは君達が証明している。というか、そっちの人もユニークスキル持ちなんだね」

こいつって、一言多いんだよな。

「そうね。まあ、危険なスキルではないとだけ言っておく。ところであんた、挑発のスキルを持ってない?」

「え? わかるの? 実はそうなんだよね。僕、挑発なんかしたことないのにそのスキルがある」

天然か……?

悪意はないんだな……

なおさら、タチが悪いけど。

「わかるわね。それと転移魔法ってユニークスキルじゃないの?」

「おーっと、それは言えない。でもまあ、そんなもんだよ」

正式には違うのか。

王族が使えるってことは逆に言うと、王族なら誰でも使えるってことだもんな。

ユニークではないのか。

「ミーアはユニークスキルを持ってないの?」

俺はミーアに聞いてみる。

「ユニークスキル持ちは王族のそばにお仕えできませんよ。私は一般的なスキルしか持ち合わせておりません」

この世界だと、ユニークスキル持ちはかなり厄介だと思われてんだな。

「ふーん、ところでアルク」

「なーに?」

「あんた、なんで私がユニークスキル持ちなことを知ってるの?」

「え!? だ、だって、異常者…………じゃない、個性的だもん」

こいつの挑発レベルって高そうだな……

「それにしては断定的に言うわね? さっき、ヨシノさんに向かって、この人もユニークスキル持ちって言ってたし、明らかに確信があるわよね?」

「えっと、その……」

アルクがチラチラとミーアを見て、助けを求め始めた。

「ミーア、ここはこの子が成長する時よ。助けてはダメ」

「…………かしこまりました」

ミーアは素直に頷き、助け舟を出すのをやめる。

「ねえ! 君達、本当に僕のお母さんと先生みたいだよ! おかしくない!?」

「いいから言いなさい。怒らないから」

「僕、こんな母親は嫌だよ……」

俺だって嫌だわ。

そもそも母親っていうのが変だ。

「ほら、いいから言いなさい」

「ぼ、僕が気付いたわけじゃないけど、君の持っているアイテムは異常なんだよ」

「いっぱいあること?」

「それもだけど、透明化ポーションは君の国に貸しているエリアのモンスターからはドロップしない」

あ、そうなんだ。

透明だし、ハイドスケルトンからドロップするのかと思ってた。

「それで?」

「だから君のユニークスキルは最悪とまで言われたユニークスキル…………錬金術だと思う」

錬金術を知っているのか……

そして、最悪なスキルらしい。

「錬金術がなんで最悪なの?」

「さっき、こっちの世界が滅んだ戦争の原因の1つにユニークスキルがあるって言ったでしょ? 世界大戦になったきっかけが錬金術師の奪い合いだったんだよ」

よし!

錬金術のスキルは絶対にバレてはいけない!

というか、引退決定!