軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第181話 再びフロンティアへ

家に帰った俺はすぐにエレノアさんから沖田君に戻り、カエデちゃんがいるリビングに向かった。

「手紙とやらは何でした?」

カエデちゃんがソファーに座っていたので俺もその隣に座ると、カエデちゃんが早速、手紙の内容を聞いてくる。

「ポーションを売ってほしいんだってさ。その交渉をしたいからフロンティアに来てだって」

「フロンティア……行くんですか?」

「行く。通貨事情はわからないけど、こっちと一緒ってことはないでしょ。だから売買は物々交換になると思う。高く売れそうなものと交換できるかもしれない」

他にも便利なアイテムとかでもいい。

「危険では? そこまでしてお金がいります? もう十分、持ってるでしょ」

「正直に言えば、フロンティアに行ってみたいって気持ちが大きい。30年間、未知だった存在に興味がある。それに俺らが知らないアイテムもあるだろうし、ワクワクする」

ぶっちゃけ、これが本音だったりする。

「まあ、私も気にならないと言ったら嘘になりますけどね」

「でしょ。まあ、今回は一人じゃなくて、ヨシノさんも連れていこうと思う」

行けたらだけど。

「ヨシノさんが一緒なら安心かな? あの人、慎重な人だから」

お金のこと以外はね。

「どういう話になるかはわからないけど、明日、まずは話を聞いてみる。アルクやミーアを見る限りは野蛮な人種って感じではなかったし」

「野蛮だったら攻めてきそうですしね。大人しい人達なのかもしれません」

転移魔法があれば、いくらでも戦争で活用できそうだしな。

戦う気はないって感じだ。

というか、関わる気があまりないのだろう。

「とにかく、さっさと行って、交渉してくるわ。今度こそ冬休みにする。あ、そうだ、来週にヨシノさんを呼んで打ち上げやろうよ」

クリスマスなんだけどね。

「良いですね。今年は良い1年でしたし、最後に打ち上げをしましょう」

「ホントはカエデちゃんと2人きりの聖夜だったんだけどね」

ナナポンのせい。

「別にいいじゃないですか。むしろ、先輩1人に対して、女性が3人ですよ。両手に華どころかハーレムじゃないですか」

俺、クリスマスは女3人と家で飲むんだ。

これを世の男共に言ったら嫉妬と羨望をもらえるだろう。

だが……

「ナナポンが来る時点で俺も女になるんだけどね。それ、ただの女子会じゃん」

「…………先輩のままだと、ナナカちゃんは絶対に嫌がるでしょうしね」

あのガキはホンマ……

「エレノアさんの方が良いっていうのあいつだけだろ。あいつ、もしかしてソッチ系なのかね?」

「いや、単純な憧れだと思いますよ。若干、ストーカーが入ってますけど……」

透視持ちだからなー。

覗こうと思えば、いつでも覗ける。

実際、俺がエレノアさんであることがバレたのは透視で家を覗かれたからだ。

俺は気になったのでナナポンにメッセージを送ってみることにした。

『あなた、今、覗いてないでしょうね?』

『講義中なんでやってません。つまんないです……帰りたいです』

大学か……

真面目にと言っていいのかはわからないが、ちゃんと講義を受けているらしい。

『私は明日からヨシノさんとフロンティアにお出かけに行くからあなたは真面目に単位を取ってなさい』

『泣』

泣いちゃった……

「あいつ、1年からこんなんで大丈夫かねー?」

俺はカエデちゃんにメッセージのやり取りを見せる。

「気持ちはわかりますけどね……」

「あいつ、絶対に社会人にはなれんな。いい男を見つけるか、サツキさんの子分しかないだろ」

「子分でしょうねー……」

俺もそう思う。

サツキさんにこき使われるナナポンが容易に想像できてしまうのだ。

「まあいいや。俺はちょっと明日の準備をするわ」

回復ポーションや透明化ポーションだけじゃなく、色んなのが売れるかもだから色々と準備をしておこう。

「わかりました。じゃあ、私は晩御飯を作ります」

「ありがとー。何を作るの?」

「オムライスでも作ります」

え?

「作れんの?」

「大丈夫です」

ホントに?

「作ったことあるの?」

「ないです」

えー……

でも、まあ、そんなに難しそうじゃないし、カエデちゃんはかわいいから大丈夫だろう。

「じゃあ、お願い」

「任せといてください」

俺はちょっと心配だったが、やる気に満ち溢れているカエデちゃんに任せ、自室に戻り、準備を始めた。

そして、夜になると、カエデちゃんが作ってくれたスクランブルエッグとケチャップライスを食べた。

まあ、美味しかったです。

◆◇◆

カエデちゃんのオムライス(?)を食べたあとはカエデちゃんとまったり過ごし、就寝した。

そして、翌日、昼ご飯を食べ終えると、ヨシノさんが迎えにきたため、ヨシノさんの車に乗り込み、池袋のギルドに向かう。

「ヨシノさんは仕事はいいの? 本部長さんは忙しそうだったけど」

「政府の協議の場とかにはさすがに参加できんよ。私はあくまでも本部長のお手伝いをしている冒険者だからね。だから私は休み」

「へー。協議はどんな感じか聞いてない?」

「少し聞いたな……予想通り、難航している。ただ少なくとも、君を1人で行かせるわけにはいかないということは決まった」

やっぱりか……

同行者とか絶対に邪魔しかしないと思う。

下手をすると、商売の話が決裂しそうだ。

「めんどうねー」

「まあ、こればっかりは仕方がない。まだアメリカが介入してこないだけマシだ」

「漏れないといいわね」

「漏れたらハリー、クレアあたりから君に電話があるだろうね」

そうなると、あいつらと一緒に行くことになりそうだな。

うーん、ヨシノさんの方がいいわ。

あいつら、バカだし。

「さっさと終えましょう。時間をかけると面倒ごとが増えそうだわ」

「だな。利益はある程度妥協してもいいから時間を優先しよう」

「そうね」

俺とヨシノさんが方針を決めると、池袋のギルドの裏に到着した。

駐車場に車を止めると、ギルドに入り、サツキさんの部屋に向かう。

部屋に入ると、サツキさんが暇そうにソファーでソシャゲをしていた。

「暇そうだね」

ヨシノさんが苦笑しながらサツキさんを見る。

「実際、暇だからなー。お前らが来るから出勤しただけでやることなんかないんだよ」

もしかしたら朝からいたのかもしれない。

「それでソシャゲ? 手紙のことはギルドに報告したの?」

俺はサツキさんにその辺のことを確認する。

「したぞ。ギルドのお偉いさん方も協議中」

「サツキさんは? あなたもお偉いさんでしょ?」

支部長じゃん。

「呼ばれてない。あくまでもギルド全体の問題であって、池袋支部は関係ないんだとさ」

「いや、ギルドも関係ないでしょ。私の問題じゃないの」

呼ばれたのは俺であって、ギルドはまったく関係ない。

「そういうわけにはいかんだろ。まあ、どっちみち私達には関係ない。政府とギルドがどういう答えを出すかは知らんが、その前に終わらせてこい。出し抜きって良い言葉だと思わないか?」

「思うわね。そして、横取りっていう言葉は嫌い」

税金も嫌い。

「同感だ。よし! 行ってこい…………チッ! SSR出ねーじゃん。排出率あってんのか?」

よし!

ガチャやってる人は無視して、フロンティアに行こう!

俺はヨシノさんと共にサツキさんの部屋を出ると、ゲートに向かう。

そして、ゲートの前に立つと、ヨシノさんと共にゲートを見上げた。

「君は行けると思うけど、私も招かれるのかねー?」

それがあるんだよなー。

よし!

「聞こえてるか知らないけど、この人も連れていくからね。1人だと怖いから」

俺はゲートに向かって声をかけた。

「わかるのかな?」

「さあ? これで無理ならしょうがないわよ。あ、手でも繋ぐ? 案外、それで行けるかも」

「やってみるか……」

ヨシノさんはそう言って、俺の手を取った。

「君、あんなに剣を振ってるのにタコの1つもないんだね」

「あなたもないじゃないの」

柔らかい。

「ポーションソープってすごいな」

ナナポンにもらったのかな?

「ホントね。よし、行きましょう」

「せーので行こう」

ガキか……

「はいはい…………せーの!」

俺とヨシノさんはタイミングを合わせてゲートに飛び込んだ。