軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第161話 ジャイアント!

俺達は来た道を引き返すと、今度は右側の道を進んでいく。

「どうでもいいですけど、王族のシェルターになんでスケルトンがいるんですかね?」

暗い通路を歩いていると、ナナポンが聞いてきた。

「知らないわよ。それを言うなら上のクーナー遺跡にスケルトンが出てくるのも謎よ」

あれ、なんなん?

「私、最初は滅んだ住民の霊的なものかと思ってたんですけど、人は8本も腕はないですよね……」

「実はフロンティア人の腕は8本だったりして」

「阿修羅じゃないですか…………」

キモいね。

「冗談よ。スケルトンと人間の関係性は低いと思うわね。あれはモンスター……そう思っておきなさい。攻撃が鈍るわよ」

あまり深く考えてはいけないことだ。

「そうですね……エレノアさんはアレですから大丈夫でしょうけど、私はビビってしまいそうです」

アレ?

度胸がある…………っていう意味には聞こえないな。

「あなたは最悪、戦えなくてもいいわよ」

「大丈夫です!」

そう気張らなくてもいいのに。

「ホントにいいのよ?」

君は見てくれさえすればいい。

「…………あ、私の心配じゃなくて、私より上のレベルになりたいていう意味ですね」

「あなたを心配する必要なんてないもの。あなたは私の後ろにいればいい。それで100パーセント安全よ」

「エレノアさん、かっこいい!」

うんうん。

そうだろう、そうだろう。

俺の剣捌きを見せてやるぜ!

俺がご機嫌になって歩き続けていると、通路の奥に扉が見えてきた。

扉はさっきの鉄製の扉とは違い、普通と言っていいかはわからないが、これまで見てきた木製の扉だ。

「終点かしら?」

「多分…………」

時間は…………まだ1時間も経っていない。

一度、戻る必要もないし、このまま行ってしまうか。

「では、黄金との対面といきましょう」

俺はドアノブに手をかけ、扉を押した。

すると、扉がぎーっという音を立てながら開いていく。

俺が扉を開けてまず驚いたのは部屋が明るかったことだ。

上の建物内や建物の外の空洞と同様に壁が光っている。

「明るいわねー」

「ですね…………それに……」

ナナポンが前をじーっと見る。

この部屋はかなり広く、2、30メートル四方はある気がする。

そして、部屋の奥には光り輝く黄金の塊があった。

「あ、あれは?」

「金でしょうか?」

何も知らない柳さんと前田さんが後ろで驚いている。

俺は振り向くと、2人を見た。

「あれこそが私の求めていたもの。黄金は私にこそふさわしい。そう思うでしょ?」

黄金の魔女と呼ばれている俺にぴったりのものだ。

「あれが君の目的か……」

「どうして知っていたんです?」

前田さんが聞いてくる。

「ふふっ。内緒。それよりもここが終点だと思うけど、お仲間さんはいないわね」

まあ、最初からわかっていたことではある。

「なあ、あれはなんだ?」

俺が柳さんと前田さんにかっこつけていると、ヨシノさんが聞いてくる。

「あれ?」

俺は気になったので振り向いてヨシノさんを見ると、ヨシノさんが前の方を指差していた。

その指の先には何かがいくつか落ちていた。

「あれは……隊員証だ!」

柳さんが大きな声をあげた。

「隊員証?」

「フロンティアに行く自衛隊員はステータスカードとは別に身分証を持っている。あれがそれだ」

へー……

何のために?

「柳さん、あれが4つ落ちているということは……」

「そうなるな……」

前田さんと柳さんが神妙な顔をした。

「ねえ? なんでそんな身分証が落ちているの? 死んだら装備品も含めて煙になって消えるんでしょ?」

おそらく自衛隊員の4人はここで死んだのだろう。

だが、何故、身分証とやらだけが落ちているかがわからない。

「あれはピンチになった時にわざと落とすものだ。仲間にここは危険だと知らせるためと自分が殉職したことを知らせる遺品だ」

なるほど。

理にかなっている。

つまりここで何かがあったと……

「あれは回収した方がいい?」

「そうなる。だが、危険だ。私は一度、引くべきだと思う」

「目の前に私の黄金があるのに?」

「君のかというは置いておくとしても、あれはあからさまな罠だろう」

まあ、餌に見えないこともない。

「ふふっ……でしょうね。何か出るわね」

身分証が落ちている周辺の地面が不自然に凹んだりしている。

あれは戦闘の跡だ。

「エレノア、どうする?」

ヨシノさんが聞いてくる。

「決まっているでしょうに。何のために来たのよ?」

「危険だぞ?」

この守銭奴も冒険になると、慎重になる。

とてもいいことだと思うし、頼もしいと思える。

「あなた達はここで待機してなさい。まず、身分証を回収してくるわ」

俺はそう言うと、カバンから最近、まったく使っていないマジックワンドを取り出した。

「やる気か?」

「もちろん。いつでも逃げられるようにしておいて。あと、ナナカさんをよろしく」

「わかった」

俺は進むことを決めると、心配そうに見ているナナポンの頭を撫で、身分証の回収に向かった。

俺が杖を持ったまま歩き、部屋の半分くらいまで到達すると、腰を下ろし、メモ帳みたいな身分証を4つ回収する。

「そろそろかな?」

俺は身分証を拾うと、すぐにカバンに入れ、立ち上がった。

すると、金の延べ棒が積み重なっている前がうっすらと光りだす。

直後、光の中から3メートルはある巨大な骸骨が現れた。

「あらあら?」

まーた、スケルトンかい。

「エレノア! そいつはジャイアントスケルトンだ!」

ヨシノさんが大きな声を出して教えてくれた。

「ふーん」

俺の身長の2倍はありそうな骸骨は俺を見下ろしている。

スケルトンの仲間らしいが、剣を持っていないし、腕は通常の2本だ。

「八腕スケルトンから剣を分けてもらえばいいのにね?」

俺がそう言うと、ジャイアントスケルトンが動き出す。

しかし、動き出したのだが、動きは非常にゆっくりだ。

「あんたも遅いんかい……」

俺が内心、見た目だけの雑魚じゃんと思っていると、ジャイアントスケルトンの右足に力が入っていることに気付いた。

「ん?」

直後、ジャイアントスケルトンがこれまでのスケルトンとは思えないほどのスピードで踏み込んできた。

俺とジャイアントスケルトンの距離は一瞬でゼロになる。

すると、ジャイアントスケルトンがその大きな右拳を振り上げた。

「あらあら?」

ジャイアントスケルトンはものすごいスピードで拳を振り下ろすが、俺はそれを左に跳んで避ける。

「はずれー」

俺がちょっとバカにすると、ジャイアントスケルトンが今度は左の拳を振り下ろしてきた。

しかし、これもバックステップで躱す。

そして、持っている杖の先をジャイアントスケルトンに向けた。

「エアハンマー!」

俺の杖の先から見えない衝撃波が放たれ、ジャイアントスケルトンを襲った。

しかし、エアハンマーの直撃を食らったジャイアントスケルトンは吹き飛ばず、2、3メートル後ずさる程度だった。

「エレノア! そいつはただのジャイアントスケルトンじゃない! 普通のジャイアントスケルトンはそこまで速くないし、頑丈じゃない!」

またもやヨシノさんが大きな声で教えてくれるが、俺はそもそも普通のジャイアントスケルトンとやらを知らないからどうでもいい。

「うーん、スケルトンを吹き飛ばせるエアハンマーなんだけどなー……」

多少のノックバックはあったもののあまり効いてなさそうだ。

俺はマジックワンドをカバンにしまうと、剣を取り出した。

「頼るべきはやはりこれね」

俺は魔女と呼ばれているが、中身は魔法が使えない脳筋アタッカーなのだ。

俺が剣を構えると、ジャイアントスケルトンが再び動き出した。

今度もゆっくりとだが、右足に重心が乗っているのはわかっている。

ジャイアントスケルトンはまたもや踏み込んでくると拳を振り上げ、殴ってきた。

「知能は一緒か……」

所詮はスケルトンだな。

俺は同じように左に避けたが、今度はただ避けただけじゃない。

跳んで避けた反動を使い、振り下ろされたジャイアントスケルトンの右手首に向かって剣を振る。

すると、ジャイアントスケルトンが慌てたようにバックステップして下がっていった。

だが、右拳は俺のそばにある。

「忘れものよ?」

ばーか。

おせーよ。

俺は今度は向こうが何かをする前にこちらから踏み込み、ジャイアントスケルトンに接近する。

すると、ジャイアントスケルトンは慌てたように左手で水平に払ってきた。

「だから遅いっての」

俺はそれをしゃがんで躱すと、すぐにジャイアントスケルトンの払い終えた左腕に切りかかった。

ジャイアントスケルトンは避けようと後ずさるが、その動きは遅い。

俺の振った剣はジャイアントスケルトンが避けるよりも早く、ジャイアントスケルトンの左腕を斬り落とした。

ジャイアントスケルトンは両腕を斬り落とされると、ひるまずに今度は左足を大きく上げた。

踏みつぶす気なのだろう。

「バカかな?」

俺はジャイアントスケルトンが左足を上げると、すぐに地面についている右足に切りかかる。

左足を上げてしまっているジャイアントスケルトンは俺の剣を躱すことも逃げることもできないため、あっさりと右足を切られてしまい、バランスを崩した。

「ばいばーい」

俺は体勢が崩れ、ようやく頭部に剣が届くようになったため、少し飛び上がり、ジャイアントスケルトンの頭部目掛けて斜めに剣を振る。

すると、ジャイアントスケルトンの大きな頭が斜めにズレた。

そして、ジャイアントスケルトンは煙となって消えていった。

「図体だけね」

俺は剣をカバンにしまい、ドロップ品を見る。

目の前にはフラスコに入った紫色の液体が落ちていた。

「紫?」

え?

レベル2の回復ポーション?

いらねー。

俺は落ちているポーションらしきものを拾うと、鑑定をかけてみる。

【回復ポーションlv2】

ホントにレベル2の回復ポーションだし……

レアなんだろうが、俺には1100円にしか見えない。

「ヨシノさん、いるー?」

俺は後ろで控えているヨシノさんに聞く。

「くれくれ!」

ヨシノさんがすぐに走ってこちらにやってきた。

「はい、あげる。今さらいらないわ」

俺はレベル2の回復ポーションをヨシノさんに渡す。

「悪いなー!」

「別にいいわよ。それよりも…………」

俺は部屋の奥にある金の延べ棒ちゃん達を見た。

金の延べ棒ちゃんの輝きは色あせることなく、輝いている。

やったぜ!

ばんざーい!