軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第148話 調査初日の終わり

玄関がある吹抜けの広間に戻った俺達は今度は左にある通路を調査することになった。

左にある通路も先程、調査した右側の通路と同様な構造であった。

どうやらこの建物は左右対称になっているらしい。

そして、道中の部屋の中も白い壁しかなく、何もなかった。

俺達はスケルトンを倒しつつ、歩き、ついに通路の突き当たりにある最後の部屋に入る。

部屋の中は地下への隠し階段があった右側とは違い、本棚すらなく、白い壁だけがある部屋だった。

「何もないですねー」

ナナポンが部屋を見渡しながら言う。

これは感想を言っているように思えるが、透視の結果を含んでいるのだろう。

つまり、この部屋には隠れている階段も部屋もないということだ。

「そのようね。さっきの部屋には階段があったし、こっちにも何があると思ったけど、空振りだったか……」

地下といえば、宝物庫と牢屋だ。

あっちが金の延べ棒がある宝物庫ならこっちには牢屋でもないかなと思ったが、どうやらそういうものはないっぽい。

「どうする?」

ヨシノさんが聞いてくる。

「そうね。今から2階を捜索するのも中途半端になりそうだし、今日は帰りましょう。柳さんと前田さんもそれでいいかしら?」

時刻は4時前であり、2階の広さがわからないが、おそらく途中で引き返すことになるだろう。

「そうだな。半日で1階の調査を終えることができたのはかなりの進捗具合だし、今日はこの辺でいいと思う」

「明るいからねー。暗いままだったらこんなに早くはないわよ」

いくらナナポンがいるとはいえ、暗いと足元が見えないし、どうしても歩みが遅くなってしまう。

「確かにな。光源を確保できたのはこちらとしても大きい。調査代に色がつくと思ってくれ。とはいえ、微々たるものだと思うが」

正直、その辺は一切、期待していない。

地図がいくらで売れるかなんかはサツキさんに任せているし、そもそも聞いていないのだ。

俺達の本命はあくまでも金の延べ棒である。

「まあ、もらえるものはもらいましょう。じゃあ、戻りましょうか。ここは息が詰まって嫌だわ」

俺達は来た道を引き返すことにした。

◆◇◆

広間に戻った俺達は扉の前で顔を合わせ、今後の予定を詰めることにした。

「今日はここで終わりだ。ご苦労だった」

柳さんが本日の閉めの言葉を言う。

「いえいえ、あなた達もお疲れ様。スケルトンを任せちゃって悪いわね」

出てきたすべてのスケルトンは柳さんと前田さんが倒した。

なお、今日は八腕スケルトンことじごくのきしは出てこなかった。

「それが俺達の仕事だからな。それより、次の調査だが、明日はダメだったな?」

「そうね。この子は学生さんだから」

俺はナナポンの頭を撫でる。

「わかった。明後日の土曜日に行きたいんだが、予定はどうだ?」

俺はないな。

「私はいいわよ。あなた達は?」

俺はヨシノさんとナナポンに確認をする。

「私もいいよ。こっちの仕事を優先してるから」

「私も大丈夫です」

2人共、問題ないようだ。

「だってさ。土曜で良いわよ」

「わかった。土曜の……10時からでいいだろうか?」

「8時半じゃなくてもいいの?」

こっちとしては助かるが、この人達の始業はそのくらいだろう。

「我々も準備等があるんだ。色々と申請やチェックもあるしな」

自衛隊って本当にめんどくさいんだな。

「ねえ、あなた達ってなんで自衛隊に入ったの? あのレベルなら冒険者として働いた方が儲かるでしょ?」

こいつらの実力的には絶対にフリーの冒険者の方がいい。

制約もないし、自由に働いて儲けられる。

「自衛隊員がフロンティアに行ける期間は30歳までだ。これは君達も似たようなものだろう。でも、我々は30歳で引退ではなく、その後も自衛隊員として働けるんだよ」

俺らは引退したらニートだもんなー。

その辺の違いか。

「ふーん、安定を取ったわけね」

「もちろんそれだけではないぞ。国家と国民のために従事するという誇りもある」

それは知らん。

俺は就職の際にも公務員には一切、興味がなかったし。

「頑張って。私達は帰るけど、あなた達は?」

「我々も地上に上がる。そこでお別れだな」

「じゃあ、戻りましょう…………明かりは消すべき?」

俺は入口の近くの壁にある出っ張りを見る。

「…………というか、消せるんだろうか?」

「ついたのなら消せるでしょ。あれはスイッチだもん…………多分」

合ってると思う。

「まあ、電池という概念があるかはわからんが、一応、切っておこう」

充電方法もわかんないしな。

「ヨシノさん、切っておいて」

「私か?」

ヨシノさんが自分を指差す。

「つけたのはあなた。別の人がやるとマズいかもしれないじゃない」

ないと思うが、認証装置があるかもしれない。

「じゃあ、触ってみるか…………」

ヨシノさんはそう言って、出っ張りを触る。

すると、出っ張りが少し光り、辺りが急に暗くなった。

「本当にスイッチみたいですね」

見えないが、前田さんの声が聞こえる。

「ああ、前田、すまんが、触ってみてくれ」

「はい」

柳さんが指示をすると、今度は前田さんが出っ張りを触った。

すると、またもや出っ張りが少し光り、辺りが急に明るくなる。

「もう一度、触ってみます」

「頼む」

前田さんが再び、出っ張りを触ると、辺りが急に暗くなった。

正直、明るくなったり、暗くなったりで目がチカチカする。

「スイッチで間違いないようです」

「わかった。これも報告だな…………よし! 出よう」

俺達は調査を終え、建物から出ることにした。

建物から出ると、自衛隊が設置しているライトで辛うじて明るいものの、やはり地下は暗い。

「なあ、ここもスイッチがあるんじゃないか?」

ヨシノさんが聞いてくる。

「ここも? 洞窟というか、ただの自然の空洞でしょう」

「建物の中が明るくなるのはわかったが、その建物に行くまでも暗いだろう? だったらここにも明るくする装置があるかもしれない」

なるほど。

あのレベルの物が作れるのならここにもあるかもしれないな。

「探してみる?」

「うーん、広いな……」

まあね。

建物の比ではない。

「それは明日、我々が調査してみよう」

自衛隊が探してくれるらしい。

「お願い。暗いのは嫌だわ」

「私もそうだ」

だろうね。

皆、そうだろう。

俺達が話しながら歩いていくと、洞窟まで戻り、梯子がある場所までやってきた。

「私が最後かな?」

俺は梯子を見上げながら確認する。

ローブだし、柳さんに中身が見られちゃうのだ。

「君が見せびらかしたいなら先に行ってもいいぞ」

ヨシノさんが笑いながら言う。

「バカ言わないでよ。私はあなたと違って清楚なの」

「おい。その言い方だと私が清楚じゃないみたいだぞ」

「その大きなふくらみに手を当てて、過去の行いを思い出しなさい、ヨゴレ女」

清楚の要素がねーよ。

「ヨゴレ!?」

ヨシノさんはショックを受けた顔をすると、すぐにナナポンを見る。

「ノーコメントで…………あと、エレノアさんは清楚ではないです。悪い魔女でしょ」

清楚な悪い魔女なんだよ。

「どうでもいいが、先に上がるぞ?」

柳さんが梯子を昇っていく。

「あれはあれでレディーファーストがないわね」

俺は梯子を昇っていく柳さんを見上げながら前田さんに言う。

「いえ、そんなことは…………ないような」

前田さんは手をもじもじさせた。

「お幸せに…………あなたも上がりなさい。その次はヨゴレさんね」

「ヨゴレって言うな。安いって言うな。Mって言うな。アラサーって言うな」

わかったから……

あと、アラサーは俺にもダメージが来るわ。

同い年じゃん。