軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第435話 販売額

日を追うごとに、徐々に参加者たちが集まり始めた。

観客には制限をかけているものの、予約も殺到しているようで、当日は満員間違いなしとのこと。

そんな模擬戦大会が3日後に迫っている中……。

私が一番待ち望んでいたローゼさんとベルベットさんが、ようやく到着した。

2人は既に戦闘態勢が万全であり、大会前に話すのはどうかとも思ったものの、こちらも模擬戦大会と同じくらい重要な案件だからね。

既にクリスさんには待ってもらっている状態のため、いち早く説明するべく、到着早々だけど話をすることにした。

「佐藤、久しぶり。……なのに、急に呼び出してどうしたの?」

「……ん。ベルベットと一緒に呼ばれた時点で、私は何となく察しがついてます」

「え? ってことは、漫画関連?」

私はまだ一言も発していないんだけど、早くも察してくれた2人。

「ベルベットさん、ローゼさん、お久しぶりです。2人を呼んだ内容なんですが、ローゼさんの察した通り、漫画関連についての報告と相談があります」

「やっぱり漫画関連だったのね。ただ、ちょっと待って。まだ続きは完成してないの。模擬戦大会もあったから、描き進めるペースが遅くなっちゃってて……」

「続きの催促ではありません。前々からお伝えしていた漫画の見本誌が届いたんですよ」

「……え? 私たちの描いた漫画が本になったってことですか?」

「ええ、その通りです。2人の目でも確認してください」

私はそう告げてから、ベルベットさんとローゼさんに完成した漫画を手渡した。

カラーではないものの、しっかりと表紙も作られた、完璧な1冊。

内容は2人が描いたものだし、新鮮味はないだろうけどね。

とはいえ、こうして本になったのは嬉しいはず。

「……凄いです。ちゃんとした本になっています」

「本当に私たちの描いた漫画が本になってる。……売り出すのは反対していたから大きな声では言いづらいけど、こうして本になると嬉しすぎる!」

2人は満面の笑みで漫画を見ており、嬉しいということが表情から伝わってくる。

ベルベットさんとローゼさんのこの表情を見られただけで、私としては大満足と言えるんだけど……まだ夢の一歩目でしかない。

「喜んでもらえて良かったです。クリスさんが仕上げてくれまして、少々大きくなってしまっているんですが、こちらなら問題なく量産できるみたいです」

「……大きさも全然気になりません。私たちの漫画が国内で売られるんですね」

「正直、実感が湧いてなかったけど、こうして本を見せられたら実感が湧いてきちゃった。……嬉しすぎる!」

いくら見ても飽きないようで、2人は取り合うように漫画を見ている。

まぁ見本誌が問題ないことについては、私も手に取った段階から分かっていた。

本題はここからであり、値段についてをしっかり話し合って決めないといけない。

「それでは、漫画については見本誌通りに売らせてもらいます。……そして、ここから本題になるんですが、1冊の値段はいくらで売りましょうか?」

「1冊の値段? えー……? クリスさんは何て言っているの?」

「クリスさんは金貨1枚と言っていました。1冊売れるごとに銀貨9枚を私たちにくれるそうです」

「……そんなにお金が入るんですか? まだ売れるか決まったわけではないですが、取り分がおかしいと思ってしまいます」

「私もそう思う。せめて50%は渡すべきじゃない?」

その部分については同じ意見。

銀貨1枚もらえれば赤字にはならないと言っていたけど、タダ働きを強いることになるからね。

……いやまぁ、実際はタダ働きではなく、クリスさんがポケットマネーで補填してくれるんだろうけど、全面協力してくれたクリスさんに支払わせるのは違いすぎる。

1冊当たり最低でも銀貨2枚は渡すとして、金額をどうするかだ。

「そもそもなんですが、金貨1枚という値段が私は高いと思いました。2人はどう思いますか?」

「……確かに高いかも。中身を読んでもらえたら納得してもらえるだろうけど、そもそも金貨1枚を支払える層って少ないもんね」

「……私もベルベットと同じ意見。最初だけでも安くした方がいいと思います」

「同じ意見で安心しました。私は半値の銀貨5枚で売って、銀貨2枚をクリスさんに渡す。そして残りの銀貨3枚をベルベットさんとローゼさんで分け合うっていうのはどうでしょうか?」

これがかなり現実的なラインだと思う。

高いことには高いけど……銀貨5枚。

つまりは日本円で約5000円なら、まだ手を出してくれる人は多いはず。

「銀貨5枚でも取りすぎじゃない? 私は銀貨3枚で売ることを推したいかも」

「……賛成です。子どもたちにも読んでもらいたいので、銀貨3枚で売って、私とベルベットが銅貨3枚。佐藤さんが銅貨4枚はどうですか?」

「いやいや。私は何もしていないので、一銭も受け取るつもりはないです。銀貨3枚で売るにしても、銅貨5枚ずつ受け取ってください」

「佐藤が無報酬なのは意味が分からないから! 絶対に受け取ってもらう」

そこから押し問答が数時間行われ、結局漫画の値段は銀貨3枚。

取り分は銀貨2枚がクリスさん側で、残りの銀貨を3人で分け合うことに決まった。

2人は頑なに私に報酬を受け取ってもらいたがっていたけど……本当に何もしていないんだよなぁ。

申し訳なさしかないけど、一向に譲る気配がなく、私だけの意見では覆せる感じでもなかったので、しばらくはこの方針で進めるしかなさそうだ。