軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第378話 置いてけぼり

マニエルさんと話をさせてもらったんだけど、問題ありませんの一点張り。

割引してもらえたら嬉しいくらいの感覚だったこともあり、申し訳なさすぎることも伝えたんだけど……譲ってもらえなかった。

ベルベットさんとは想像していた以上に深い関係みたいで、詳しくは教えてくれなかったけど、救われた過去があるらしい。

マニエルさんは60歳くらいであり、現時点で20代前半のベルベットさんに救われたというのは違和感があるんだけど、王女様となればおかしくはないのか。

とりあえずマニエルさんの計らいということもあり、私が折れることになってしまった。

武闘大会の時期はかき入れ時だろうし、本当にありがたい限り。

せめて物で返すと心に決め、滞在期間は全力で楽しませてもらうことにした。

すぐにでもギナワノスを楽しむ気持ちで部屋に戻ってきたんだけど、部屋には既に誰もおらず、まさかの置いてけぼりを食らってしまったようだ。

私もすぐに話が終わると思って、特に何も伝えずに出てきてしまったのは悪かった。

少し放心しつつも、すぐに切り替えて、1人でギナワノスの街に繰り出そうとした時――

後ろから声を掛けられた。

「あっ、佐藤さん。戻ってきたんですね」

「佐藤、何も言わずにどこ行っていたの?」

振り返ると、シーラさんとベルベットさんの姿があり、つい頬が緩んでしまう。

待っていてくれた嬉しさが強かったけど、それと同時に、待たせてしまった申し訳ない気持ちも湧き上がってきた。

「すみません。マニエルさんと少し話をしていました。2人は待っていてくれたんですか?」

「はい。佐藤さんがどこに行ったのかが分からなかったんですが、宿内にはいると思って待っていました」

「ちなみに、ルーアたちは今回の武闘大会に出場する人のところへ行ったわ。ルーアの知り合いが来ているみたいで、ライムとマッシュは飛び入り参加ができないかも聞きに行ったみたい」

へえー、ルーアさんのお知り合いの方が参加するのか。

顔が広そうだし、もしかしたら結構な数の知り合いが参加するのかもしれない。

それと、ライムとマッシュが武闘大会の出場を目論んでいたことも初めて知った。

魔物の参加者は珍しいだろうし、参加を認められる可能性はあると思う。

年に1度の大きな大会みたいだけど、ライムに関してはいいところまでいけると思っているし、参加できたのなら面白そうだ。

ただ、模擬戦大会とは違い、身内大会ではないため、怪我のリスクがあるのは怖い。

「そうだったんですね。私もせっかくなら会ってみたかったですね」

「それなら、今からでも後を追ってみますか? 『サカノキ亭』というところに行くとは言っていました」

「でもルーア曰く、強くはない人って言ってたわよ? 元は同じルサンソ騎士団に所属していたみたいだけど、ついていけなくて辞めた人って言ってた」

「強くない方なんですか。なら……会わなくてもいいんですかね?」

「私は会わなくてもいいかなと思って、シーラと一緒に佐藤を待ってたからね。まあ佐藤がどうしても会いたいって言うなら、私もついていくけど」

強くないのであれば、確かに会ってみたい気持ちはかなり薄れてしまった。

ルーアさんの騎士時代については聞いてみたい気持ちはあるものの、追いかけてまで会いに行く必要はないか。

「どうしてもって言うほどではありませんので、私たちは別に行動しましょうか。滞在期間を考えたら、話す機会がありそうですしね」

「それでしたら、行きたい場所があるのですがいいでしょうか?」

シーラさんが行きたい場所があるというのは珍しい。

基本的に、私の行きたい場所を尊重してくれるからね。

「もちろん構いませんよ。シーラさんはどこに行きたいのでしょうか?」

「『レガースキッド』というお店です。佐藤さんは知っていますかね?」

「あっ! やっぱりシーラも目をつけてたんだ。私も絶対に行きたいと思っていたんだよね」

「すみません。私は全く知らないのですが、有名なお店なんですか?」

「ギナワノスでは一番有名なお店なんじゃないかな? 歴代の有名な闘技者たちが使っていたとされる武器や防具が売っているお店。値段もすごく高いらしいんだけど、博物館的な感じで見て回ることもできるらしいの」

「へえー。確かに、ギナワノスに来たのなら行かないとだめなお店ですね」

「何も購入しなかった場合は、1人当たり銀貨1枚がかかってしまうのですが大丈夫ですか?」

「もちろんです。マニエルさんの計らいで宿代が浮きましたし、銀貨1枚に渋るつもりはありません」

歴代の闘技者が使用していた武器や防具を銀貨1枚で見て回れるなら、安いくらいだと思う。

もしかしたらガロさんの装備品も置いてあるかもしれないし、話を聞いて私も絶対に行きたいと思ったお店だ。

「それなら早速行きましょうか。行きたいとは言いましたが、場所が曖昧なので迷ったらすみません」

「街の人に聞けばいいでしょ。有名なお店だから、ギナワノスに住んでいる人なら誰でも知っていると思うし」

ということで、『レガースキッド』というお店へ向かうことになった。

一体どんなものが置かれているのか、今からすごく楽しみ。