軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第361話 ハイレベル

残っている方々がC組で確定していることから、くじ引きは行われずに、シーラさん、ポーシャさん、美香さん、そしてベルベットさんが前へと出てきた。

前年大会の優勝者が最後まで残っているという、盛り上がり的にも最高の組分け。

前組と同じように食材選びから始まり、C組の調理が開始された。

シーラさんとベルベットさんの手際の良さは分かっていたけど、ポーシャさんもだいぶ手際が良くなっている。

前回大会で振るわなかったものの、今大会も参加してくれた方たちは、この1年間でそれなりに料理をしてきたことが分かる。

一方で、美香さんの動きはだいぶ怪しい。

作る料理が違うはずなのに、隣で調理しているシーラさんやベルベットさんを確認しながら作業しているからね。

料理大会が始まる前は意気込んでいたことを考えると、思っていたよりも本格的な大会になってしまった影響だと思う。

来年はもっと初心者も参加しやすい大会にしたいと思いつつ、手際が怪しい美香さんを心の中で応援する。

そして、調理開始から20分ほど経ったタイミングで、ポーシャさんが料理を完成させた。

去年と同様にシンプルな料理で、サンドイッチとオムレツというメニューも酷似している。

「完成しました。食べて頂けますか?」

「もちろんです。頂きますね」

「はっや! ちょっとペース上げないと……!」

後ろで美香さんが慌て始めたのを横目に、私はポーシャさんの料理を頂く。

去年は“普通”という評価だったけど……今回は美味しい。

チーズを使わなかったことで、オムレツに変な臭みがなく、代わりに調味料でしっかり炒めた野菜が良いアクセントになっている。

サンドイッチは可もなく不可もなくといった評価ではあるけど、オムレツとの食べ合わせが非常に良い。

思っていた以上に、ポーシャさんが料理の腕を上げてきたことに驚いてしまう。

「去年よりも確実に美味しいですし、サンドイッチとオムレツである意味がありますね」

「ありがとうございます。食べ合わせも考えたので、評価してもらえて嬉しいです」

「それでは……点数を発表させて頂きます。私が90点、ジョーさんが88点、レティシアさんが90点、ヤコブさんが86点、ノーマンさんが90点です」

「やったー! 去年よりも大幅に点数が上がりました!」

飛び跳ねて喜ぶポーシャさん。

この1年間、近くで料理を作っているのを見てきたからか、ロイスさんとルーアさんもすごく嬉しそうにしている。

意外な高得点を叩き出したあと、間を空けずに料理を持ってきたのはシーラさん。

今年の優勝候補の1人であり、今年も見るからに美味しそうな料理。

「完成しました。佐藤さん、採点よろしくお願いします」

「美味しそうですね。早速採点させて頂きます」

シーラさんの料理は、ケバブラップのようなもの。

薄い生地にお肉や野菜、ソースがかかっており、見た目は100点満点。

食べやすさも非常に高評価。

私は期待しつつ、大きく一口食べた。

――おお、すごく美味しい。

まとまりが非常に良く、全ての食材を一口で味わえるのもいい。

ポーシャさんの料理も食べ合わせは良かったけど、こちらの料理は“一口で完成”している。

異世界の食材の独特な風味が、パンチの効いたソースのおかげで消えており、これまた完成度の高い一品。

「食べやすくて美味しい。完璧ですね」

「ありがとうございます。異世界料理のオマージュなので、あまり大きなことはいえませんが……一口の完成度にこだわったので、褒めてもらえて良かったです」

「それでは採点に移らせて頂きます。私が94点、ジョーさんが93点、ヤコブさんが92点、レティシアさんが96点、ノーマンさんが94点です」

文句なしの最高点を叩き出したシーラさん。

いつもはクールな彼女からガッツポーズも飛び出し、嬉しさがこちらにも伝わってくる。

会場も高得点にどよめく中……恥ずかしそうに俯きながら料理を持ってきたのは美香さん。

シーラさんの料理を食べているときもチラチラと見えていたが、派手に焦がしてしまっていた。

早く料理を完成させようという気持ちが働いたせいか、火力を上げすぎてしまったのが主な原因。

料理に焦りは禁物ということが、美香さんを見てよく分かる。

「完成したけど……食べなくていいから! 焦がしちゃったし、絶対に美味しくない!」

「いいえ、いただきますよ。それに、多少の焦げなんて可愛いものです」

私は笑顔でそう答えてから、美香さんの料理を受け取った。

所々焦げてしまっているけど、全然美味しそうなチャーハンのような料理。

匂いも悪くないし、何なら香ばしさが食欲をそそる。

私はスプーンですくって、ぱくりと口の中に入れた。

……うーん、“惜しい”というのが感想かなぁ。

焦げというよりは、味が微妙に薄いのがもったいない。

焦げの苦味がアクセントとして良い方向に感じられるくらいだから、もう少し塩味や旨味が追加されたら美味しい料理になっていたと思う。

ただ、決して不味いわけじゃないし、美香さんは失敗したつもりでいたけど、全然食べられる。

「所々もったいないですが、普通に頂けますよ」

「……本当!? お世辞とかいらないからね!?」

「点数が伸びるかは分かりませんが、私は美味しく食べられました」

「絶対お世辞じゃん! でも、ありがと!」

「それでは点数が揃ったので、発表させて頂きます。私は67点、ジョーさんが57点、ヤコブさんが60点、レティシアさんが75点、ノーマンさんが63点です」

「おお! 本当に意外と高い! レティシアさんありがとう!」

1番高得点をつけてくれたレティシアさんに抱きつきに行こうとしたところを、私は必死に制止する。

まだ審査は終わっていないからね。

それも本命であるベルベットさんが残っているため、大トリとして残っていたベルベットさんに全視線が集まる。

その視線に緊張した様子を見せながらも、ベルベットさんは完成した料理を持ってきた。