軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第314話 電撃

原因を確かめるため、私はヘレナを呼び出した。

「来てくれてありがとうございます。腰の具合はいかがですか?」

「ルーアさんからいただいた塗り薬のおかげか分かりませんが、もう動けるくらいには回復しています」

ヘレナはその場でジャンプをして、痛みが治まったことをアピールしてきた。

青アザだけとはいえ、昨日はかなり痛がっていたのに……驚くほどの効果だ。

ルサンソ騎士団に伝わる特製の塗り薬だと言っていたし、本当に凄い塗り薬なのかもしれない。

「大丈夫そうで一安心しました。それでお話なんですが……昨日の今日で申し訳ないのですが、もう一度エレックとトリックのケージに近づいてもらえませんか? なんで電撃を放ったのか、理由を突き止めたいんです」

「もちろん大丈夫です。私も理由が知りたかったので」

快諾してくれたヘレナは、すぐに2匹のケージへと向かった。

私とシーラさんは少し離れた場所に位置を取り、エレックとトリックの様子をうかがう。

「電撃が来ると分かっていれば、避けられない攻撃ではありません。いつでも来てください」

そう言いながら、恐る恐るケージの扉を開けた。

私たちの場合はノソノソと出てくるのに、ヘレナだと分かった瞬間、エレックとトリックは突進するように外へ出ようと動き出した。

2匹が競い合うように同時に出ようとし、ケージの入口で詰まったその瞬間――。

迸る電撃がヘレナに向かって飛んだ。

今回は警戒していたおかげで難なく避けられたけど……やはり本当に電撃を放っている。

しかもただ扉を開けただけなのに。

ただ、エレックとトリックも怖がって放った様子ではなく、むしろ楽しそうに見えた。

「マスター、どうでしたか?」

「本当に電撃を放っていましたね。嫌がる様子もなければ、怖がる様子もない。むしろ喜んでいるようにすら見えました」

「もしかして……嬉しすぎて電撃が出てしまったのではないでしょうか?」

シーラさんの一言に、私も納得してしまった。

犬が嬉しすぎておしっこを漏らしてしまうように、今回のエレックとトリックも似たようなものに見える。

名付けるなら「嬉電撃」だろうか?

とにかく、ヘレナが嫌われているわけでも、嫌がることをしたわけでもないと分かって良かった。

「私もそうだと思います。感情が昂りすぎて、電撃が出ちゃったという感じですね」

「うーん……好かれているのは嬉しいのですが、電撃を放たれるのは少し悲しいです」

「電撃は1日に1度しか出せないみたいなので、もう大丈夫だと思いますよ。撫でてあげてください」

「そうなんですか? 少し怖いですが……触ってみます」

ヘレナが恐る恐る手を伸ばすと、エレックとトリックが飛び乗った。

飛び回ったり、ぐるぐると回ったりと、明らかにテンションが上がっている。

「本当に嬉しそうですね。原因が分かったのは良かったですが……対策を取らないと危険です。絶縁体のもので囲んでいるはずなのに床が焦げていますし、最悪の場合は火事になりかねません」

「確かにそうですね。ロッゾさんに相談してきます。電気の利用方法も見つかるかもしれませんし、すぐに動いた方が良さそうです」

「分かりました。農作業は私たちに任せてください」

私はシーラさんとヘレナに見送られ、ロッゾさんの家へと急いだ。

まだ朝ということもあり、起きているか心配だったが、ノックするとすぐに出てきてくれた。

「おっ、佐藤さんじゃねぇか! 朝からどうしたんだ?」

「突然すみません。先日やってきた動物が電撃を放ちまして、その対策と、利用できないかの相談に来たんです」

「電撃を放つ? 対策は分かるが、利用ってなんだ?」

「放たれた電撃を溜められないかと思いまして。発電機が不要になるかもしれないんです」

「……ちょっと意味が分からねぇ! とりあえず中で詳しく聞かせてくれ!」

家の中に上がらせてもらい、私は電気について説明した。

知識が乏しく、どこまで伝わったかは分からないが、ロッゾさんは腕を組んで考え込む。

「電気ってのは、いろんなものを動かすのに必要で、魔力と似たように扱えるものってことだな!」

「そうです。私のいた世界には魔力がなかったので、基本的に電気で動かしていました。だから発電機以外からも電気を得られるようになれば、もっと多くのものを使えるようになるんです」

「うっはっは! 面白ぇじゃねぇか! 任せとけ!」

「ありがとうございます、ロッゾさん。充電器を2つ渡しておきますので、1つは好きに分解してください」

快諾してくれたロッゾさんに、私は2つの充電器を手渡した。

まずは安全な電撃対策をお願いする。

そして、可能であれば電撃を溜める装置の開発を。

後者は難しいかもしれないが、ロッゾさんならきっとやってくれるはずだ。

私は期待を胸に抱きながら、ロッゾさんの家を後にした。