軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第293話 最終日

画廊でスケッチブックを購入したあとは、当てもなくルダークの街を見て回った。

とにかくお店が多いため飽きることなく歩き回れたものの、特段面白いものは見つけられなかった。

掘り出し物という観点ではフリーマーケットの方が優秀で、品揃えに関しては私の感想では王都と大差ない。

他国の品を購入できるのが強みの街だが、まだ異世界のすべてを一括りに捉えている私には、少し早かったようだ。

武器という視点で見ても、ロッゾさんがあまりにも優秀すぎるんだよなぁ。

模擬戦で使う武器はすべてロッゾさん製で、地球にあった武器もインプットして、マイナーなものまで作り上げてくれている。

身近な環境に感謝しつつも、せっかく来たのだから何か良いものを見つけたい。

移動に丸一日かかってしまう関係上、今日が実質的な観光の最終日だ。

私は軽い焦燥感を覚えながら、最終日の朝を迎えた。

昨日と同じく、部屋を出ると既にシーラさんとベルベットさんの姿があった。

「シーラさん、ベルベットさん。おはようございます。今日も待たせてしまって、すみません」

「いえいえ。昨日も言いましたが、まったく待っていませんので大丈夫です」

「そんなことより、佐藤にひとつ相談したいことがあるの」

「私に相談したいことですか?」

どこか行きたい場所ができたのだろうか?

私も何か一つは買いたいと思っていたけど、特に行きたい場所があるわけではないし、誰かが希望するならついていくつもりだった。

「昨日、シーラと話していたんだけど……今日は東側に行ってみない? 伝手を使って、護衛してくれる人も見つけられたの」

「佐藤さんがあまり乗り気じゃなさそうだったので、私とベルベットさんでいろいろ考えたんです。危険な場所ですが、面白いのは間違いありませんから」

ルダークの東側といえば、治安が悪いと前々から聞かされていた場所で、今回近づく予定のなかった地域。

昨日、私の反応がいまいちだったのを見て、二人が新しい行き先を考えてくれたのだろう。

怖いことには怖いけど、護衛を用意してくれたのなら断る理由はない。

怖いもの見たさの好奇心もあったし、行けるのであればぜひ行ってみたい。

「安全なら、ぜひ行ってみたいですね」

「よし、なら決まりだね。すぐに護衛してくれる人のところに行こう」

「基本的に午後から活発になって、本格的に盛り上がるのは夜からなので、午前中は護衛してくれる人との顔合わせだけになります。ですので、佐藤さんにはもうしばらく部屋で待機してもらうことになりますが、大丈夫ですか?」

「もちろん大丈夫です。動き出すのは1時間後くらいでしょうか?」

「いや、早くても3時間後くらいかな。ちゃんと呼びに行くから、二度寝して待ってていいから」

ということで、私は再び部屋へと戻り、待機することにした。

まだ日が昇ったばかりだし、護衛してくれる人とアポが取れるのは早くて3時間後。

それまでは待機で、シーラさんもベルベットさんも二度寝をするとのことなので、私ももう少し眠ることにした。

治安の良い西側が朝市中心なのに対し、東側は夜市がメインということで、少しでも寝ておいたほうがいいからね。

いろいろな感情が押し寄せて眠気が吹き飛んでいたけど、私は無理やり目を閉じて体を休めることにした。

二度寝をしてから、約4時間後。

部屋の扉が叩かれたため、私は急いで外へ出た。

「佐藤、おはよう。アポが取れたから、今から向かうけど大丈夫?」

「もちろん大丈夫です。すぐに準備しますので、お待ちください」

急いで部屋に戻り、すぐに準備をして外へ出る。

そこからはベルベットさんの後について、護衛してくれるという方のもとへ向かった。

やってきたのは冒険者ギルド。

柄の悪い人たちがたくさんいる中、何事もなく進んでいくベルベットさんとシーラさんの後を追い、ギルドの中を進んでいく。

「おう! こっちだ!」

私たちに声をかけてきたのは、冒険者ギルドの奥に隣接する酒場で、樽ジョッキの酒を呷っている大きな女性だった。

バイキングヘルムに、ビキニアーマーのような露出度の高い装備。

身長だけでなく、胸や筋肉も大きく、生命体としての強さをひしひしと感じさせる方だ。

露出された肌には古傷も多く、歴戦の猛者であることが一目で分かる。

「バーネット、久しぶりね。護衛を引き受けてくれてありがとう」

「ベルベット様の頼みなら喜んで引き受けるぜ? んで、後ろにいるのは誰だ? 見たことねぇな!」

「シーラと佐藤。私の大切な友達だから、くれぐれも粗相はしないでね」

説明を受けたバーネットさんは、ゆっくりと立ち上がると私のほうへ歩いてきた。

ドニーさんと同じくらいの高身長で、筋肉量はバーネットさんの方が多い。

目は大きく鋭く、笑っているはずなのにかなり怖い。

視線を逸らそうにも、露出度の高い服装のせいで視線の逃げ場もなく、私はただただバーネットさんの目を見つめるしかなかった。