軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第3話 異世界農業

「確認させて頂きました。この私の鑑定結果は神父さんも見れるのでしょうか?」

「ええ、見れますとも」

「それでは見て頂いてもよろしいですか? 鑑定結果を率直に言ってもらえるとありがたいです」

「分かりました。これは……残念ながら戦闘向きの能力ではこざいませんな。ただし特殊スキルをお持ちのようですから、このスキルはきっと役に立ちますぞ」

能力値を見た瞬間から分かってはいたが、やはり戦闘は厳しいみたいだ。

魔物と戦ってみたい欲はあったけれど、そもそも運動不足のおじさんが戦える訳がないし諦めるとしよう。

「ありがとうございます。ちなみにですが、この『異世界農業』というスキルがどんなスキルなのかは分かるのでしょうか?」

「ええ、分かりますとも。スキル名の部分に触れてくだされ」

スマホをタッチするかのように、水晶の『異世界農業』と書かれた部分に触れると、水晶にはスキルの詳細が表示された。

予想以上にハイテクな機能に関心しつつ、『異世界農業』のスキルを私は熟読する。

……………………。

かなり複雑なスキルのようで、私が思い描いていたスキルとはかけ離れているけど、これは超有用なスキルの予感しかしない。

スキル効果を簡単にまとめると、『異世界農業』のスキルを発動すると同時に一定の範囲を農地に変えることができるようだ。

その農地で育てた野菜は普通に育てるよりも早く育ち、更に育った野菜や果物をNP(農業ポイント)に変えることができるらしい。

そしてNPを使うことで、様々なものを購入できるようになるようだ。

武器や防具、それからアイテムは当たり前。

魔物……つまり従魔なんかも購入できるようだし、挙句の果てには日本で売られているものも買えるとスキルの詳細には書かれている。

決して安くはないだろうけど、農業を頑張れば生活を豊かにすることができ、私自身も強くなれる可能性があるという――非常に夢のあるスキル。

特殊スキルとは書かれているけど、それにしても流石に特殊すぎる気もする。

ただ、これが異世界から飛ばされた者にのみ与えられる特権なのかもしれない。

こうなってくると、一緒に転移した勇者4人のスキルも知りたくなってきたため、いずれどこかで再会した時に尋ねてみよう。

「……スキルについては分かりましたかね?」

「はい。実際に使ってみないと分からない部分の方が多いですが、何となくどういったスキルなのかは分かりました」

「そうですか。それは良かったです」

「神父さん。鑑定をして頂き、本当にありがとうございました。それでは戻らせて頂きます」

「大変だと思いますが、どうか元気に過ごしてくだされ。あなたに神のご加護があらんことを」

祈ってくれた神父さんに頭を下げてから、私は教会を後にした。

特殊だけど面白いスキルを手に入れることができたことに浮かれながら先ほどの部屋に戻ると、そこには渋い表情で私を待っていたシーラさんの姿があった。

「すみません。お待たせしてしまいましたか?」

「……いえ。もう別荘に移動できるのであれば行きましょう。近いとはいえ、日が暮れると厄介ですので」

「そうですね。私はもういつでも出発ができますので、案内をよろしくお願い致します」

部屋に入った瞬間は渋い表情をしていたシーラさんだが、私の姿を見るなり表情が無表情に戻った。

プロとしての務めとして、私の前では嫌な態度を取らないようにしてくれている様子。

ただ……私は長いブラック企業での生活により、人の仕草や表情をチェックしてしまう癖が身についているのだ。

この癖のせいでシーラさんの一瞬の素の表情が見えてしまっているのが、何ともいえない気持ちになってしまう。

そんな何とも言えない気持ちを抱えたまま、早足で先導してくれるシーラさんの後を追い、私は王城を後にした。

城を出たすぐの場所には馬車が止まっており、どうやらこの馬車は王様が手配してくれたもののようだ。

「お乗りください。この馬車に乗って別荘まで向かいます。それと、私も隣に座っても大丈夫でしょうか?」

「もちろんです。シーラさんも座ってください」

ハイテクな水晶だったのに対し、中世に出てくるような古いタイプの馬車。

椅子の部分はフワフワになっているが、天幕が分厚く外の空気が中に入りづらい構造なのが少し気になってしまう。

正面に座ったシーラさんに臭いと思われないか心配していると、馬車は早々に動き

出した。

この世界に転生して僅か数時間足らずで、王都を離れて別荘に向かっているこの状況。

展開が早すぎる気もするが、何もできない私が城に残る訳にもいかないしこれで良かったはず。

シーラさんにだけは多大な迷惑をかけてしまっているが……別荘に到着するまでの間に、この世界に慣れたらすぐに護衛の任を解いてもらうことを伝え、少しでも安心してもらうとしよう。