軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第268話 組分け

翌日。

朝から本戦の出場者が集まっており、私の見知った人達がたくさん来ている。

みんなに挨拶をしていると、早速トーナメント分けが行われるようだ。

本戦の出場者は予選通過者も合わせて48名。

トーナメントの振り分けはくじ引きで決まり、気になる1回戦第1試合のカードはジョエル君対ハリー君に決まった。

昨日から望んでいた対戦カードではあるけど、決して不正をして組んだわけではない。

くじ引きで引かれた人から、トーナメントの好きなところに入ることができるルールであり、序盤で引かれたハリー君が一番端を選んだのだが、ハリー君がまだ幼いこともあって選びづらかった様子。

そして、後半までハリー君の隣が埋まることはなく、後ろの方で引かれたジョエル君が選んだという形。

ほぼほぼ決められた対戦カードではあるけど、ジョエル君とハリー君の目を見る限りでは全く気にしていないように見える。

同年代の実力者との対戦が楽しみといった表情で、面白い試合を見せてくれそうだ。

ただ、トーナメントの振り分けが行われている最中に行われていた、観客による優勝者予想ではハリー君がブービーで、ジョエル君がワーストという結果。

まだ年齢が幼いということで、かなり軽く見られている気がする。

ちなみに優勝予想の最多票を獲得したのは、去年と同じくドニーさん――ではなく、まさかのフリースさんだった。

剣聖の知名度はかなり幅広い層に知られているようで、僅差ではあるけどフリースさんが最多票。

2位はドニーさんで、その下は勇者である蓮さん達が選ばれていた。

そこからは予選通過者がずらりと並んでおり、予選を免除した私の知り合いたちは軒並み低い評価を受けている。

そもそも予選に参加してくれた方が、世間的に名の知れた実力揃いばかりだったということもあるけど、私としては少し悔しい結果。

予想を的中した方にはお菓子だけでなく、賞金も出すと告知していたため、本気の投票でこの結果なのが尚のこと悔しい。

ハリー君は昨日しか見ていないから何とも言えないけど、ジョエル君がワーストというのは低く見られすぎているし、天才の意地を見せてほしいな。

私は純粋な応援とは別の感情でも応援しながら、2人の試合を見守ることにした。

「それでは1回戦第1試合を始める! ジョエルとハリーは前へ!」

「同年代の強い人と戦うのは初めてなので楽しみです! ハリー、よろしくお願いします!」

「こちらごそ、よろしぐお願いするだ。一切手加減はでぎねぇけど、許しでぐれ」

「手加減なんていりません! 僕も全力で戦いますので、いい試合にしましょう!」

お互いにそんな言葉をかけあってから、固い握手を交わした。

そして、定位置についたところで――レフェリーによって、試合開始の合図が出される。

最初に動きを見せたのはハリー君。

一気に近づき、初っ端から猛攻を仕掛けている。

ハリー君の武器は二刀の短剣であり、手数を重視してジョエル君を攻め立てている。

対するジョエル君はいうと、ハリー君の攻撃を冷静に受けている。

いつもは天真爛漫といった感じだが、今のジョエル君のハリー君を見つめる目は凍えるくらい冷たい。

回転しているかと思うくらいの手数にも焦る感じはなく、対処し切っている。

ハリー君も更にギアを上げて攻撃の手を早めていったが、攻撃のパターンを読み切ったようで、ハリー君の行く手を塞ぐようにジョエル君が先の手を封じている。

攻撃しているのはハリー君であり、ジョエル君はまだ一度も攻撃していないのだが……私にはもうジョエル君が負けるビジョンが見えない。

そして、そんな予想を的中させるかのように、攻撃の合間を縫うようにして放ったジョエル君の攻撃が直撃。

その一撃で完全にバランスを崩し、そこからはジョエル君のペースのまま試合が終わってしまった。

「そこまで! 3-0でジョエルの勝利!」

「……ぐぐ、悔しいけど強がっだな。ジョエル、戦っでぐれてありがとう!」

「僕の方こそありがとう! 同年代でここまで強い人がいるとは思っていなかった!」

「それは俺のセリフだな! ジョエルとはまだ別の機会で戦いだい」

「ここに来てくれれば、いつでも戦うよ! 一緒に切磋琢磨していこう!」

2人は会話を交わしてから、固い握手を交わした。

熱い試合を見せてくれたそんな2人、大きな拍手が送られる。

観客的には期待していなかったカードだと思うけど、予想を遥かに上回るハイレベルな試合でボルテージが上がっている。

大会の滑り出しとしては最高だし、何よりジョエル君とハリー君の熱い試合を見ることができて良かった。

私は2人に誰よりも大きな拍手を送りつつ……第2試合もワクワクしながら見学するのだった。