軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第25話 デメリット

農作業を終えたあと、別荘で休んで辺りが暗くなるのを待ってから、私はワイトナイトの様子を見るため再び外に出た。

日中は召還された位置から少しも動いていなかったワイトナイトだったけど、暗くなったことで動き出したようで、先ほどいた場所からいなくなっていた。

流石に遠くには行っていないと思うのだけど、この辺りにはもちろんのこと街灯なんかはないため、真っ暗すぎて何も見えない。

襲われないか少し不安になっていると……シーラさんが私を追って外に来てくれた。

「【ファイア】。佐藤さん、大丈夫ですか?」

「シーラさん、ありがとうございます。その火は……魔法ですか?」

「はい。魔法といってもちゃんと火なので、触れたら火傷しますよ」

初めて見る魔法に、辺りが暗くて怖かった感情が吹き飛んでしまう。

なんだかんだ魔法を見せてほしいと頼めず、このタイミングまで魔法を見ることがなかった。

手品なんかとは違う、種も仕掛けもない魔法はやはり凄いな。

「……佐藤さん。今は魔法ではなく、ワイトナイトに集中しましょう」

「――そうでした。ワイトナイトがいなくなってまして、シーラさんはどこにいるか分かりますか?」

「分かりますよ。畑を越えた先を歩いています。案内しますのでついてきてください」

気配を探れるというのは改めて凄い。

私は先導してくれるシーラさんの後を追いながら、魔法の炎を凝視してワイトナイトの下に向かった。

「ほ、本当に歩いていますね。日中に散々見たので、もう慣れたと思っていましたが……立ち上がると大きいですし、動いているのもあって迫力があります」

「反抗してきたら私が対処しますので大丈夫です。それに……近づいても敵意を向けてきませんし、ライムと同じで襲ってくることはないと思いますよ」

そんなシーラさんの言葉を信じて更に近づくと、私の姿を見たワイトナイトは膝を着いて頭を下げてきた。

NPを使用して購入したのだから当たり前といえば当たり前なのだろうけど、こんなに強そうな魔物が従ってくれるのは単純に嬉しい。

「頭を下げなくて大丈夫ですよ。ワイトナイトさん、今日からよろしくお願いします」

俺がワイトナイトにそう声を掛けると、ゆっくりと立ち上がった。

立っている姿を間近で見ると更に大きく見え、なんというか威圧感が凄い。

そんなワイトナイトに頼もしさを感じつつ、ライム同様に名前をつけてあげることにした。

今回も特に捻りを加えず、覚えやすいシンプルな名前でいいはず。

「ワイトナイトさん、今日からあなたのことはスレッドと呼ばせて頂きますね」

言葉を理解しているのか、私の問いかけに頷いて返事をしたスレッド。

ちなみに名前の意味は、ワイトナイトにイトという文字が二つ入っているため、糸=スレッドにしたというシンプルな理由。

「スレッドには夜の間働いてもらいたいのですが……。そうですね。この辺り一帯を耕してもらえますでしょうか?」

私はベルベットさんが何故か持ってきてくれたクワを持ってきて、スレッドに手渡す。

そして使い方を軽く教えると、スレッドはすぐに実行してくれた。

「おお! 佐藤さん、耕してくれていますよ」

「はい、言うことを聞いてくれることが分かって一安心しました。スレッドには農園を作るための開墾を任せることになりそうです」

「人手が足らないので開墾したところで――感は否めませんが、新たな一歩ですね」

「日中に活動できていれば、私達と同じように農作業を手伝えそうな感じはあるんですけどね。アンデッド系の魔物はかなり惜しい感じがします」

「ですね。すみません。私のアドバイスがあまりお役に立てず……」

「いえいえ、気にしないでください。スレッドはこうして働いてくれていますし、やらせようと思ったら農作業もできそうな感じがありますので」

やらせることはできるだろうけど、単純な仕事以外はやらせるのが少し怖い。

種を蒔きすぎてしまったり、水をあげすぎてしまったりした場合の対処が取れないからな。

農作業をやらせるにしても、今スレッドに開墾させているところを、最初は練習のために使おうと考えている。

それでアンデッド系の魔物も農作業ができると判断できれば、お手頃価格なので新たに増やしてもいい。

「そう言ってもらえて良かったです。また何かあればお気軽に相談してください。私に答えられることがあれば、何でもお答えしますので」

「はい。頼りにさせて頂きます。それではそろそろ私達は家に戻りましょうか」

「ですね。明日の朝、どこまで開墾が進んでいるのか楽しみです」

俺はそんなシーラさんの言葉に心から同意をしつつ、スレッドと別れて別荘へと戻った。

明かりを確保するために懐中電灯を購入してもいいかもしれないな。

寝る間際にそんなことを考えながら、私は眠りについたのだった。