軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第23話 魔物の情報

ベルベットさんが戻った翌日。

今日はこれまで通り、シーラさんと二人で農作業を行ったのだが……こなせる作業の少なさを痛感した。

三日間しかいなかったとはいえ、二人と三人とでは当たり前だけどこなせる仕事量が違うことを明確に分からされた気分。

かといって、不定期にしか働けないベルベットさんに期待するのは違うため、ここまで渋っていたけどとうとう貯めたNPを使う日が来た。

「シーラさん。相談したいことがあるので夜ご飯を食べた後、少しだけお時間をもらっていいですか?」

「相談したいことですか? もちろん大丈夫ですが、改めて相談というのは少し怖いです」

「悪いことではないので安心してください。良い相談だと思います」

「今ここで聞きたいところですが……良い内容なら聞かずに取っておきますね。夜ご飯後に聞くのを楽しみにしてます」

シーラさんは楽しそうに笑ってから、別荘の中に戻っていった。

NPの使い道については独断で決めてしまっていいとは思うけど、魔物を購入するのであれば絶対にシーラさんに相談した方がいい。

とりあえず今日は私が夜ご飯当番のため、ついでに相談中に食べるデザートを作ろう。

何のデザートを作るか、値段を見ながら決めつつ――私も少し遅れて別荘へと戻った。

夕食後、向かい合う形で席に着いた。

これから相談の時間なのだが、シーラさんの視線はテーブルに置かれたホットケーキに向いている。

ホットケーキの素を購入すれば、安く大量に作れると踏んでホットケーキにしたのだけど、反応を見る限り大正解だったようだ。

実際に良い匂いがしているし、ホットケーキに染み込むようにかかっている蜂蜜も相まって本当に美味しそう。

蜂蜜だけはこの世界のもののため、そこだけが唯一少し不安だけど、味見をした限りでは問題なかったし大丈夫なはずだ。

「お時間を頂きありがとうございます。早速ご相談しても大丈夫でしょうか?」

「もちろん大丈夫ですが……この美味しそうな料理はもう食べてもいいのでしょうか!?」

シーラさんは待ちきれない様子でそう尋ねてきた。

「はい。食べてくださって大丈夫です。食後のデザートとしては少し重めかもしれませんが、味については保証します」

「甘いものならいくらでも食べられますので大丈夫です! それでは早速頂きます」

シーラさんはナイフとフォークを使って少し大きめに切り分け、口の中に詰め込むように入れた。

そして両手で頬を押さえながら、至高といった表情を見せてくれている。

「――美味しすぎます! はぁー……幸せ」

「喜んでもらえて良かったです。今回は費用を抑えるためにシンプルなものにしましたが、フルーツや生クリーム、アイスを乗っけると更に美味しくなるんですよ」

「ここから更に美味しくなる余力を残しているんですか!? なんて恐ろしい料理!」

口では恐ろしいと言いながらも、満面の笑みで食べ進めていくシーラさん。

このペースでは相談を始める前に食べきってしまいそうなため、早速だけど相談に入らせてもらうとしよう。

「パンケーキのお話はこの辺りにして、相談内容に入らせて頂きますね。実は新たな魔物を購入しようと考えていまして、どんな魔物がいいかのアドバイスをしてもらいたいんです」

「ほー、新しい従魔を購入するのですね。ちゃんとお答えできるか分かりませんが、私の知っている限りの情報を使ってアドバイスさせて頂きます」

「ありがとうございます。早速ですが、農作業を行える魔物を従魔にできればと考えていまして……農作業を手伝えそうな魔物って分かりますか?」

魔物をそういった視点で見たことがないだろうから、魔物に詳しいシーラさんといえど答えづらいと思っていたのだけど……。

「農作業を行えそうな魔物ですね。えーっと、獣系の魔物でしたらダーティーモール、キャットメイジ、グリンレミング。植物系の魔物でしたらコロボックル、マタンゴ。アンデッド系の魔物でしたらワイトナイト、がいこつ剣士、マミーソウル。この辺りが比較的弱くて、農作業を手伝える可能性のある魔物ですね」

想像していた以上に候補を挙げてくれたシーラさん。

考えている様子もなかったし、魔物の知識が豊富だというのが返答の速度からよく分かる。

私はシーラさんから挙げてもらった魔物をすぐさまタブレットで調べ、どんな魔物かの確認を行う。

モグラの見た目をしたダーティーモール、私も事前に良いと思っていたマタンゴ、そしてアンデッド系は三体共に良さそうな感じがしている。

言うことを聞いてくれるなら……アンデッド系の魔物に狙いを絞るのはありかもしれないな。

見た目がかなり怖いけど、アンデッド系の魔物なら食べ物とかも必要なさそうだし、もしかしたら休まずに働ける可能性もある。

「盲点でしたがアンデッド系の魔物はいいですね。食べ物もいらないでしょうし、休みももしかしたら不要ですよね?」

「すみません。そこまでは分からないですね。基本的に魔物は人間を見ると襲い掛かってきますので、生態にまでは詳しくないんです。ただ流石に休まない上に、何も食べず活動するというのはないと思いますけど……」

「そうなんですね。向こうの世界では不眠不休で活動できる――というのが一般的なものだったのですが……活動している訳ですし、食べ物も休みも必要と考えておいた方が良さそうですね」

「ですね。あくまでもライムと同じような感じで考えた方が良いと思います」

まぁ食べ物も休みも必要だったとしても、人型の魔物であるし第一候補には変わりない。

それにワイトナイトとがいこつ剣士は、1体3000NPと非常にリーズナブルな価格。

ベルベットさんに漫画を一冊プレゼントしたのと、食費分は減ってしまっているが……。

それでも稼げた額の方が大きかったため、今の手持ちのNPは6263となっている。

つまり、ワイトナイトとがいこつ剣士なら両方購入できる訳で、人手が一気に増えることも考えたらやはりアンデッド系を購入するのが最善手かもしれない。

「……悩みましたが決めました。シーラさんにオススメされたワイトナイトとがいこつ剣士を購入してみようと思います。値段的にも安価ですし、この二体でしたら両方とも購入できますので」

「いい判断だと思います。……が、まずはどちらか片方だけに留めておくのがいいと思いますよ。何かしらのデメリットがある可能性がありますし、まずはどちらか一体を購入し、問題なければもう片方を購入するという感じにしてはいかがでしょうか」

「確かにそちらの方がいいですね。魔物にしては安価といえど高くはありますので、ちゃんと精査してから購入しようと思います」

「はい。その方がいいですね」

最後のアドバイスも含めて、シーラさんに相談して良かった。

ベルベットさんと同じように、シーラさんにも給料という形で何かお礼がしたいところだが……シーラさんから断れてしまったんだよな。

王様の命令で私の護衛をしているだけで、報酬に関しては国から頂いている――という理由で。

何かしらの理由をつけても受け取ってくれないだろうし、やはりシーラさんには料理で返していくしかない。

今回のパンケーキも喜んでくれたし、何かお礼がしたくなった時は、追加でデザートを作るというのもいいかもしれない。

「……どうしたのですか? まだ何か考え事でもありますか?」

「いえ、大丈夫です。今回は本当にありがとうございました。また何かありましたら相談させてもらってもいいですか?」

「もちろんです。私でよければいつでも相談に乗ります」

「ありがとうございます。本当に心強いです」

そんな会話をしつつ相談会はお開きとなり、明日に備えて眠ることにした。

明日は決めた通り、農作業を行うためにワイトナイトを購入する。

ライムに続く、二体目の従魔にワクワクしながら――私は眠りについたのだった。