軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第204話 レノヴィーの街

別荘を出発して、約7時間。

完全に暗くなる前に、目的地であるレノヴィーの街に到着した。

半日かかるとのことだったが、アッシュのおかげで早めに辿り着くことができた。

途中の村で一泊することも考えていたため、今日中に着けたのは本当に大きい。

「佐藤さん、あそこがレノヴィーの街ですよ」

「思っていたよりも大きな街で驚きました。それに……この時間帯なのに、すごい数の馬車ですね」

「すぐに出発したのは正解でしたよ! この混み具合だと、明日の朝に出発していたら街に入れるのは夜になっていたかもしれませんから!」

ジョエル君の言う通り、もっと明るい時間帯ならさらに混んでいたかもしれないし、街に入るまで半日はかかっていたと思う。

正直、レノヴィーの街を甘く見ていたなぁ。

「ここまでとは思っていませんでしたが、すぐに動いてよかったです。この人混みはやはりフリーマーケットのせいなんですかね?」

「そうだと思いますよ。普段のレノヴィーの街を知らないんですが、ここまで混んでいるのは異常だと思います」

フリーマーケットで混んでいるのだとしたら、この待ち時間も納得できる。

それだけ大きなイベントということだし、明日から見て回るのが非常に楽しみだ。

私たちは談笑しながら入門検査の順番を待ち、最終的にレノヴィーの街に入れたのは深夜だった。

そこからすぐに宿を取り、気絶するように眠りについた。

翌日の早朝。

眠ってからまだ4時間ほどしか経っていなかったが、外が騒がしくて目が覚めてしまった。

隣のベッドで眠っていたシーラさんも騒音で目を覚ましたようで、小さくあくびをしながら起き上がった。

「ふぁーあ……佐藤さん、おはようございます」

「シーラさん、おはようございます。夜は眠れましたか?」

「ほどほどって感じですね。外がうるさくて、熟睡はできませんでした」

私は比較的よく眠れたけれど、シーラさんはあまり眠れなかったようで、非常に眠そうにしている。

原因が騒音ではなく、私とジョエル君と同室だったから眠れなかった――そうだったとしたら非常に申し訳ない。

予想以上の混雑で1部屋しか取れなかったため、これはもう仕方がない。

あの時間帯に1部屋でも確保できただけで奇跡的だし、完全に計画性のなさが露呈している。

「私たちと同室だったせいでしたら、すみません」

「ふふ、そこは気にしていませんよ。仕方ありませんでしたし、佐藤さんのことは信頼していますので。それに、ジョエル君も……爆睡していますからね」

ジョエル君はソファで眠っており、一番寝づらい場所にもかかわらず、騒音を気にすることなく爆睡している。

冒険者として、さまざまな場所で野宿してきたおかげで精神が鍛えられたのか、もともと図太い性格なのか。

異世界に来てからはだいぶ改善されたものの、私は社畜時代に不眠症気味だったせいで、どこでも爆睡できるジョエル君がうらやましい。

自分のタイミングで好きなだけ寝られるというのは、一種の才能だよね。

「それなら良かったです。同室だったことを申し訳なく思っていたので」

「全く気にしないでください。それよりも、早く準備をしましょう。これだけ騒がしいということは、フリーマーケットが始まっているということですから」

「ですね。準備しましょう」

ということで、爆睡していたジョエル君も起こし、準備を始めることにした。

昨夜の深夜時点で、街の中にはテントやブルーシートが敷かれていたしね。

この騒音からしても、朝一番でフリーマーケットが始まっている可能性は非常に高い。

ワクワクで眠気も吹き飛び、私は急いで準備を済ませた。

「私は準備バッチリです。佐藤さんとジョエル君はどうですか?」

「お待たせいたしました! 僕も準備完了です!」

「私も大丈夫です。それでは行きましょうか」

宿を出て、騒がしい街の外へと向かった。

部屋から聞こえていた騒音からも想像できたが、外はさらににぎやかだ。

夏に行った縁日を大きくしたような雰囲気で、もはやフリーマーケットというよりお祭りのようだった。

あちこちで客引きが行われており、どこから見て回ればいいのかさっぱり分からない。

「すごい雰囲気ですね。シーラさんが“国内最大級のフリーマーケット”って言っていた意味が分かりました」

「ここまで盛り上がっているとは、私も想像以上です。ベルベットさんがオススメしてくれただけありますね」

「雰囲気だけでも楽しいです! あそこのお店から見ましょうよ!」

ジョエル君はキーホルダーが並んでいる店が気になったようで、人混みをかき分けながら一直線に向かっていった。

気を抜くと一瞬ではぐれてしまうため、私とシーラさんも慌てて後を追い、少し変わった雰囲気のキーホルダー屋さんへとたどり着いたのだった。