軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第197話 集中力

かき氷を食べた後は、ゲームができる屋台に行くことにした。

ローゼさんはゲーム系が得意ではなさそうだし、くじ引きがいいのかとも思ったけど、最初は遊べる屋台から向かうのがいいと思う。

「次は遊べる屋台に行きましょう。射的にボールすくい、型抜きや輪投げなんかがありますが、遊びたいものはありますか?」

「わらわは射的がやりたいの! 弓を使ったことがないから使ってみたいのじゃ!」

「…………私は型抜きがやってみたい……かも」

ここで意見が割れてしまった。

お互いに一個ずつ案を出したし、次に誰の意見を参考にするのかが決まっていない。

流れ的にはヤトさんが決める番だけど、ローゼさんは自主的に意見を言わないタイプだし、ここは尊重してあげたい気持ちになっている。

「私も型抜きとやらをやってみたいわ」

「イザベラはローゼと同じ意見なだけじゃろ! 次はわらわの番じゃよな!?」

「うーん……。最初に型抜きから行きましょうか。次に射的でどうですか?」

「がーん! 佐藤までローゼを贔屓するんじゃな!?」

「贔屓とかではありませんよ。どちらもできますし、近い方から行った方がいいと思っただけです」

「むむむ。そういうことなら構わんが……ローゼの顔が腹立つのう!」

ヤトさんはふくれっ面になっていて、対するローゼさんは勝ち誇った顔をしているようにも見える。

そんな2人を見て笑いながら、型抜きの出店へとやってきた。

型抜きはシンプルそのもので、針を使って絵柄通りに掘るだけ。

綺麗に掘ることができたら、絵柄の難易度に応じて賞品がもらえるようになっている。

「それで、このゲームは何をしたらいいんじゃ?」

「絵柄を一つ選んで、その通りにくり抜くだけです。簡単そうな絵柄でもいいですし、欲しい賞品があれば挑戦してみてもいいと思います」

「なるほどのう! わらわは簡単そうな丸にするのじゃ!」

「私はクッキーが欲しいから、星型のに挑戦するわ」

「私も星型にします。ローゼさんはどうしますか?」

「…………丸が三つ並んでいるのにします」

「えっ? 一番難しそうですが大丈夫ですか?」

ローゼさんが選んだのは、一番難易度が高いと予想される団子の型。

私は心配になって大丈夫か聞いたけど、コクンと頷いたため、もしかしたら自信があるのかもしれない。

一抹の不安を抱えながらも、私達はそれぞれの型がデザインされたお菓子を受け取り、針を使って一斉に掘り始める。

これまで騒がしかったけど、全員が黙々と掘り始めており、私も久しぶりの型抜きに熱中してしまう。

そんな静寂の中、一番最初に声を上げたのは……ヤトさんだった。

「ぬわー! 割れてしまったのじゃー!」

「ちょっと! ヤト様が大声を出すから、私のも割れちゃったじゃない!」

一番簡単な円のものだったはずだけど、綺麗に真ん中から割れてしまっている。

そして、ヤトさんの奇声を聞いて、驚いたイザベラさんも星の先端を削ってしまったようだ。

残るは私とローゼさんだけど、言い争っている2人を意に介さず、集中して針で型を掘っているローゼさん。

私も上手くいっていたんだけど、ローゼさんが気になってしまったことで集中力を欠き、割ってしまった。

「佐藤も失敗じゃな! 残るはローゼだけじゃ!」

「ローゼ様がここまで手先が器用とは知らなかったわ。何でも凄いのね」

「見た限りでは、手先が器用という感じではないですけどね」

どちらかといえば、集中力の高さに起因していると思う。

先ほどベルベットさんが型抜きをやっているのを見たけど、手先が器用なベルベットさんは一瞬でくり抜いていたからね。

それに対し、ローゼさんは慎重に慎重を期しながらも、集中力を切らさずに掘り続けている。

そして……とうとう難易度の高い団子の型を掘ってみせた。

「おー! ローゼ、凄いのじゃ!」

「……やった。……ふふ、嬉しい!」

「流石はローゼ様です。賞品と交換致しますか?」

「……んーん。記念にこれを持って帰る」

「えっ! いいんですか? 一番価値の高い賞品と交換できますよ?」

「……ん。賞品より、これを持って帰りたい」

ローゼさんは崩れないように型を持っており、その表情は笑顔そのもの。

本当は綺麗にくり抜くことができた型と交換で賞品がもらえる仕組みだったけど、今回は交換じゃなく賞品もプレゼントしよう。

「そういうことなら、型と交換じゃなくて賞品もプレゼントします。型の値段は大したことありませんからね」

「……いいの?」

「ええ。成功させたことに意味がありますから」

ということで、私は店番をしてくれているドレイクさんに話をし、団子型の賞品を渡してもらった。

一番難易度の高いため、賞品もかなり豪華となっている。

「それはなんなのじゃ?」

「ラテセットですね。美味しいと思いますので、ぜひエルフの国に戻ってから飲んでください」

「……ありがとう。全部大事にする」

くり抜いた型と、賞品のラテセットの箱を大事そうに抱きしめたローゼさん。

喜んでくれているのも嬉しいし、何より楽しんでくれているのが良かった。

ラテセットもスタバのギフトセットということもあり、きっと美味しいはず。

せっかくなら反応も見たかったけど、これはイザベラさんだけしか楽しめないだろうな。

私達は気を取り直し、次はヤトさん希望の射的で遊んだのだった。