軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第180話 魚の魔物

海の近くまでやってきた。

意外にも海の付近まで道が舗装されていたこともあり、かなり近くまで馬車で来られている。

ただ、海には人が1人もおらず、ここにいるのは私達だけ。

日本では真冬とかではない限り、サーファーの方がいるため新鮮に感じる。

「うわー! 海だぁー! テンション上がっちゃうね!」

「確かにな! 俺達で海は行ったことなかったから、異世界で来られて良かったわ!」

「私と美香は行きましたけどね。雨が降っていて楽しめませんでしたけど」

「懐かしい! 高校1年の夏だよね! 大雨だったけど、せっかくだから行ったの覚えてる!」

何だか凄く楽しそうな話をしている。

青春って感じであり、私には無縁なだけに少し羨ましく思える。

「確かにテンションは上がるが、浮かれたら命を落とすことになるから気を付けようぜ。ただでさえ海は危ないのに、魔物がうじゃうじゃいるんだろ?」

「そういう話だったね! そういえば、海にはどんな魔物がいるの?」

美香さんが私に尋ねてきたんだけど、どんな魔物がいるかは何一つ分からない。

海には近づかないというのがこの世界の常識らしく、海の魔物については魔物について詳しいシーラさんや、このルサンソ共和国出身のルーアさんでも知らないみたいだったからね。

「すみませんが、何一つ分からないんです。海については本当に未知のようで、どんな魔物がいるかすら知られていないみたいなんですよ」

「そんなことってあるんだな! じゃあ、本当に魔物がいるのかどうかも分からないってことか!」

「いえ、魔物は確実にいると思います。ですので、くれぐれも気をつけてください」

「そういうことなら、まずは周囲の探索から始めるか。どんな魔物がいるかを確認しつつ、倒せると判断したら倒そう」

「そうして頂けたら幸いです。今回は収穫ゼロでも問題ありませんので、安全第一でお願いします」

「ああ。しっかり安全第一で行かせてもらう」

私の言葉にそう返事をした蓮さんは、用意していた魔道具を着込み始めた。

まずは蓮さんが捜索に向かう様子。

本当なら全員分の魔道具を用意できていれば良かったんだけど、準備できたのは1人分だけ。

動きとしては、銛のような魔道具で突いた魔物を海の外に引っ張り上げ、引っ張り上げた魔物を外で待機している全員で狩るという流れ。

海に潜る役は交代交代で行ってもらい、魔力が枯渇しないように気をつけながら立ち回ってもらう予定。

入水の時が一番緊張したけど、どうやら問題ないようで海の中から、蓮さんの親指が立てられた手が出てきた。

「おー! 大丈夫みたい! 本当にダイビングじゃん!」

「これで高速で移動できるんですもんね。魔法は科学に匹敵するのではないでしょうか?」

「どうですかね? 私は科学の方が凄いと思っていますが」

魔法にはロマンがあるけど、凄いのは圧倒的に科学だと思っている。

火も簡単に起こせるし、風も自由に吹かすことができる。

ショベルカーを使えば土も一気に掘り起こせるし、水もほぼ無限に放水できるからね。

これで基礎である四元素は網羅しているため、科学にできないことはないと思っている。

唯一、回復魔法は圧倒的なポテンシャルを秘めているけど……。

ガン等の重い病気は治療不可みたいだから、医療の面でみても科学や医学に軍配が上がる。

蓮さんが入っていった海を眺めながら、私はそんなことを考えていると、かなり離れたところで蓮さんが海から顔を出した。

一瞬何かトラブルがあったのかと思ったけど、大きな丸を作っていることから問題なさそう。

それから、蓮さんは20分ほど海の中を泳いでから、私達のところへと戻ってきた。

「海の中が凄かった。人が踏み入れてないからか、色々な物がいっぱいあったぞ」

「なになに!? 色んな物って何!」

「普通の魚とか貝とか。お宝っぽいのもあったし、海はダンジョン以上に宝物庫かもしれない」

「そんな凄いのか! んで、肝心の魔物はどうだったよ! いたのか?」

「ああ。魔物もかなりの数いたが、基本的には沖の方にいて、浅瀬にいたのは弱そうな魔物だけだったな」

魔物はいるけど、浅瀬なら大丈夫ということか。

これならば問題なく狩りを行えそうだ。

「じゃあ早速狩っていこうよ! 私がその魔道具で引っ張りあげてくる!」

「溺れないようにだけ気をつけろよ。意外と泳ぐのが難しいからな」

「大丈夫! 水泳を習ってたし、ダイビングも数回だけどやったことがあるから!」

次に海に潜るのは美香さんのようで、慣れた手つきで魔道具を着込むと、海の中に飛び込んでいった。

魔道具を着込むまで薄着になったことで、年甲斐もなくドキドキしてしまったんだけど、他のみんなは平常そう。

その辺りの感性は、ダンジョン攻略で鍛え上げられたのかもしれない。

歳がふた回り近く離れているのに、私が一番動揺していたことに恥ずかしく感じながら、美香さんが戻ってくるのを海の外で待ったのだった。