軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第165話 集落

龍族の方の移住が決まってから、約2週間が経過した。

この間に、シッドさんを中心に龍族の方たちが住める家造りが行われ、別荘から数キロ離れた先に龍族たちが暮らせる集落が完成。

前に言っていたシッドさんのところの従業員もこちらに移り住んでおり、龍族の大工さんも交えて作業を行ったため、予定よりも早く集落を完成させることができた。

もう移り住むことができる準備が整ったため、先日ヤトさんに伝言を送ったため、近々龍族の移住希望者たちがこちらにやってくる。

基本的には技術を教えるのが目的であり、各々自由に生活してもらうことになると思うけど、ここがどう変わっていくのかは非常に楽しみ。

現状でも畑を大きくしていけており、目標の一つである大農場には近づいているけど、更に畑は広くなっていくはず。

そして、食料に一切困らなくなったタイミングで、宿泊施設の建設も考え始めてもいいかもしれない。

どこにどう建てていくのかも悩みどころだけど、今のところは裏山方面を魔物の牧場。

平原側には畑を広げていっていき、公道方面である別荘側に宿泊施設を建設していこうとは思っている。

まぁ本格的に建設していく段階で、もう一度王様のところに出向き、しっかりと相談をしてから建設を進めていくつもりだ。

そんなことを考えていると、シーラさんが私のところにやってきた。

「佐藤さん。先ほどヤトさんからの伝言が届きまして、明日に龍族の移住希望者を向かわせるとのことでした」

「えっ、明日来るんですか? 楽しみではありますけど、かなり急ですね」

「待ち望んでいたのかもしれませんね。明日から農業の指導をしてあげる予定でしょうか? そうであれば、私も教えてみたいという気持ちがあるので、ぜひ参加させてほしいです」

「龍族のみなさんのやる気次第ですかね。私としては、明日はゆっくりとしてもらいたいと思っています。まずは開墾、そして土づくりと力仕事から始まりますからね」

「あー、なるほど。本当に一から教えていくって感じなのですか。土づくりに関しては分からないので、私の出番はもう少し先ですね」

「土が一番大事ですからね。そこからしっかりと教えていきたいと思っています」

この一週間で、私はもう一度農業に関する本を読みこんだ。

きちんと教えることができるだろうし、知識をしっかりと伝えていきたい。

そして、もしエデルギウス山近辺でも農業が行えるようになったのであれば、ミラグラスさんに連絡を取り、魔族の方にも農業のやり方を伝授したいと考えている。

敵に塩を送る行為になってしまうかもしれないけど、ミラグロスさんは食料不足のせいで戦争を起こそうとしていると言っていた。

もしかしたら魔族との戦争を止める切っ掛けになるかもしれないし、何よりミラグロスさんの環境が良くなるのであれば全力で協力したい。

「佐藤さんは本当に優しいですね。普通はこれだけ尽くせないと思います」

「尽くしている感覚はないんですけどね。人との繋がりは大事にしたいですし、私も色々な人から良くしてもらっていますので」

「佐藤さんが良くしているので、それを返そうとしてくれているのだと思いますよ。本当に心の底から……私は佐藤さんと出会えて良かったです」

「私こそシーラさんと出会えて良かったです。まだまだ道の途中ですので、どうかこれからも支えてください」

「もちろんです! 最後まで支えさせて頂きます」

何故か感謝の言葉を伝え合った私とシーラさんは、互いに照れくさそうに笑い合ってから、明日からやってくる龍族の受け入れ準備を行うことにした。

いずれは自分達だけで自給自足できるようになってもらうつもりだけど、最初は全力でサポートする。

食料保管庫から食料を持ち出し、荷物運搬用馬車でアッシュに集落まで運んでもらう。

しばらくの間、アッシュの負担が大きくなってしまうかもしれないのが懸念点。

建築のための資材運搬でも大活躍していたみたいだし、アッシュの他に馬車を引くことのできる魔物を購入してもいいかもしれない。

それこそスノーディアは比較的安めの値段で購入できたし、集落とこっちの別荘を行き来しやすいようにバスのような役割の馬車を走らせても面白そう。

この辺りはロッゾさんとシッドさんに相談してから決めるとして、今は受け入れ準備のことだけを考えて動く。

ということで、集落の方にも建てた食料保管庫に食材を運びつつ、農具の準備も事前に行った。

明日という急な予定だったのにも関わらず、みんなが協力してくれたため、準備をバッチリ行うことができた。

後は龍族の方達が来るのを待つだけであり、新たな仲間が増えることにワクワクしながら――私は1日を終えたのだった。