軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第145話 世代を超える話題

私とノーマンさんが下準備を行っている間に、既に結構な人が集まっていた。

蓮さん達、ベルベットさん、シーラさん、ヘレナで固まっており、漫画を片手に話し込んでいることからも漫画談義を行っているのが会話を聞かずとも分かる。

それからドニーさん、ジョエル君、ブリタニーさん、ルーアさん、ポーシャさん、ロイスさんのグループ。

こちらは戦闘に関することや、つい最近まで行っていたダンジョン関連の話をドニーさんに聞いているようで、武器やドロップ品を手に持ちながら話し込んでいた。

もう一グループはシッドさん達であり、こちらはモノづくりに対しての話し合い。

既に大賑わいしているのが嬉しいし、私はどのグループの会話も聞きたい気持ちが強い。

とりあえず全てのグループに顔を出しつつ、まだ来ていないヤトさんとアシュロスさんの到着を待つことにしよう。

「あっ、佐藤! 料理はもうできたの?」

まずは蓮さん達のグループに顔を出そうと思って近づいたところ、美香さんが声をかけてくれた。

いつものことだけど、美香さんとヤトさんはすぐに私のことを見つけてくれる。

「まだ料理はできていません。ただ、下準備は終わっていますので、すぐに料理を作れる状態にはなっています」

「佐藤の料理は久しぶりに食べるから、本当に楽しみだわ」

「ベルベットさんは冬前以来ですもんね。今回もクイーンニードルの蜜を使った料理を出させてもらう予定です。それで、珍味ハンターに関しての進展はありましたか?」

「ええ。今回はまた新しい食材を持ってきたの。それから、珍味ハンターのアポイントメントも取れたわよ。一ヵ月後にくらいになってしまうけど、ここに連れてくるから」

「本当ですか! 持ってきたと言っていた新しい食材も楽しみですし、珍味ハンターさんに会えるのも楽しみです!」

これは嬉しい情報。

珍味ハンターさんとはぜひともお話したいと思っていたし、ルーアさん達にも一度会わせたいと思っていたから本当にありがたい。

「そのことについて、さっきまで王女様と話していたんだ。市場では一切見かけないから、この世界では魔物は食べられないとばかり思っていたけど、普通に食べられるみたいで驚いた」

「ね! 珍味ハンターって名前からして、あまり受け入れられてはいないみたいだけど……美味しい食材もあるんでしょ?」

「本当に限られたものだけだけどね。さっき佐藤が言っていたクイーンニードルの蜜は格別に美味しいわよ」

「蜜……。それは甘いもの好きとして食べてみたいですね」

「唯さん、安心してください。デザートとして用意していますので」

口の端から少しよだれが垂れている唯さんにそう伝える。

スイーツを専門に作っているノーマンさんのお弟子さんが担当してくれるみたいだし、唯さんに限らず甘いものが得意ではない人にもきっと喜んでもらえるだろう。

「俺も甘いものは好きだから楽しみだぜ! クリスマスパーティーは本当に最高のイベントだ!」

「でもでも、なんで美味しい食材があるのに珍味ハンターなんて呼ばれているんだろ! 魔物の食材なんて、結構一般的じゃない?」

「魔物の食材を題材にした漫画や小説なんかも結構あったので、私たちだからこその感情だと思いますよ。こっちの人からしたら、おそらくですけど昆虫食のような感じだと思います。どれだけ美味しくても、虫の幼虫は食べられない人が多いですよね?」

「うわー、めっちゃしっくり来た! どれだけ美味しくても私は無理!!」

この理由に関しては私もずっと考えていたため、納得のいく返答ができたみたいでよかった。

生理的に無理というのは、どう理論づけても難しいものなのだろう。

「それで、話は変わるのですが……今さっきまで何の話をしていたんですか? 漫画を片手に話していましたし、漫画についてを話していたんですよね?」

「はい、そうです。新しく娯楽室ができて、漫画が増えたことを蓮さん達に教えてあげていたんです」

「そうそう! シーラさんと王女様から色々と聞いていたの! ワンピースの続きと……ハンターハンターまであるんでしょ!? 本当に凄すぎる!」

「1週間泊めてもらうつもりだから、絶対に読破するって話をしていたんだ」

「ハンターハンターは俺たちのバイブルだからな! バトル漫画を好まない唯も好きなんだぜ!」

「ハンターハンターは少し毛色が違いますからね。特に蟻のところは凄く好きです」

私と蓮さん達とでは、年齢が20歳近く離れているはず。

それでも同じ話題で盛り上がることができるのだから、ワンピースもハンターハンターも凄い。

今唯さんが出した『蟻のところ』なんかは、私が学生だった時に連載が開始されたからなぁ。

20年以上前のところを、未だにリアルタイムで読まれているのだから感慨深さすらある。

「やっぱり皆さんもハンターハンターを通っているんですね。何だか嬉しいです」

「どちらかといえば、こっちが驚きなんだけど! 佐藤もハンターハンターを知っていたんだって驚いてる!」

「ハンターハンターが連載されたタイミングは、私がまだ10歳くらいの時ですよ? 絶対に私の方が驚きは大きいです」

「そんなに前なのかよ! 最近連載されたって言われても遜色ない内容すぎて、そんな感覚全然ないわ!」

「確かにそうかもしれませんね」

そんなハンターハンタートークで盛り上がりつつ、次にワンピーストークへと移った。

この手の話題には、いつも誰よりも乗ってくるのがベルベットさんだったのだけど、今日に限っては全く乗ってこない。

不思議に思い、視線を向けたんだけど……耳を塞いで俯いていた。

どうやらまだ全てを読めていないらしく、ネタバレをされないように耳を塞いでいたらしい。

そんなベルベットさんをみんなで笑いながら、ネタバレを避けて漫画トークを楽しんだのだった。