軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第139話 食事問題

気を張りながら帰ってきたこともあり、帰路も特に苦戦することなく入口まで戻ってくることができた。

初日にしては大成功であり、みんな満足気な表情でダンジョンから出ると……入口には先に戻ってきたであろう、みんなの姿が見えた。

「あっ、佐藤なのじゃ!」

「タイミングバッチリだね! こっちも丁度戻ってきたとこだったんだよ!」

いち早く私に気づいたヤトさんが声をあげ、美香さんが状況を教えてくれた。

13階層まで潜ったものの、時間的にはまだ夕方前。

みんなは後から潜っていたはずだし、まだダンジョン内の可能性が高いと思っていたけど早いな。

ライムとマッシュは経験者。

それからルーアさんのパーティは、経験者といっても過言ではないメンバーだけど、それにしても10階層まで行っていたのだとしたら戻ってくるのが早い。

「先に戻っていたのには驚きました。10階層まで行ったんですか?」

「うぬ! 牛の魔物はわらわが倒したのじゃ!」

「とにかく今回は体が軽かったんだよね! だから、説明しながらだったけど移動ペースは凄く速かったんだ!」

「確かに、今までで一番コンディションが良かったな」

「きっとルーアさんがいたからだと思います! ルーアさんと一緒にいると体の調子が良くなりますので!」

美香さんと蓮さんの疑問に対し、ジョエル君が補足してくれた。

シーラさんがそんなようなスキルを持っていたことを忘れていた。

パーティメンバーだけでなく、近くにいたみんなに影響があるのか。

ブリタニーさんが、ルーアさんはシーラさんに匹敵すると言っていたけど、その意味を本当の意味で理解できたかもしれない。

「ルーアさんは凄いですね。畑仕事をしていても体の軽さを感じますし、唯一無二のスキルじゃないですか」

「スキルではないんだが……みんなの役に立っているなら嬉しい。佐藤は当たり前として、ブリタニーとジョエルのお陰で戦う楽しさを思い出せたからな」

「アタシは利用しているだけだからね。感謝なんかしなくていいんだよ」

私達も良い雰囲気だと思っていたけど、こっちも最高の雰囲気のよう。

ブリタニーさんは口ではこう言っているけど、凄く嬉しそうな表情をしている。

「わらわはよく分からなかったのう。みんなだけ味わえてズルいのじゃ!」

「お嬢様は元の力が強すぎますので、感じづらいだけです。みなさんを責めるのは筋違いーーというものですね」

アシュロスさんが説明をしてくれたけど、納得をしていないようで頬を膨らませている。

人型状態は、力がとんでもなく抑えられている状態みたいだからなぁ。

アシュロスさんの言う通り、僅かな変化には気づかないんだと思う。

「とりあえず、みんな大成功だったってことだろ! ここで話すことじゃないし飯屋でも行こうぜ!」

「私と将司でお店の方は選んでいますので、そこに行きましょうか」

「唯さん、将司さん、ありがとうございます」

ということで、夜ご飯を食べるために移動することとなった。

どうやら半年前にできたお店みたいで、私達も初めて訪れるお店となっている。

ヤトさんは特に目を爛々と輝かせており、いろいろな料理を注文していた。

基本的には蓮さん達のオススメを頼んで待つこと数十分。

「…………美味しくないのじゃ」

数分前までのテンションの高さから一転、再び頬を膨らませているヤトさん。

日本の料理が食べられると思っていたせいで、この反応になってしまっているんだと思う。

「お嬢様、失礼ですよ」

「だって、佐藤の料理の方が数百倍は美味しいのしゃ!!」

「佐藤さんの料理と比べたら、この世界の料理は全部糞不味いからな」

「そうそう! ヤトさんもそうだったろ?」

「うぬ……。忘れておったがそうじゃった」

「この世界の料理にしては、クオリティは高い方なんですよ」

「そうそう! ヤトも我儘言っちゃ駄目だかんね!」

そんな説得に納得したようで、ヤトさんはムスッとしながらも料理を食べ始めた。

NPには結構余裕があるし、調理ができるのであればこちらでも日本料理を作ってもいいんだけどなぁ。

カップラーメンとかを購入する事を視野に入れてもいいかもしれない。

「1週間の間に一回くらいなら、こちらでも作れるものを用意しますので、この世界の料理で我慢してください」

「ここでも作れるじゃと! やっぱり佐藤は天才料理人なのじゃ!」

「カップ麺が精々なので、あまり期待されると困りますが……」

「カップ麺の選択肢があるんだ! 確かに佐藤の料理に比べたら劣るけど、私は久しぶりに食べたいかも!」

「俺も。日本にいた頃は安く済むご飯ってイメージだったけど、カップ麺も凄く恋しい」

「カップ麺を用意してくれるのなら嬉しいです。寒い時に食べるのは格別ですからね」

「……うぅ、ついていけないのが悲しいです」

私達がカップ麺を懐かしんでいる中、変なところで落ち込んでいるシーラさん。

カップ麺を知らないみんなも興味津々って感じだし、週に一度のカップ麺は決定だな。

私はとりあえずシーラさんを慰めつつ、食事を楽しんだのだった。