軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第4話 過去の行いによって

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二つの人影が語り合う。

大きな影と小さな影。

一人は“外”を知る者。しかし、女神や冥府の王の狙いを知らぬ者。

一人はこの世界の継承者たる資格を有する者。神々の期待を背負う古き者。

『結局、この世界が何なのかなんて俺は知らねぇよ。あんたら“古き者”ってのも、長生きなんだろうが、別に世界の始まりからって程でもないんだろ? 何らかの処置を施された者の末裔……ある程度の記憶を受け継いでるってところか?』

ヒトの身で一線を超えた者。とある辺境貴族家の次期当主。

『……驚いタ。そこまで推察しているとわナ。普段の粗野な言動は仮のものだったカ?』

ヒトの耳には少し違和感を覚える声質。ゴブリンの超越者。

『あのなぁ……あんな魔境で暮らしてたら、戦い以外のことを考えてるヒマあると思うか? イロイロと考えるようになったのは余裕の出てきた最近だぜ。ま、俺が持ってるのは別の世界の記憶……この世界を舞台にした物語の記憶だ。そんなのを持った状態でこの世界に生まれたってだけだよ』

『別の世界……来訪者ということカ。記憶という点では私も似たようなものダ。“種の始祖たる可能性”という使命を受け継いでいル。たダ、世界や神々の思惑について詳しくは知らなイ。“古き者”としての幾つかの決まりごとがあるだけダ。あと、それとは別ニ……これから起こる“ナニか”への関与を強力に制限されているのを感じル。マクブライン王家の秘儀など比ぶべくもない縛りダ』

語らう。お互いの知り得るモノから、これから起こるだろうことを。

ただ、不穏なモノを感じ取っているゴブリンと違い、大男の方はあまり気にはしていない。魔物を屠る強大な力を手にしたとしても、所詮はただのヒト……愚かで醜い一人のニンゲンに過ぎないと……どこか達観している。

『ま、少し調べた程度だが……俺の知る物語は、恐らく今から三十年以内には始まるだろうさ。現・王太子が王として即位し、その在位期間中だ。物語の通りなら、その過程で東方辺境地は滅びるらしいから、精々気を付けてくれや』

『……関与する気はないト?』

『当たり前だろ? 俺の役割は物語には無い。もう少しブラブラしたら 故郷(クニ) に帰って領地に引き籠もるさ。下手を打って、王家にも睨まれちまったしな』

大男は物語に興味はない。この世界の自身の役割は、貴族家当主として領地を守ること。そこに迷いはない。

『そうカ。お主は使命や記憶などには縛られぬということカ。……らしいと言えばらしいナ』

『物語に 故郷(ファルコナー) は出てこない。下手に関与して流れを壊すのも 憚(はばか) られるってなもんだ。まぁ物語には悲惨な描写もあったし、途中経過を変えたい気もするが……その頃の俺は自由が利かない身だろうからなぁ……魔境で昆虫共と 殺(や) り合う日々ってところだ』

がっつり物語に関わっている、とある辺境貴族家の子息とは、大男は立場も考え方も若干違う。

『縛りがあろうが、東方辺境地が舞台となるなラ、私も無関係でハ居られないだろウ。後はこの世界に元々居る者で何とかするサ。……ところで来訪者ヨ。興味本位で聞くのだガ、お主が知るこの世界の物語とはどういうモノだったのダ?』

これからの話は終わり。ゴブリンの超越者は、特別にその物語の内容を知りたい訳でもない。後はただの茶飲み話のようなモノ。彼の個人的な興味だけ。

『ん? あぁ、この世界にもあるだろ? 娯(・) 楽(・) 小(・) 説(・) ってヤツだよ』

『ほウ。この世界の事が小説として綴られているのカ?』

『戦記物というか年代記というか……かなりの長編だったぜ。まぁ俺の脳ミソじゃ 序(・) 盤(・) の(・) 東(・) 方(・) 辺(・) 境(・) 地(・) 編(・) すら、もうあんまり覚えちゃいないがな』

『なるほどナ。そこにはお主は…………の……か?』

『あぁ。……で、……だった。……ってな感じだったかな?』

『そうカ。まことに不可思議なものヨ…………はどうダ?』

『それはなぁ…………』

それは種を超えた友人同士の邂逅の一コマ。

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……

…………

………………

「ヴェーラはどう思う?」

「異常ではありますが、それよりも『何故にいまさら』……という思いの方が大きいです」

「だよねぇ」

アルとヴェーラは大峡谷の奥地……クレアが居るだろうルーサム家の最前線地帯に向けて川を渡り、少しでも前線に近い砦を目指す……目指そうとしていた。

実のところ、大峡谷内は正式にルーサム家の領地という訳でもないが、取り仕切るのはルーサム家私兵団となっている。

他種族・他氏族勢力や魔物との争いは日常茶飯事であり、武力をもって私兵団が対応するのは当然と言えば当然のこと。

アル達もおとなしく大峡谷内のルールに則って動いているのだが……何故か現在、とある砦の中でルーサム家私兵団に囲まれている。船から降りた直後のことだ。

セシリーと合流した後は、オルコット領都までの道中でルーサム家の監視には散々付き纏われていたが、アルとヴェーラがオルコット領都を出立してからは、二人に対して特別な監視などはなかった。それが突然の方針の転換。

「アルバート殿。私はこの場の責任者であるクスティだ。単刀直入に問うが、貴殿はクレア殿に用があるのだろう?」

この場の私兵団を率いているのはクスティという男。

アルがその名を知る由も無いが、彼は直接セシリーを監視していた者の一人。ビーリー子爵領やオルコット領都への道中で、一行とはニアミスを繰り返していた者だ。

「……ええ。まぁ有り体に言えばそうですね。出来ればダリル殿にもお会いしたいと思っていますが……」

場の長としてクスティが前に出てくる。その立ち居振る舞いに隙は無く、警戒はしているものの、現時点ではアルとヴェーラへの敵意はない。

「我々はいま、魔族領で“敵”とやり合っている。貴殿とクレア殿の一派が穏便に話し合うだけなら別に構いはしないが……それだけで済む筈もないだろう?」

アルがクレアと対峙して、穏便に話だけでコトが終わる。……まさかそんな訳もない。

「ま、確かにそうですが……こちらから一方的に手を出す気もないんですけど?」

「私は貴殿たちを……神子セシリー殿を観察していた内の一人だ。アルバート殿が“手を出された時”にどうなるかを知っている。そして、クレア殿側の異常さもな」

「…………」

『一旦始まってしまうと、殺るか殺られるかになるだろう?』

クスティの瞳は雄弁にそう語っていた。

彼はルーサム家の者として、アルに頼み事を持ってきただけ。

要はおとなしく連行されて欲しいということ。滞りなくクレア一派の下に連れて行くから、大峡谷内で好き勝手に殺り合わないでくれという頼みだ。

いちいち 正体不明の者同士(アルとクレア一派) の争いの調査などに時間を割きたくないというのが、ルーサム家側の本音。

クスティはアルにそれらをあけすけに説明する。

「えぇと……僕らとしては、一直線に前線に連れて行ってくれるなら、むしろありがたいくらいですね」

ルーサム家側からの要望は、アルからすればまさに渡りに船。前線へ向かうまでに、手前の砦でいちいち私兵団の責任者とやり取りをして許可を得て……というのを面倒に感じていたのは事実。それらが省けるというのは、アルからすれば僥倖に他ならない。

「 忝(かたじけな) い。では、我々の船と資源運搬用のルートで前線の砦まで送る。……礼と言うほどのことでもないのだが、一つ情報を伝えておこう。クレア殿は神子セシリー殿を捕えようと手の者を放ったようだ。ほんの数日前、大峡谷の入口とも言える砦でひと悶着が起きていたと聞いた」

彼にとっては何でもない情報だが、それは頼み事に素直に応じてくれた、アルに対しての返礼のような情報。

「……それで? セシリー殿たちは?」

「神子セシリー殿は護衛を引き連れての一団だったが、多少の衝突はあったものの、結局はおとなしく捕らえられたとのことだ。監視はそのまま張り付いているが、その後の連絡は受けていない」

「なるほどね。セシリー殿はオルコット領都でおとなしくはしてなかったということか……クスティ殿、情報をありがとうございます」

ダリルと改めて話をする為に、セシリーはヨエルやエイダの他、護衛や使用人を引き連れた一団でクレアの下を目指していた。

徒歩であったアルとヴェーラよりも、大峡谷への到達はセシリー一行の方が数日早かったのだが、大峡谷内の案内人の手配や一団の人員整理などの為に時間をとられている間に、アル達が先に大峡谷内の砦へと進んでいたという状況。

「アルバート殿。一応、もう一つ伝えておくが……話に聞く大森林ほどではないが、この大峡谷においても絶対はない。我らと共に先を目指してもらうが、強力な魔物と遭遇して、呆気なく全滅する可能性も無きにしも非ずだ。決して油断無きように……」

「肝に銘じておきますよ」

「……辺境を知る貴殿には必要のない説法であったな」

クスティはセシリーの監視を通じて、オルコット領都への道すがらのアルも見ていた。知っていた。

ただ、当時とはまた別の雰囲気をアルが纏っていることに気付いている。

「(やはり辺境の戦士か。先の道中の戦闘は凄まじく、警戒も一級ではあったが……また違うな。ここが辺境であることを理解している。たとえ砦の中と言えど、周囲全てに気を配っている……流石だな)」

クスティはアルの纏う雰囲気、その警戒の範疇に感心するが、彼は知らない。

ほんの少し前、混乱からの事とは言え、砦の自警団にアッサリと囲まれて間合いに入られても、しばらく気付かなかったというマヌケを晒していたことを。

「アル様。セシリー殿のことは……?」

「ん? ……彼女が望んだのか、女神なり“物語”なりの 思(おぼ) し 召(め) しかは知らないけど……仕方ないだろうさ。神子である以上は、今回の動きにも何らかの意味があるのかもね」

「アル様の中にある『衝動』は大丈夫なのですか?」

「ああ。何故か反応はないよ。もしかすると、クレア殿の企みを挫くにあたって、僕が動くよりもセシリー殿の方が適任なのかもね。それを考えると、クレア殿一派は下手を打ったとも言えるけど……どうなんだか」

アルの中にある『衝動』は今はダリルへ向いている。『彼を助けろ』と。ただ、無視しようとすれば出来ない訳でもない。彼はそこまでの強制力を『衝動』に感じてはいない。もっとも、そう思わせられているだけかも知れないという不安もあり、言い出せばキリが無い為、アルはそれ以上考えるのを止めている。

「……そんなにも神子セシリー殿が気になるのであれば、情報が入り次第お伝えするが?」

「お願いできますか? ……どうせ向かう先は同じでしょうから、普通にクレア殿のもとで再会を果たしそうですけど」

アルとヴェーラは素直にルーサム家私兵団に従い、その案内のもとで先を目指す。

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……

…………

………………

マクブライン王国においての異端、東方の悪魔とまで評されるルーサム伯爵家。

大峡谷と領地を接する貴族家は他にもあるにも関わらず、ルーサム伯爵領は『大峡谷の玄関口』と言われており、東方辺境地における貴族家の盟主の役割を担っている。

理由は簡単。

ルーサム家は大峡谷内を流れる大河に沿って、ヒトやモノを運搬する道を、砦を整備してきた。他種族の各氏族と交渉や制圧を重ねて、ルーサム家が一大運搬路を大峡谷内に築き上げてきたことに、東方辺境地の他の貴族家は敬意を表している。

教会が魔物と認定している種族……ゴブリンやオークなどを私兵団に受け入れていることにより、王国上層部や教会からの受けは悪いが、それを差し引いたとしても、ルーサム家が代々取り組んでいる大峡谷内の整備は偉業という他ない。

だからこそ王家も、諸々に目を瞑ってきたのだ。いや、むしろ王家としては、教会との関係を鑑みてのことであり、教会との関係が変化していくこれからの時代においては、ルーサム家の取り扱いも変わっていくのかも知れない。

そんなルーサム家の正式な領地……大峡谷の玄関口と評される場所にある砦が、領民の生活の場であり、交易や物流を支える根幹。他の領地においての領都のようなモノ。

アルとヴェーラはとっとと通り過ぎた場所ではあったのだが、そこにセシリー一行は逗留していた。

ちょうど、アルが過去を思い出し、ちょっとした醜態を晒しつつも超越者への一歩をヨチヨチと踏み出した頃のこと。

「 主(あるじ) たるセシリー。やはりこの先へ進むには馬車や使用人は無理だ。船と徒歩での移動になる上、魔物の脅威がある。……聞けば、コネと金次第では私兵団の使う運搬ルートを使わせて貰えるようだが……東方貴族家である主の伝手などはないのか?」

「……大峡谷において、オルコット家が担当する区域はまた別なんだ。そこもルーサム家の管理地ではあるが、私兵団同士での接点はあまりないんだ。残念ながら、領主代行たる家令への挨拶も終わったし、この先はオルコット家の公務というわけでもないからな」

「そうか。相変わらず主は役に立たないな」

「……エイダ。私への当たりがキツくないか?」

使えない主に対して溜息交じりのエイダ。だが、セシリーもエイダのそんな態度が、ただの戯れだというのは流石に理解していた。じゃれ合いのようなものだ。……もっとも、エイダとしては何個かに一個は本音を混じえているが。

「持ち札が無い以上、正規のルートで行ける所まで行くしかないでしょう」

「それしかないだろうな。私やヨエル殿はともかくとして、オルコット家の護衛五名と使用人三名はどうする? 使用人たちだけでここに残すのもどうかと思うが?」

「…………そうだな」

エイダは先へ進むことをについてどうするかという心配を考えているが、ヨエルはまた少し違う。

「(我々が先へ進むよりも、クレア様たちの“迎え”が来る方が早い気がするな。既に周囲に不穏な気配を感じる……気の所為ではないはずだ)」

ヒトとモノで賑わう砦……ルーサム領の領都。セシリー一行がここに到着して既に十日が経過している。もっとも、オルコット子爵からの言付けもあり、砦の責任者……執務を任されているルーサム家の家令との面会などもあった為ではあるが。

ヨエルは薄っすらと勘付いている。自分達の所在は知られていると。

相変わらずルーサム家の手の者が張り付いているが、接触してはこない。接触してくるとすれば、彼等ではなくクレアの関係者だろうとヨエルは見ている。ルーサム家の者以外の気配を、ここ数日で彼は感知しつつある。

「……戦える者が二人は残る方が良いかと。あるいは……」

ヨエルが言葉を選ぼうと逡巡したとき……

「あるいは迎えを待つ……か?」

「ッ! ……え、ええ。その通りです。セシリー殿も気付いていたのですか?」

その凛とした瞳をヨエルに向ける。セシリーは語る。

「確かに私は未熟で甘い。それに肝心なときに役立たずではあるが……死と闇の気配は流石に感知できるさ。ウォレスとは比べ物にならない……垂れ流すのではなく、濃密に凝縮された死と闇の気配を持った者がこちらに近付いてきている。……クレア殿の遣いだろうな」

生と光の属性を持つ神子から、少し自嘲気味な笑いが溢れる。

ヨエルが感知した者達ではなく、彼女は更に深く潜みつつ接近してくる気配にこそ気付く。

「……どうする? 壁となって時間を稼げと言うならやるぞ?」

「いいよエイダ。近付いてくる気配にとりあえず敵意は無い。それに、私たちは余りにもクレア殿側の思惑を知らない。……一度ちゃんと話を聞いてみたい」

『そういう所が甘いんだ』

思わずエイダはそうボヤきそうになるが、彼女はセシリーを見た。これまでには見られなかった……“覚悟”を背負ったセシリーを。

「……大丈夫だよエイダ。“いまの私”なら負けはしない。借り物の力だが、それなりに使い方は解ってきた。もう躊躇もしない……ッ!」

凝集された白いマナが、セシリーの周囲に巡る。それはほんの一瞬のことだったが、必要十分。自分の存在を相手に知らしめるには。

いざとなれば殺す。守る。逃げる。

いまのセシリーは迷わずに選ぶ。最善が何かを即決する。その覚悟がある。

「……コレで向こうもこちらの意図を察したはず。すぐにここへ来ると思う」

「ふっ。主たるセシリーの仰せのままにだ。私は付き従うまで」

「念の為に護衛や使用人の方々にも固まっておいて貰いましょう。……“いま”はセシリー殿の近くの方が安全でしょう」

こうして、セシリー一行はクレアの使者……ネストリを待つ。

……

…………

一方、セシリー達の待ち人たる元・エルフのネストリは、余りにもあからさまな神子の挑発に思わず笑みが零れてしまっていた。それは失笑や嘲笑ではなく、本当に不意に零れた笑い。皮肉や駆け引きではない笑いだ。

まさか、ここまで真っ直ぐに挑発されるなど思ってもみなかった。都貴族の間で暗躍する期間も長かったネストリにとっては、真っ向から挑まれること自体が逆に新鮮に響く。

「ふふ……ははは! さてどうするか……? と、少し悩んでいたのだが……くくく。気取られたのには驚いたが、こうまでされると正々堂々と訪ねて行かねばな。はは」

そして、ネストリの傍には控えるように付き従ういくつかの人影。その影たちの長が問う。

「……ネストリ殿よ。あれほどの濃密なマナであれば、自警団なりにも気付かれておろうに。根回しなどは良いのか?」

「はは。構わん。流石に こ(・) こ(・) で大きな揉め事を起こしはしない。その代わり、神子セシリー殿や我々の行動には関与しない……そういう取り決めは領主代行にも通している」

滅びし氏族。その生き残り。ヴィンスをはじめとした、選抜された幾人かがネストリに従っていた。

「……揉め事を起こさないのであれば、わしらを引き連れてくる意味もないのでは? 自警団なりを相手の捨て石と思っておったのじゃがな」

「ふふふ。貴様らを連れてきたのは、一族の者との感動の再会を演出してやろうと思っただけだ」

「(……まったく悪趣味なことよ。何が感動の再会じゃ、白々しい。どうせ一連の事情も知っておろうに。ナイナが生きておったのは驚いたが……一族が滅びた後に、一族のかつての不始末を突きつけられるとはのう……これが報いか)」

確かにそれはヴィンスの引っ掛かりではあった。

エイダ(ナイナ) の生死が判別せぬまま、その行方も追えずに分からずじまい。名を奪い、追放するという一族としてのケジメはつけたが、それが手緩かったのは皆が知るところ。

「(最後の最期に……かつては一族において次代の希望だったあの者を……か。運命とやらはどうあってもわしに、一介の戦士として誇りを胸に果てることを許してはくれぬようじゃな……)」

ヴィンスの胸には仄暗い焔が宿る。

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