軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

戦場浅葱

◇【戦場浅葱】◇

”おまえに■■■■されたって、言いふらしてやる”

私は”戦場”という苗字が嫌いだった。

まあ確かに年頃のカワイイ女子には似合わぬ血生臭い響きではある。

だから苗字で呼ばれるのが嫌な理由はそれなのだと思う人は多かった。

けど本当の理由は、死んだ父親の苗字だから。

私の父親はいわゆるモラ夫というやつだった。

ちなみにモラ夫とは”モラハラ夫”の略称である。

ざっくり言えば妻に対し自分ルールを押しつけてくるカスのこと。

ママを下に見てたし、ママを自分ルールで縛りつけていた。

あいつは説教が好きだった。

幼心にドン引きしたのはママが家のことでミスをした時に、

”正義締め”

そう称し、ママを羽交い締めにして締め落とす行為だった。

ママが意識を失うと、あいつは言った。

『仕方がなかった……すまない。でも、ぼくが君を心から愛しているのは真実なんだ』

キモすぎた。

吐き気を抑えるのに必死だった。

まあ――歪んだモラハラ気質だったのは間違いない。

クズのオンパレードとは、まさにあいつのことだと思っていた。

外向きにはいい顔をして、いい夫を演じる。

何もかも自分の都合のいいように進まないとすぐ不機嫌になる。

ママの親が無能だからママも無能に育ったという話を何度もする。

自分の親に会った時はずっとママを小馬鹿にしている。

ウザさの極地みたいな男だった。

とはいえ、ママもママだった。

ママは人よりたくさんのことがあまり上手くできない。

空気を読めないところもある。

二つ以上のことを同時にやれない。

同時にやろうとすると、パニックを起こす。

たまに集中しすぎて人の声が聞こえていない時がある。

そういう時、父親は激怒して大声を出す。

制裁と称しママに腹パンをする。

殴ったあと二言目には、

『外で誰かに話すようなことじゃない。我が家の恥になってしまうからね』

偉そうに言っているが。

小心者のくせに。

けれど、私の方は上手くやれていた。

私は、いい子を演じていた。

ただいいようにやられているママを見ていて、イライラした。

やり返すこともなく、ぽわぽわしている。

すぐ大げさに謝る。

決まって自分が悪いと認める。

父親もカスだが。

ママの自主性のなさにも、ずっとイライラしていた。

私は読書を好んだ。

しかも活字。

小学二年生でだぜ?

理由はある。

父親がゲームとか漫画に触れるのを認めなかったからだ。

スマホを持たせるのは就職してからにしよう、とか言っていた。

ゾッとした。

何アホなこと言ってんだこいつ、と思った。

とまあそんなわけで、私は活字を読んで過ごすしかなかったのだ。

私は、主に県立図書館に通った。

家と学校の間にあったのがちょうどよかった。

私は色んな本を読んだ。

同時に、疑問に思った。

こんなにも有用な本があるのになんでみんな読まないんだろう?

図書館ではソファで寝てる人もいた。

夏なんかは明らかに涼みにだけ来ている人もいた。

”こんなに有用な知識がタダで読めるのに何をしてるんだあいつら?”

当時の私は、本気で疑問に思っていた。

最初に膨らみ始めたのは、知識欲だった。

小学三年生になった私はママのスマホをこっそり借りるようになった。

使ったあと履歴は念入りに消した。

多分、父親がチェックするから。

痕跡の消し方もネットで調べた。

ネットはすごかった。

図書館の本で得られる知識とはまた別種の情報に溢れていた。

興味が湧いたのはゲームと、マインドコントロール。

マインドコントロール――つまり洗脳である。

面白いなと思ったのは、行われるのがカルト集団に限らないという点。

普通に一般人の生活の中でも行われていた。

事件性があるものも含めて。

ただ――事件になってしまうのか、と残念に思った。

たとえば洗脳した相手に誰かを殺させたとしても。

洗脳を施した人も捕まってしまう。

うーん、残念。

けどすぐに”あれ?”と思った。

待てよ、と。

今の私は、小学生じゃないか。

一体どこの誰が、小学生がマインドコントロールを行うなんて思うだろう?

今の私だからこそ”やれる”のではないか?

私はまず、学校で新しい友だちを作った。

洗脳のお試しの第一歩として。

まあ、その友だちの家でゲームをさせてもらう狙いもあったけど。

父親には一緒に勉強をするのだと言っておいた。

友だちは裕福で育ちのいい子に狙いを定めた。

あのカスが納得するように。

友だちへの洗脳は……成功してた、と思う。

あと、ゲームが面白かった。

私は算数が好きだった。

感情の入り込む余地がない。

それが、心地よかった。

でもいつの間にか国語とかにも魅力を感じるようになった。

人間の感情を操るのも――算数とあまり変わらないのでは?

ただ私は最初、

”この時の作者の気持ちを答えよ”

これ系の問題が苦手だった。

なぜか?

本気で考えてしまうからだ。

だけどのちに国語のテストにも”点を取る”法則性があると気づいた。

成績は上がった。

国語も面白い。

なんでも面白い。

マインドコントロールも、やはり興味深い。

そうして、小学四年生になった頃だった。

いい加減、父親が鬱陶しくなってきた。

ママへのDV的モラハラもさらにひどくなっていた。

うーん……ママもママなんだけどなぁ。

だけど、父親の方が嫌いだった。

嫌悪感の種類が違う。

……殺すか。

私はある日、父親に逆らった。

いい子だった私が豹変したからか、とてもびっくりしていた。

あいつはショックを受けたあと、私を殴ろうとした。

私は言った。

「おまえに■■■■されたって、言いふらしてやる」

父親は私を殴れない。

わかっていた。

ママは押さえつけられるけど。

私は、押さえつけられない。

私はわかっている。

このモラハラ男は。

世間体ってやつが心の底から大事なのだ。

だから証拠の残りにくい”制裁”しかしない。

昔の漫画とかにある”ボディにしな、ボディに”ってやつ。

精神的DVはさらに証拠が残らない。

証拠がない。

だからこそ――私の武器は成立する。

もし実の娘に■■■■したなんて言いふらされたら?

もちろんそんな事実はない。

が、その”事実”をねつ造することはできる。

”幼く無垢な少女の悲痛な訴え”

”狼狽し喚き散らす大人”

さて、世間はどちらの味方をするだろう?

この国を見ていれば簡単なクエスチョンだ。

世間は私に味方する。

そうなれば、こいつは終わり。

こいつは社会的な死を心から恐れている。

そうなったら、おまえは存在理由がなくなる。

完璧だった人生プランが崩壊する。

こういうタイプは敷いたレールからの脱線に耐えられない。

あいつはその日から、私を避けるようになった。

怯えた目で私を見るようになった。

ある夜のことだった。

あいつが私の部屋に来た。

ベッドの上で私にまたがり、首を絞めてきた。

私は――嗤った。

嗤ってやった。

あまりにも憐れで。

そして言った。

「 や(・) れ(・) よ(・) 」

すると――ひっ、と。

小動物みたいな短い悲鳴を上げて、あいつは慌てて出て行った。

当然だ。

大人の”力”を用いて主導権でも取ろうとしたんだろう。

けれど。

実の娘を殺した父親なんて肩書きに、あいつが耐えられるはずがない。

あまりにハリボテな、空っぽの脅し。

壊れ始めたあいつを見る日々は楽しかった。

ママへの”制裁”も減った。

余裕がなくなったのもあるが――まあ、私がやれないようにした。

マインドコントロールによって。

私が恐怖の対象となったため、その方面での操作も可能になったのだ。

私の、ラジコン。

ただ、生かしておくとリスクになってしまうかもしれない。

幸いママの実家は太い。

あいつが死んでも今の生活水準は維持できるだろう。

私は、あいつのマインドコントロールを最終段階に進めた。

あいつの、ゲームオーバー。

そしてあいつは――首を吊って、死んだ。

自宅で死なれると気分が悪いから家の近くの廃工場で死なせた。

工場の持ち主さんは、ごめんなさい。

まあ、あいつも私のいるこの家から逃げたくなったのだろう。

悪魔の子と呼んだ、この私から。

あいつが死んで、ママは悲しんだ。

嘘だろ、と思った。

悲しむか、普通?

さらにあいつの苗字をそのままにするとかいう冗談まで言い出した。

現在の日本では夫が死んでも、夫の苗字を使い続けることができる。

だけど元の苗字に戻すのも選べるはずだ。

……馬鹿なんじゃないのか?

まさか、あんな男を愛してたとでも?

冗談だろ?

あいつの――戦場姓を、使い続けるの?

冗談は……その不器用さだけにしてくれよ。

頼むから。

だけど、不思議だった。

洗脳をママに行えば苗字を戻す方向にだって、持っていけるのに。

私はなぜか――ママに洗脳を使う気には、なれなかった。

「…………」

はぁ……戦場の苗字、残るのかよ……。

……あれ?

そういえば……あいつの名前って、なんだっけ?

私は中学生になっていた。

今はスマホもPCも自分のものがある。

ネットで情報も集め放題。

漫画もいっぱい読めるようになった。

一応、女子中学生としての磨きもかけておいた。

オシャレもしないとネ。

そういう部分の、クラスや学校での序列ってのもあるし。

まあ私は(自分で言うのもなんだが)けっこう可愛い。

これは、武器になる。

何より顔周りのアレコレを整えている時間は、なかなか心地いい。

ママは現在、パートをしている。

あいつが死んだおかげなのか、あのあとなかなかのお金が入ってきた。

そういう保険があったのか、あるいはママの実家からの支援だったのか。

ともかく読み通り、生活に支障は出なかった。

なのに、パートする意味ある?

別に、生活に困ってるわけじゃないのに。

ママは言った。

「わたしもねぇ、浅葱ちゃんのために自分の力で稼ぎたいのよぉ」

だったらもっとまともに家事をやれよ。

……うん、そう言えばいいのだが。

なんでかな?

あいつには言えたようなことが、なぜかママには言えない。

「そっかぁ~ありがとー、ママ」

なんて風に。

いい娘のフリをしてしまう。

……あいつがいなくなると、ママの無能っぷりが気になってきた。

なんでママはあんなに無能なんだろう?

生きてて恥ずかしくないのかな?

死ねば楽になりそう。

……でも、あいつみたいに殺そうとは思えない。

なんでだろう?

私は、ゲームの世界にものめり込んだ。

基本はソシャゲ。

ソシャゲってのはソーシャルゲームの略。

オンラインで日本中の――時に世界中のプレイヤーと繋がれる。

程度の差はあれど一緒に同じゲームをプレイできるのだ。

ゲームによっては”ギルド”というシステムがある。

言うなればゲーム内のチーム、あるいはサークルみたいなものである。

このギルドのリーダーを”ギルマス”と呼んだりする。

私は積極的にこのギルマスになることが多かった。

ギルドのメンバー(ギルメン)を操ってゲームに勝つのが、楽しかった。

意外と現役JC(女子中学生の略)ってのが役に立ったりもした。

私は女子中学生なのでそんなに課金はできない(それなりにできるけど)。

だけど、金だけは持ってる”おじさま”たちが貢いでくれる。

あるいは私の代わりにガンガン課金して、対抗戦で頑張ってくれる。

リアルで会おうとか言ってくるやつは秒で切った。

いやいや。

JCに手ぇ出そうとする犯罪者を抱え込むのは、さすがにリスクでしょ。

この国は特に、若さに価値がある。

エイジズムってやつだ。

世界的に見てもババアとジジイの多い国だから余計そうなる。

あと、容姿も。

ここはルッキズムの強い国でもあるのだ。

顔がいい若者は一定期間、無敵になれる。

醜い国だ。

孤独なオッサンから金を引っ張る手法もネットにたくさん転がっていた。

他にもホストとかパパ活、動画配信者、アイドル商法なんかも興味深い。

手法としてはあれも洗脳の一歩手前なやり口ではないのか。

中には合法なものも多いので、そこがまた面白い。

学ぶ点は、多い。

いつの間にか、私は”操り”が日常になっていた。

一方でママの空気の読めなさとかに、私はいよいよストレスを抱え始めていた。

「ママのパート先の人たちね、みんーな優しいのよぉ」

ママは嬉しそうに言う。

「”戦場さんはそういう人だからあんまり頑張らなくていいわよ”って、少しずつ休ませてくれるの。嬉しいんだけど、なんだかわたしだけ申し訳なくって……ふふ」

いやそれさ……バカにされてんだよ、ママ。

この前の店長さんから言われたことの話だって、そうじゃん。

人手不足だから仕方なく雇ってるっていう皮肉……

つまりは、嫌味じゃん。

バカにされてんだよ、ママ。

なんで相手の言葉をそのままの意味で受け取っちゃうかな。

本音と建前の国なんだよここは。

カスの言うことをそのまま受け入れてどーすんの。

死ぬぞ?

……でも、やっぱり言えない。

私は、

「へーそうなんだぁ。いい職場なんだねー」

「そうなのよ~」

ある日、私はママに内緒でママのパート先に行ってみた。

……あーあ。

年下っぽいのばっかりじゃん。

あんなやつらにコケにされて……。

私は休憩時間っぽいのを見計らって、店長さんに声をかけた。

「あのすみません……戦場■■の、娘なんですけど――」

ある日、ママはとても嬉しそうにしていた。

「なんかねぇ? パート先のみんなが前よりずぅっとわたしに優しくしてくれるのよぉ? ふふ、わたしが頑張ってたのが認められてきたのかしら?」

ママは両手で、ガッツポーズみたいな仕草をした。

「浅葱ちゃんのためにも、わたしがもっとしっかりしないとね!」

……違うんだよ、ママ。

ママの頑張りが認められたとか、そういう話じゃないんだよ。

私のおかげなの。

どこまでバカなんだよ……おまえは……。

やめてよ。

ママ、しっかりできないじゃん。

「あ、もっと余裕ができたらお勉強も見てあげられるかも? ほら、あんまり今まで見てあげられなかったでしょぉ?」

あ、と思った。

まだ……自分の方が私より賢いと思ってるんだ、この人。

本当に……おめでたいやつ。

あのさ、ママ。

見てて辛いんだよ。

やめてってば。

ほんと――うざい。

このままだとママはだめになる。

どっかで絶対やらかす。

理解ある男を作ってやらないとだめだ。

私は、あてがう男を見繕うことにした。

顔はそんなによくない方がいい。

自分に自信のなさそうな――自己肯定感の低い男。

そこそこ一般性と能力はあるけど、異性には縁のなさそうな男がいい。

”この女を手放したらもう二度と自分にチャンスはない”

こう思うタイプの男にすべきだ。

優しい男がいい。

でも”優しいだけ”の勘違い男はだめだ。

自分で自分を優しいと気づいていないタイプがいい。

そうして私は、どうにかママを守れそうな男を見繕った。

洗脳し、あてがった。

一応、二人が偶然出会ったように演出はした。

ママも相手を気に入ったようだった(そういうのを選んだのだから当然だ)。

…………本当に。

手のかかる女だ。

本当に――むかつく。

死ねばいいのに。

私は高校生になり、荻十学園に進学した。

荻十学園を選んだ理由は、家が近いから。

この頃はもう、色んなものに飽きがきていた。

高校生ともなると洗脳での殺しも危うくなってくるだろう。

逮捕はごめんだ。

というかこの頃には、洗脳による操作遊びにも飽きてきていた。

ゲームもなんだかいつも同じ結果に行き着く。

なので最近はもう身が入らない。

色んなジャンルを齧ってみたけど、中には無理ゲーも多かった。

無理ゲーと感じたらすぐに損切り。

時間も有限でござるので。

で、損切りを続けてくうちにゲーム自体にちょい倦怠期がきた。

まあ、続きを待ってるすごい漫画はまだまだ世にあるし。

……楽しみな漫画ほど続きが出なくなる現象は勘弁してほしいけどサ。

知らんことや未経験なこともまだいっぱいあるはず。

生きる意味も、なくはない。

ただまあ――なんとなく、ペースダウンして生きていた。

中学と高校なんて、別にそんな変わらんでしょ。

やることも、人も。

一年目はその通りだった。

つまんねーと思いながら、パンピー感マシマシに生きていた。

ところがどっこい。

進級した先――運命の二年C組である。

十河綾香。

桐原拓斗。

高雄聖。

今までの人生で出会ったことのないタイプが、三人もいた。

洗脳は……やめとこう。

自分色に染めるのではなく、観察したい。

だから、おとなしめにしとこっと(聖とかは手出すとなんかやばそうだし)。

なんだ、と思った。

けっこう高校も、面白いじゃん。

……と思いきや、まさかの超弩級のジョーカーが隠れてんだもんなぁ。

いくらなんでも擬態が上手すぎだよ、三森灯河君……。

あーあ……でもやっぱ、戦いたかったなぁ……。

…………。

多分あの時……ミラの城の食堂で、蠅王と卓を挟んだ時。

私は父親を自殺させた話を、蠅王にぽろっと漏らした。

微妙に私らしくない行動だったと思う。

だからおそらく――あの時点ですでに。

私は彼を、認めていたのだと思う。

同類であり――仲間であると。

好敵手候補だと。

……最大の敵は自分自身です、なんて言葉をよく聞くけれど。

生きてるうちにまさか、あれほど自分みたいな相手と出会うとはね。

これだから世の中ってのはやめられない。

ま、もう私は死んだんだけどサ。

あとは――小鳩か。

最初は異世界で人間を使ったゲームをするつもりだった。

小鳩も駒の一つと考えてた。

死んだら死んだでいいやくらいに考えていた。

けど今思えば――あれは普通に考えて、ゴミ箱行きだった。

つまり綾香のグループに行くべきレベルの駒だった。

声をかける必要なんて、なかったのだ。

要するに……あの時点で、もう猫が見えてたんだろうね。

猫――ママの幻影が。

異世界に来て、もうあのノイズがなくなったと喜んでいた。

もう私は自由なんだ、って。

ようやく猫を気にせず羽ばたけたるんだって。

でも……いたんだなぁ。

ママに似てるクラスメイトが。

思えば、いつの間にか接し方が変わっていた。

自覚なしに。

いや……自覚したく、なかったんだ。

猫がいるのを、認めたくなかった。

うんざりしてたから。

無意識の中で”こいつは違う”って、私は思いたがってたんだろう。

あーあ。

小鳩の――ママのせいで、せっかくの期待作がクソゲーになっちゃった。

ま、それもまた人生か。

世の中にはクソゲー愛好家ってのもいるしネ。

私は結局。

どっかで好きだったんだろうなぁ――ママのこと。

じゃなきゃ、こうはならねぇわ。

んー……にしてもあの漫画とか、あの漫画の結末……。

それが読めなかったのだけが、ちょっち心残りですにゃぁ。

ともかく、ま……ママもあの男と楽しくやってよ。

あんたの大好きな娘が、それなりに苦労して見つけてきたんだからさ。

じゃあね、ママ。

天国と地獄なんてもんがあるなら、私は地獄行きでしょうな。

てことはだ。

多分、地獄にはあいつもいる。

はぁ……またあいつと会う可能性あるのかよー……。

まーしょうがない。

ママが地獄に来ることはないだろーけど……万が一もなくはない。

もしあいつがいるなら……一応、また洗脳でもして始末しときますか。

まあそんなわけで……今度こそ本当の本当に――ゲームオーバーでございます。

それでは、さよーならー。