軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第628話

結局、普通に転送陣でスワローの馬車組合に戻ってきた。滞在時間は人界時間にして三十分弱。妖精界には体感で二〜三時間ぐらい滞在していた感じだったので、明らかに時間の流れが違うのだと確信した。

疲れた……こんな時は【 魔増(マゾ) 歪むジュース】だろうか? それとも温めのお風呂でのんびりするのがいい? 温めのお風呂か……、 家族(ファミリア) 風呂かよ。俺が樽風呂を我慢すればいいだけだな。皆でお風呂するのが良さそうだ。

ムキュ〜ン? ムキュ〜ン?

(「ますたー ぶじなの? だいじょぶ だいじょぶ?」)

「ちゃんと戻れてよかった〜」

ムキュウキュウ

プーププー

コッピョッピョ

キューゥ キュウ

「はい、お疲れ様。吾輩は帰る。ではまた会おう、フニャニャニャニャ……」

そう言い残してミケヲさんはあっという間に去っていった。

今回の収穫は移動手段を手に入れた事と、それより何より “ 新聞 ” に煩わされなくて良くなったことが嬉しいね。上様に嘆願書を直訴するなら新聞として送るのが一番なんだろうけど。まぁ、直訴しないからいいか。とは言え、紙面が消滅するまでは文字で確認出来る “ 新聞 ” 輸送方式は便利と言えば便利だけど。つまるところ、電話かメールかって事なんだよなぁ。

「まだ夕方にもなってなかったんだ。ボク、今日は何だか疲れちゃったよ。冒険者ギルドに行って皆でお風呂に入ろうか?」

ムキュウ ムキュウ

(「あたち はいりたい」)

プーププ プープー

(「イイね」)

コッピョコッピョ

(「ぼく、たいちょうさんするよ」)

「じゃあ、お風呂を借りよう。その後はそのまま冒険者ギルドで何か食べて帰ろうね」

ムキュウ キュウ

(「あたち おやちゃい」)

プ〜〜

(「ベーコンっしょ」)

コッピョコッピョ

(「ぼく、おまめがたべたいな」)

外食はお金が掛かるけど、オロール先生に支払うエール代をそちらに回したと思えばそこまで目くじらをたてる額でもないのだ。

ムキュウ キュウキュウ

(「ますたー かじおじ いこ」)

「かじおじ?」

キューウキューウ

(「あたちの ぶき たのむの」)

「あーー!! ダイモーンさんから材料を渡されてたんだった」

キュウ

「よし、忘れないうちにリンド=バーグさんにお願いしに行こう」

コッピョ〜

(「ぼくもつつくぶき、ほしいな」)

えっ!? コカちゃんって実は戦闘狂なの? 自前のクチバシ攻撃じゃダメなのか?

「コカちゃんも欲しいの?」

コッピョ コッピョ

(「コカパパがね、くちばしにぶきをつけると、てきにダメージだけあたえられるってはなしてたよ」)

「そうなんだ。もしアンディーの武器を作った後に材料が余りそうならお願いしてみようか」

コッピョ〜♪

まさかの鳥専用武器!! 確かに突く事で石化や石化解除といった副次効果が発動する種類にはクチバシガードを兼ねた刺突系武器は有効だ。

◇◇◇◇◇

「久し振りと言うか、ミーシャは数日会わないだけでも色々とネタを持ち込むな」

「あ、はい。色々有りまして。今日は正式な鍛冶依頼です」

「用件を聞こう」

おおぅ、某ヒットマンと同じセリフだ。尤も、言ってきたのはヒットマンではなく武器商人だけど。

馬車組合に行く途中でダイモーンさんを保護した事、ミケヲさんと妖精界に送り届けた事、お礼に素材を受け取った事。掻い摘んで説明した。勿論、移動や通信の話はしていないけどね。

「相変わらずカッ飛んでるな。それで、その素材を見せてくれ」

「はい。これなんですけど……」

そこそこの容積があるのでスライムバッグからミスドウとダイコーンを取り出す。

「これ……は、ミスドウ合金と【白長根】か?」

「はい。アンディー用のレイピアの素材だと言って手渡されました。鍛冶師の方に見せれば分かるだろうって」

「ミスドウは分かるがこっちの野菜は?」

「ダイコーンって言ってましたよ」

「ダイコーン、ダイコーン……ってまさかあれか!!」

知ってるのかライディーン。こんな時に呟きたくなるセリフナンバーワン(当社調べ)のセリフだ。

「知ってるんですか?」

「ああ。師匠、俺の親父様なんだが、銅を含む合金を使った鍛冶仕事の時にダイコーンと呼ばれる野菜を使う事があると言ってたのを思い出した。俺もダイコーンを使う鍛冶仕事は初めてだがな」

「野菜を使うって本当だったんですね。ボクも妖精のダイモーンさんに渡された時に軽く混乱しましたから」

「師匠もダイコーンを使って武器を打った事があるかかどうかは不明だがな」

「非金属素材ってどうやって使うんですか?」

「魔獣素材だと鋳溶かす時に混ぜたり、合わせて叩いたりするが、ダイコーンはどうだったかな?」

「リンド=バーグさんでも分からない系ですか?」

「多分、纏めたメモの中の何処かに書き込んでるとは思うが……。明日まで待ってくれ」

ムキュウ ムキュウ

(「おねがいなの たのちみ たのちみ」)

「アンディーは何て言ってるんだ?」

「お願いします。完成が楽しみです。って言ってますよ」

コッピョ コッピョ

(「ぼくにもつくってね」)

「後、素材が余ったらコカちゃんもクチバシ装備の武器が欲しいそうです」

「アンディーは何を希望しているんだ?」

ムキュウ!!

アンディーは一鳴きすると俺の肩からスルリとテーブルの上に降り、レイピアを使う仕草を繰り返す。

「これは、突きを繰り返して…という事はレイピアか?」

ムキュウ ムキュウ

(「なの あたりなの」)

「気付いたらアンディーが妖精からレイピアの指導を受けていました」

「それで、妖精族でも系統は分かるよな」

「はい。 小羽妖精(ポゥ・リース) 族って言っていました」

「あの好戦的な小型種か……。それがレイピア用にミスドウ合金とダイコーンを」

結局、素材は預けてくれと言われたのでリンド=バーグさんに渡した。果たして大根は武器製造にどう使われるのか俺も興味津々な訳ですよ。