軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第422話

亜人・獣人の合同生産事業は手始めに樹液シロップ作りから始まるという話を聞かされた。冬が近付くので樹液採取に適しているからだ。トマト栽培委託は年が明けたらスタートする。樹液の採れる樹は複数種が有るので、各領内で喧嘩する事なく採取出来るのが強みなのだと。【 穂先(ほ) 無し(なし) 黍(キビ) 】から作られる砂糖の利権はヒト族が独占しているので、それに亜人・獣人が合同で対抗する意味もある。ドワーフにはデンプン由来の水飴もあるからな。樹液の方を乾燥させて砂糖を作って貰えばデンプン水飴を無理矢理乾燥させる必要も無くなる。異世界の謎理論で乾かして砂糖にする事は出来るのだけれど、そこそこ手間が掛かるので樹液から砂糖を作る方が遥かに楽だったし。

「それでミーシャは相変わらず拾った石を磨いてるのか?」

「はい。買ったり依頼されたりもしています。最近は磨いた鉱石を売ることも覚えました」

「頑張ってるじゃねぇか。何処に卸してる?」

「時々ですけど、ラルフロ=レーンさんという魔道具の製作販売の工房に持ち込んでいます。カーン=エーツさんのお友達みたいですけど」

「あ……、そいつにナオを近付けないでくれ」

「お知り合いですか?」

「いや、カーン兄貴が懇意にしてる奴ならアウトだ」

「う〜ん、確かにクセが強い方でしたよ」

親バカでなくとも近付けちゃいけないのは分かるもんなぁ。

「それでナオはいつから預かればいいの?」

「早くて明日からでどうだ?」

「大丈夫じゃない? チーウも暫くは出掛けないし」

「ホークおじちゃん、よろしくお願いします」

「はい。宜しくね」

「あのね、私はミーシャ=ニイトラックバーグさんの従名誉猫獣人の肩書きも気になるけど、それ以上に背中の騎士ちゃんが気になるわ」

「ミーシャ、それは何時手に入れた? 俺は知らない従魔だな」

そしてアンディーの説明と共にポニー二頭と来週やって来るコカコッコ雛の話もする事になった訳で……。

「テイマーでもないのに従魔が増えるのも凄い話だな。アレか? 従魔と一緒にそこら辺の草でも食ったのか?」

何故それを……って、ジョー=エーツさんはアルファルファ事件は知ってたな。その後のハコベ事件は知らないんだろうけど。

「あ…、はい……まぁ、そんなところです」

「その破天荒さ、もしかしてエーツ氏族の血が入ってない?」

「ミーシャは出自不明だからな、入ってるかもしれないぞ」

「パパ、私も草を食べたら可愛いお友達と一緒にいられるの?」

「ナオ、それは無いからな。ミーシャは特別だ」

「何だったら仲良くなれる草の種類をお教えしましょうか?」

「その話は後でいいな」

「えー、パパ、私知りたい」

「一番簡単なのは、【 魔増(マゾ) 草(そう) 】を一緒に食べる事です。量を食べるなら野草クッキーや【 魔増(マゾ) 草(そう) クッキー】でも大丈夫ですよ。クッキーは食べる回数がそれなりに必要そうですけど」

「ミーシャ、 本気(マジ) で言ってるのか?」

「 本気(マジ) ですよ」

「 本気(マジ) で 魔増(マゾ) かよ…」 と言う呟きが聞こえた。普通に人気無いんだな。美味しいのに……。

「えー、それなら私いらない」

「悪いなミーシャ、折角教えてくれたのに」

「仕方ないですよ。オトナの味わいですから」

「いや、大人でも食わないだろ……」

ナオ=エーツさんがアンディーと遊び始めた。可愛い従魔は欲しいけど不味い草は食べたくないって、まぁ普通の反応だよね。

「ナオはどんな従魔が欲しいんだ?」

「私? ブタさん」

「ブタ?」

「【手持ち豚】かしら? それなら本家に行ったら簡単に手に入るわよ」

「カー=エーツさん、それって本当ですか?」

「ん? ミーシャは興味あるのか?」

「可愛いじゃないですか。それに坑内に入るのには必需従魔でしょ?」

「ミーシャ=ニイトラックバーグさんがエーツ氏族入りするなら加入特典で何匹でも渡せるわよ」

何その通販番組の特典みたいな設定!! 特典は関係なしに普通に一頭欲しいんだけど。

「盛り上がってるところに割り込むみたいになるけど、ミーシャ宛に手紙が来たよ」

「ありがとうございます」

「速いね、もう返事が来たんだ…」

「あ、 三毛皇(みけおう) 閣下からのお返事ですね。すみません、ちょっと向こうで読みます」

「ミーシャ、個室を使って!! 鍵も掛けて!!」

そうか、極秘案件があるかもしれないから基本的に一人で読まなきゃいけないんだった。内容は、ドジョウの柳川に大興奮しているだけだったよ。来訪日時は十の日のお昼過ぎ。同行者は前回と同じくキャンパさんとネロさん。魔道具の相談の後に軽く一杯やりながら打ち上げをしたいって事? だったらパスタか何かも要るかなぁ……。

合わせるなら赤ワインにしてみるか、それか熱燗のヒレ酒?

「お、早かったな」

「内容確認だけでしたので」

「ホーク=エーツさん、【渓流 鰮(いわし) 】の干物って手に入ります?」

「時期的に流石に活魚は無理だけど干物だったら手配できるよ」

「 三毛皇(みけおう) 閣下に提供する物なので、間違いのない物でお願いします」

「あ、【 川底小枝(ヤナガー) 】の注文ってそれだったんだ」

「はい。今度からカーン=エーツさんが買い付けに行くんですか?」

「そうだね。カーン兄に押し付ける事になるよ。流石に来週からになるかな? そうそう、ワガママ言って良いから気にしないで発注して」

そう言われても気にしちゃうんだけど。

「ミーシャ、無理難題を押し付けてカーン兄貴がナオに近付けない様にしておいてくれ」

「ジョー兄、俺も協力するよ」

「恩に着る!!」

麗しき兄弟愛…じゃねぇわな。