作品タイトル不明
第410話
まさか、前世の麻の葉柄が対魔力効果のある柄だったとは。上様こと上位存在が元日本人だから何かしら混ぜ込んできてると想像は付くけど。となると、三角形、四角形、矢羽根の柄も元ネタ有りか? まぁ単純な柄だから世界各地で発生してそうだけど。
いや待て、オロール先生の刺し子もフィオナお義祖母さまの組紐も元ネタ=日本の臭いがするんだよなぁ。日本というかアジア系だな。
魔法学と文様学と魔法陣学の授業を取らないことには俺の理解がついていかない。どこかで学園の授業に参加しないと……いやどちらかと言うと出なきゃいけないのは補講の方だ。もしくは自習で。
職校の図書館にも魔法学の資料はあるのでそちらで予習しておこう。学園だと教科書として購入出来るんだけどなぁ。今日はもう時間的に遅いので閲覧するのは諦めた。購買部に『プラスセレブレイト』の防御力アップの指貫の購入申し込みをしておく。それと針打ち実習は明日までにしておく。今日はハンマーで打って作るやり方だったけど、明日は線引きで引いた針金を加工するやり方を学ぶ。それで一旦針打ちは終了しよう。
学生課の講師に魔法学の資料を見るために手続きが必要なのか尋ねたら理由を聞かれた。なので、岩塩事件からの指貫までの話をザックリ伝えてみた。
「それは基礎の座学が必要だね。職人だって魔法の知識は必要だ。時々学園の講師を招いて魔法学の講義をしてもらっているんだ。校長に進言しておくよ」
「わざわざ出張してもらってるんですか?」
「本当は我々が学園に出向いたほうが学園が保有している資料類を見せてもらうのに都合が良いんだけれどね、作業や納期のある学生が多いから効率を踏まえて出張してもらっているよ」
「そうなんですね」
「勿論、時間の制約がない生徒が何名かいれば学園に言って講義を受けてきても構わない。どちらの教室で学んでも生徒の専攻に応じて単位は加算されるよ」
「それだけ魔法学が様々な作業に入り込んでるんですね」
「そういう事だね。逆に学園の生徒が職校に見学に来たりもするよ」
俺の場合、魔法学の出張講義は学園側の単位にしておいた方が良いのではないかと説明を受けた。その方が学園の授業進行度の単位状況に加算されるので、中途入学でも一部の授業に参加しやすくなるだろうという説明だった。カレー目当ての薬草学も途中だからなぁ……。
そうだ、強化石の原石の測定の魔道具の話を聞かなきゃいけなかった!!
講師立ち会いのもと内包検査機で原石を調べると、ジョンノ=レーンさんから渡された暫定値と代わりはなかった。なので、綺麗なだけの【 血肉石(コルネリア) 】は強化石の原石ではなく、ただの綺麗な原石。種類にもよるけど宝飾用って事だ。となれば研磨するなら仕上がり時の大きさや形状を意識しないといけないのか。場合によってはサイズの歩留まりが下がるかもしれない。底面を決めたら一度確認しに行った方がいいな。仕上がりは大きさを求めるのか、小振りになっても綺麗な場所だけ使いたいのかを聞かなきゃいけない、そんな気がする。
これ、強化石だけでなく、鉱石内の特定金属含有の有無も調べられるんだって。便利だ。それだけにお値段は超ーっっお高い。使用料を払えば持ち込み検査はさせてもらえるのでそれは有り難い事です。
えっ、岩塩? 勿論、岩塩の内包物検査も可能だったよ。購入した岩塩には有害金属が少しだけ含まれていたみたいだ。まぁ食べてもギリセーフな量だったらしいけどね。多分、鉛か何かだな。全体量ならヤバい量を含んでいるかもしれないけど、あの塊を一気食いしたら鉛の前に塩分で死ぬわ。俺の除去した有害金属は回収されちゃったから何を含んでいたかまでは分からずじまいだった。そして微量の土も。鉄分は大量に含まれていたみたいだけどな。
学生寮の部屋に戻る。アンディーは 巣箱(ケージ) でお昼寝中だった。気になるのはモヤシ!! クローゼットを開けて確認すると萎びた感じではなくなっていた。よかった、蘇った。念の為、『汎用魔法』の JSS(浄化清浄殺菌) トリプルコンボをかけ更に『注水』で水の補充を……、ってまた『汎用魔法』を使っちゃったよ。衛生面で便利だからつい使ってしまう。そうだな、ここは一つ “ 反省 ” ポーズを……。
そしてアンディー、しっかり食堂にも入れる権利を得ていました。飲食店だとぜんぶが全部入店可ではないけれど、職校と学園の食堂はフリーパス。まぁ、俺が餌用マジックバッグから野菜や果物や野草クッキーを取り出して与える訳ですが。それならパイクお義祖父さまにアンディー用の補助椅子を作ってもらおうかな。
ムキュウムキュウ
(「ますたー くっきー あげるの」)
「アンディーありがとうね」
キュウ〜ン
(「おいちいの」)
俺にとってはいつものやりとりだけど、周囲の視線が痛い気がするのは野草クッキーのせいか!? みんなクッキーに鑑定かけてるよね?
「おやおや、騎士さんだね。クレープ生地で【 魔増(マゾ) 草(そう) 】ペーストを巻いたクレープだったら出せるけど食べるかい?」
キュウキュウ
(「ほちいの」)
「アンディーが食べたいみたいなのでお願いします」
「待ってておくれ」
そう言うと厨房のおばちゃんは【 魔増(マゾ) 草(そう) 】クレープをつくってくれた。何故か二本渡されたんだけど……。そして仲良く口にして周囲にドン引きされるまでがセットか。これ、練り抹茶を包んだクレープだな。青臭さがなければ練りココア(無糖)を塗ったクレープかもしれない。生クリーム、いやバタークリームでもいいけどそこにペーストを練り混ぜて少しだけ甘味を足したら前世の原宿あたりで売ってそうな気がする。ミケヲさんに食わせてみたいわ。