作品タイトル不明
第392話
疲れのせいかベッドに寝転がると直ぐに睡魔が襲いかかる。色んな事があり過ぎて……。瞼の裏に転生してからの思い出が走馬灯の様に現れては消え現れては消え……。そう言えば走馬灯って単語、ドワーフ語には無いよね? これ、パラパラポンチ絵と何か関連するとかあ
るの? 絵が回転する筒とか。筒に穴を開けて覗き見するとかアリかな。何だっけ、東南アジアだかどこだかでお教を回転させれば唱えた事になる仏具が…。ああ、そうだ回転木馬……ふふっ、ほーら捕まえてごらんなさい…………。
仕方ないなぁ、私の通常の三倍の速さで回る回転木馬の出番だねぇ。ポーター氏族の回転木馬は世界一ィィ!!
ミーシャはん、やめてーな。もう食われへんねん。【蛇魚】の煙でお腹一杯や。やめっ、やめなはれ!! やめてーな!! なぁ、なんでやめへんの、反省しぃ!!
岩塩を浄化の後に鉄錆を意識して除去。岩塩を浄化の後に鉄分を意識して除去。岩塩を……
チョイナ チョイナ
ムキュウ ますたー ま…… なの
あ、息苦しい、寝苦しい……。暗いし灯りを『 常夜灯(ナイトライト) 』あれ、点かない……? そうか阻害されて……。駄目、眠………い。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ここは……? 白い空間? 夢か? 俺、死んでないよね。
(「聞こえますか? ミーシャ君、聞こえますか? 今、吾輩は直接あなたに語り掛けています」)
「だっ…誰だ……???」
(「聞こえますか?」)
知らない声だ。しかも男声。誰なんだよ??
「誰……、念話って何が誰で何処の目的で……」
(「吾輩は猫獣人である。名前はマダナイン」)
はぁっ!? 悪夢か? ナイトメア来襲!? シグナル赤??? 精神攻撃なの???
(「吾輩は猫獣人である。名前はマダナイン=ミケヲ。今直接ミーシャ君に語り掛けているぞ」)
「直接って、念話……?」
(「いや、糸電話でだな」)
糸電話ってどういうことなの???
「いっ、糸電話って!?」
(「直接ミーシャ君に糸を取り付けて会話しておるが」)
「直接って」
(「ミーシャ君のこめかみに糸をピッと取り付けてだ。吾輩は影の中に潜んでおるがね」)
「どこの芥川だよ……」
(「ミーシャ君、それは夏目だ。ところで君っていつの時代の日本人? 明治? 大正? 昭和? 平成?」)
「………アナタハ、ミケヲサン デスカ?」
(「大正解!! ドッキリ大成功!!」)
誰もいない!? 夢か!?
(「はい、暴れない暴れない。糸電話の糸が切れる。何のことはない。単なる骨伝導システムだよ。それに騒ぐと怪しい寝言認定されるね」)
「どうすれば」
(「そこで提案なんだけどね、吾輩のユニークスキルに乗っかってもらいたい訳なのだがね」)
「スキル?」
(「『 茶人之部屋(チャット・ルーム) 』、日本人転生者の意識だけが入り込めるお茶室だよ」)
「ワタシ、イミ、ワカリマセーン……」
(「そこ、カタコトにならない!! 文字通り、日本人転生者の意識だけが入り込めるお茶室だ。密談し放題だよ。訪問してくれたら普通に会話出来るから」)
「ボクは死にません?」
(「そこ、 “ 百八回目のアイ・ラブ・ユー ” のセリフ言わない」)
やべぇ、ミケヲさんが夜這いにきた。いや夜襲か…。猫獣人は夜行性かよ。面倒くさいから許可しちまうか。茶室に入るのって意識だけでしょ? ベッドの上に残された肉体はアンディーに任せよう。
流されるまま 三毛皇(みけおう) さんのパーソナルエリア? を来訪することになってしまった。黄金に輝く 躙(にじ) り 口(ぐち) が見える。うっわー、悪趣味!! ここを潜れってか? 黄金の茶室って豊臣秀吉の真似事かよ。そして [ 本日の訪問者:一名 ] って表現が出るのがちょっとだけ古臭いぞ。
「いらっしゃ〜い」
「おじゃまします」
「あ、ここは日本人転生者限定なので日本語でいいからね」
「お招きありがとうございます。初めまして、 美石屋敷(みいしやしき) 玄武(げんぶ) と申します。すみません、名刺を切らしていて……」
「そこ、生前名で挨拶するのか。吾輩は猫獣人である。名前は 真棚院(まだないん) 三毛尾(みけを) 」
「えっ、ミケヲさんってガチでマダナインだったんですか!!」
「そう言うミーシャ君も生前の名字が匂わせ系でしょ」
「いや、俺はハンネがミーシャだったので……」
「ちょいまてミーシャ君、俺って君………元は男性!?」
「はい」
「そう言うミケヲさんは男性のまま転生ですか?」
「厳密にはオスだね。オスの猫。その前は男性」
「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ったー!!」
「吾輩、色々あったのよ」
「つ…、つまり、ミケヲさんは人→猫→猫獣人と二回転生してるって事でいいですか?」
「御名答。記憶がある分ではそう。吾輩、人→猫は日本で、その後に『ハポン=ヤポン』に飛ばされたのだよ」
「一人称が吾輩なのは、某有名文学作品を意識してですか?」
「正解!! ほら、君みたいに日本人転生者が釣れる」
これがパニックにならずにいられようか? いや、ない。 カッコ・反語・カッコ閉じる。ミケヲさん、現れ方もいきなりだったが、転生告白も衝撃的過ぎる。俺なんか可愛いモンだわ。
「あの、この世界に日本人転生者って他には確認されていないんですよね?」
「その通〜り!! 折角、元日本人転生者同士でコッソリ語り合う為のスキルを取ったのに、今の今まで無用の長物だったんたから……ブツブツ」
「過去には居たみたいですよね」
「鶏の勇者はそうみたいだな。後はアレだよ、一番偉い神様。上様って元日本人だから」
「上…様?」
「あ、上位存在と呼ばれている神様。略して上様。主神と呼びかける人も居るみたいだな」
まさか、神様のトップが元日本人転生者とか、それが一番の衝撃、いや、 いきなりの衝撃(サドン・インパクト) だよ。