軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第388話

「ミーシャちゃん、倒れたって聞いたけど大丈夫?」

「ミーシャさん、無理してはいけないわ」

「アリサお姉ちゃん、フィオナお義祖母さま、ご心配をおかけしました」

「鉄分でやらかしたって聞いたけど、今は “ 淑女(レディ) の日 ” じゃないんだよね?」

「はい。ボク、 “ 淑女(レディ) の日 ” 自体、良くわかっていなかったので……」

それから講習会と言う名の家族会議?が始まった。

「 “ 淑女(レディ) の日 ” と言うのはね……」

この期間は体調管理の為に自宅でのんびり過ごすことが推奨されるので、 淑女(レディ) ”のように淑やかにしていましょうと言う意味合いをもって名付けられたのだという。パートナーがいる場合は紳士的に振る舞えよ!! という事なので、男性側は “ 紳士週間(ジェントルマン・ウィーク) ” と呼んだりもするが。

「その期間は冒険者稼業もお休みするんですか?」

「休む人は休むよ。休みたくない人は薬を飲むかな」

「薬を?」

「そう。 “ 淑女(レディ) の日 ” をスルーしておきたい仕事もあるじゃない。冒険者もそうだけど、鍛冶師とか鉱山で仕事をするとか」

「錬金術師や治療術師も対象ですわよ」

「けっこういますね」

「そう。だから【 莫連錠(バックレじょう) 】を飲むんだよ」

【 莫連錠(バックレじょう) 】は月の物からバックレる為の錠剤。職業婦人の友でもある。前世のピルとは意味合いが違う感じだけど、俺はそちら関係は詳しくなかったのでどう違うのかは不明だ。

「ミーシャさん、私たちドワーフはね、半年に一回くらいのタイミングで子供を授かるチャンスがあるのよ。大体、 “ 淑女(レディ) の日 ” が終わって一月以内ですわね。妊娠期間は二百日ほどよ」

「大事な事ですね。ボク、全然知らなかったので……」

「仕方ないですわよ。ミーシャさんはそういう事を教わるチャンスが無かったのだから。不安なことや知りたいことがあったら私たちを頼って下さいな」

「ありがとうございます。ボク、頼りにしますね」

ドワーフ、受胎のタイミングが俺の知ってる前世のそれと違わないか? 前世だと「ねぇ◯◯、わたし、出来ちゃったみたい。アレが来ないの……」だったよね? そして妊娠期間も短くないか?

「まだ、一回も “ 淑女(レディ) の日 ” が来てないって事でいいのかな?」

「はい」

「髭が生え揃ったら直ぐに “ 淑女(レディ) の日 ” が来る 娘(こ) もいれば、十年くらい来ない 娘(こ) もいますわ。慌てなくても大丈夫ですわよ」

「最初の一回目が来ないと【 莫連錠(バックレじょう) 】は飲まれないから覚えておいてね」

ついつい女性姿で転生を選んでしまったが、こういった女性特有の事象がある事を失念していたわ。でも、回避薬もあるみたいだからその時が来たら利用していこう。それより、周期が月の物じゃないよな。半年の物じゃないか。

「それにしてもアンディーちゃんはお手柄でしたわ。わたしの可愛い孫娘を守ってくれてありがとう」

ムキュウ!!

(「ほめて なの」)

「ご主人様の危機をちゃんと伝えたんでしょ? それって凄い!!」

キュウキュウ

(「ありがと なの」)

「アンディー、本当にありがとうね」

ムキュウ!!

【 魔増(マゾ) 草(そう) 】ジュースは飲んだけど、今夜は念の為、学生寮の部屋には置いておけないと言われてしまった。こういう時は、『スワロー』に自宅の有る生徒は自宅に帰され、そうでない生徒は救護院や冒険者ギルドに送られる。救護院は治療術師の勤めている施設だ。前世でいう診療所的な感じね。俺の場合はどちらの家に行くべきか……。

「ミーシャちゃん、うちにおいでよ」

「あら、わたしの家の方が人も多いので安心ですわよ」

あ…大岡裁きが始まったぞ。

俺は大事を取るという事で五の日が終わるまで出校停止を食らった。これは学園にも通達されているのでコッソリと学園の授業を聞きに行くことも不可。転生してから休みという休みを取っていなかったから、今更ながら二日間の休暇を取ると言う事にしておこう。従魔と触れ合うことは禁止されなかった。鉱石研磨は禁止されてしまったよ。まぁ、大人しく過ごすとしますか。

そしてアリサお姉ちゃんとフィオナお義祖母さまが【飲み拳】で俺の宿泊権利を賭けてバトルした結果、今日・明日はパイクお義祖父さまの家に泊まり、明後日はリンド=バーグさんの家に泊まる事になった。これは時々泊まりに行かないと駄目なんだな。前世で感覚で四十歳はオッサンだと思っているけど、ドワーフの四十歳はヒト族の十四歳くらい。ちょうど中二ぐらいだもんなぁ。反発してなきゃ保護者に甘えに行くのが筋か。あ……俺って思春期女子なんだな。

職校に保護者宅の宿泊日程を報告。パイクお義祖父さまの家に行く前に部屋からアンディーのトイレ用のスライムを連れて来ないと。 木賊(とくさ) の鉢植えに水をあげてカーテンを半開きにしておく。クローゼットのモヤシは水を多目に与えておいて頑張ってもらおう。モヤシは生きているから『 次元収納(インベントリ) 』には入れられないんだ。【プルモニア】の枝は持っていく。

部屋の中をよく見たら二つの岩塩が無いんだけど!!

[ 検分のため回収します。後日、返却されます ]

とメモが残されていた。これは仕方ないやつか。

ムキュウ

(「ますたー あたち ちんぱいちたの」)

(「心配させてゴメンね」)

(「ますたー おなかすいたの」)

(「何か食べたい物があったら教えてね」)

(「まぞのくさ!!」)

うっ、よりによって【 魔増(マゾ) 草(そう) 】なのかよ。冒険者ギルドか錬金術ギルドには置いてそうな気がする。俺の為に頑張ってくれたんだ、お礼に買ってあげようじゃないか。