軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第385話

三毛皇(みけおう) さんに会う日程は向こうの都合に合わせるんだろうから、それについては暫く放置なのかな。間違っても明日いきなりとかではないだろう、多分。こういう時って「知らんけど」って言うんだっけ? 知らんけど。

何から手を付ければいいのか軽くパニックだよ。

ムキュウムキュウ

(「ますたー くっきー ほちいの」)

そうか、優先順位は野草クッキーか!!

野草クッキーは冒険者ギルドで二十枚購入、餌用マジックバッグに入れておいた。俺のオヤツでもある。部屋に戻ってから強化石の原石を観察していた時に気付いた。しまった、ハーレー=ポーターさんに測定機を知っているか聞くのを忘れたよ。

俺の鑑定スキルだと原石をチェックしても強化可能としか出てこない。そして後から渡された【 血肉石(コルネリア) 】だけは強化に関しての表示が出てこない。つまりこれはただの綺麗なカーネリアンって事でいいのか? 何にせよ確認のために測定機を通しておきたい。

取り敢えずスケッチから。ジョンノ=レーンさんから渡された強化推定値の下に俺の鑑定結果も書いておく。更にその下に職校の測定機の出した数値を書き込むつもりだ。信用してない訳じゃないけど記入ミスがあるかもしれないし、もしかしたら色々と試されてるかもしれないし。

そして何回見ても『対物簡易鑑定』だと強化の可不可は出ないんだな。

『 肋肉石(サードニック) 』は何を強化するのか分からない。これは冒険者ギルドか学園で調べてくるのがいいかな。職校にも資料はありそうだけど、学園の方が詳しい資料が有る様な気がする。

明日の午前中は針打ちをして午後からは学園で資料のチェックだ。学園だったら従魔の待機場所でアンディーも他の子たちと仲良く時間潰しが出来るんじゃないかな?

今日は二の週・三の日、意識していないと日にちを忘れる。針打ちに行く前に昨日初めて打った針に糸を通して手習いのポーチを縫ってみた。うん、縫い辛ーい!! 針が布を通る時の感触が悪い。これは針打ちの練習をしつつ、刺し子の練習に使う針は既製品というか針に特化した職人に発注した方がいいのかもしれない。初心者の時にこそ、そこそこちゃんとした道具で技術を身に付けた方がいいというものよ。

となると、針打ちばかりしてもいられないのか。鍛冶の作業場は共用だし。材料さえ工面出来ればリンド=バーグさんの作業場の片隅を使わせてもらう方がいいのかもしれない。針を打つだけなら十センチメートル四方の金床と小振りのハンマー、それこそ大工仕事で釘を打つ程度の大きさの金槌が有ればいいんだから。

アンディーを迎えに寮の部屋に行こうとしたら学生用掲示板に追加のお知らせが貼られているのに気付いた。岩塩ランプ用の岩塩が限定三十個入荷したとのこと。これは削ってみたい。手でくり抜かなきゃいけないのか、旋盤があるのかも知りたいところでもあるし。一人一つまででなかったらもう一つ二つ欲しい。岩塩が採れるという事は前世の日本とは環境が違うんだなぁ…と言う事だよね。

慌てて買いに行ったのに、購買の職員さんに 「欲しかったら五つでも六つでも売ってあげるよ」 と言われてしまった。どうやら岩塩ランプ作りは人気が無い模様。授業的には彫刻の項目に含まれる。石像を彫ったり木彫の授業を専攻する生徒と一緒に作業をする事になる。カメオやエッグアートもこのカテゴリーだ。エッグアートは卵の殻をレースの様に透かして作る工芸品。前世では簡易の体験しか出来なかったんだよなぁ。ハンドリューターの無い世界でどう作業するのかが知りたい。

ランプ用の岩塩が完売したらランプ作りの講義のお知らせが告知されるんだ。もしも俺が買い占めたらどうなるんだろう?

結局、二つ買った。購買部の職員さんに今週・九の日のお昼まで売れ残っている分を全部買うから…と大口を叩いてしまった。一つ銀貨三枚。全部買ったら結構な出費になってしまうぞ。

買ったら鑑定。本当は買う前に鑑定が正解だな。職校で取り扱っている品だからボッタクリや詐欺商品は無いよね…という信頼の元、未鑑定で買ったからな。前世のクセがどうしても抜けないという事もある訳だが。

(簡易)

岩塩・一号:切り出したばかりの岩塩。食用不可。

岩塩・二号:切り出したばかりの岩塩。食用不可。

(鑑定)

岩塩・一号:切り出したばかりの岩塩。不純物多し、食用不可。

岩塩・二号:切り出したばかりの岩塩。不純物多し、食用不可。

案の定、不純物というか有害金属が含まれている感じだよ。食用不可って出てるし。これ、作業前に『汎用魔法』の『浄化』と『有害金属除去』を掛けておいた方がよさそうだな。少なくとも練習用であって作品販売用の岩塩ではなさそうだ。

うーん、この程度だったら 職校(ここ) で処理しちゃおうかなぁ? 簡単な作業の出来る工作室もあるから処理して分離除去した有害金属を空のポーション瓶に入れておけば安心だ。まぁ、怪しげな岩塩を持ち歩きたくないというのも理由の一つだけど。処理したら寮の部屋に置いておけばいいだろう。

ノートに岩塩の鑑定結果と、簡単なスケッチだけ書きとめる。そして拭き草を広げ岩塩一号を置き『有害金属除去』を掛ける。うん……、結構出て来る。どういう原理が働くのか分からないのだけれど分離される金属は粒状になって排出される。有害金属全てが混じっているので、もしそこから鉛を分離したければ再度『鉛分離』もしくは『鉛除去』を掛けなきゃいけないんだけどね。

有害金属の粒をポーション瓶に仕舞う。念の為もう一度『有害金属除去』を掛けておく。これ、一号からの有害金属と二号からの有害金属を分けて仕舞っておいた方がいいのではないだろうか? 一号を再鑑定する。

(簡易)

岩塩・一号:岩塩。食用推奨せず。

(鑑定)

岩塩・一号:有害金属を除去した岩塩。鉄分多し、食用不可。

おお、表示が変わった。この岩塩、鉄分が多いんだ。それで色味がピンクというか赤っぽいのか。いっそのこと鉄も除去してみるか? でも鉄分って若干含まれててもいいというか、全除去しなくてもいいんじゃないか? とは言え、程良く除去するスキルは取得してないぞ……。二号の有害金属を除去してから考えるか。どちらも鉄分過多なら片方だけ含有する鉄を除去すればいいんじゃないの? どうせ食用にはしないんだし。