軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第375話

俺の炭焼き実習は終了。この後、アリサお姉ちゃん達と冒険者ギルドに向かう。俺はアンディーにおやつを食べさせるのが目的で、アリサお姉ちゃん達は依頼任務達成の報告だね。数日はオフにするんだって言ってた。

ムキュウ キュッ

(「あたち くっきー たべたい」)

「また野草クッキーを貰おうね。あれ美味しいもんね」

「あ、従魔用のオヤツの事か。あれはドワーフ用じゃないからなぁ…」

えっ? 俺、美味しく頂いてしまったんだけど。

ブルルッ

(「いいなー」)

ワギュが前脚で地面を叩いて野草クッキーが食べたいアピールをしてくる。流石、魔獣に人気のおやつだけはあるな。

ワギュを馬車組合に預けに行く。移動の間に念話でラパンの近況と、俺が家を建てる可能性がある話をしておいた。勿論、 厩(うまや) を併設する可能性がある事も伝えたよ。動物たちに囲まれて、不労所得で田舎のスローライフに憧れたりもするけど、なまじ都会っぽい『スワロー』に慣れると不便な田舎はちょっとなぁ……。

馬車組合でワギュに【 運魔(ウマ) 】用に作られた野草クッキーを貰った。【 魔増(マゾ) 草(そう) 】の含有率は同じだけれど飼い葉の比率を増やして食べ応えのあるサイズにしてある。多分、俺は食えると思う。

冒険者ギルドでアンディーを休ませる。今日はアンディーだけか。野草クッキーのお金を払おうとしたら奇数の日はサービスで出していると言われたので素直に貰う事にした。ムキュウと鳴きながら俺の肩越しに受付のお姉さんから野草クッキーを受け取るアンディーにお姉さんも笑顔で返してくる。

キュウキュウ

(「ますたー あげるの」)

そう念話しながら野草クッキーをパキッと二つに割って俺に手渡してくる。いや、それじゃあアンディーの食べる分が減っちゃうし。

「アンディーありがとう。でもアンディーの食べる分が減っちゃうよ」

ムキュウムキュウ

(「あたち あげるの」)

「ありがとうね。すみません、お金を払うので野草クッキーを一枚下さい」

「承りました」

結局、サービスデーだけど野草クッキーにお金を払うことになる。アンディーが課金分の野草クッキーを受け取ったので椅子に腰掛けて仲良く食べる事にした。

うーん、この何とも言えないほろ苦さ、目を潰ればそこは多分、京都の老舗で抹茶のお菓子を提供してくるお店で、このお水もきっと有名な湧き水なんだよ……妄想だけど。

「アンディー、美味しいね」

ムキュウ キュウキュウ

(「おいちいの ますたーと いっしょ おいちいの」)

「あの、ミーシャちゃん……」

「アリサお姉ちゃん達もどうですか? ボク、奢りますよ」

「いや、それは普通ドワーフは食べないよ」

「それは従魔用なのです。苦いのです」

『地底 娘(こ) 』の皆んなと冒険者ギルドの受付のお姉さんが引いてるんだけど……。

『地底 娘(こ) 』の皆は今週はオフにするみたい。ヒマな期間は家業の手伝いをしたりソロで簡単な任務を請けたりしてるのでオフだからといって遊んでいる訳ではなかった。月末になったらゴブリンを間引きにいくみたいだけどね。アリサお姉ちゃんはオフの間は斧使いの訓練をするんだって。この後、アリサお姉ちゃんと一緒にリンド=バーグさんの待つ家に向かう。

「今回の護衛任務は有意義だったよ。まさか現場で『 旋斧鬼(せんぷうき) 』のザン=ライズさんから直接指導してもらえるとは思わなかった」

「良かったですね」

「斧の使い方を見直すいい経験だったよ」

「そんなに違うものですか?」

「まぁ…ほら、私は両刃のバトルアックスを使ってきたんだけど、片刃の小振りのバトルアックスの方がいい攻撃を出せるのが良くわかったんだ」

「戦闘時の手が変わりませんか?」

「結構変わった。一番の違いは怪我を意識しなくていい事かな。どんな武器でも両刃は自打しちゃう危険があるからなぁ」

「そうですね。自分を切る可能性があるのはボクも怖いです」

「短い棍を片手で振り回す練習をしなきゃいけなくなったけどね。付与術師の使う 指揮杖(バトン) 回転戦闘法(トワリング) の練習だ」

異世界だとバトントワリングって戦闘法の一つだったよ。と言うことはチアダンスも戦闘法の可能性があるな。

「でも、いいんですか? 両刃のバトルアックスって家伝とかじゃないんですか?」

「違うよ。パパも斧は得意だけど、別にランド氏族が斧特化でもないし」

「そうなんですか?」

「まぁ…、ほら、両刃の大きいバトルアックスって格好いいから、憧れというかナメんなよ…と言うか」

まさかの中二病的武器選択なのかよ。確かにザ・ドワーフって感じだし、いかにもドワーフの冒険者って感じではあるけれど。

「使い勝手はチーウのバールのような物の方がいいんだけどね。ミーシャちゃんのバトルピッケルもいい武器だよね」

「ボクの場合は採掘兼用ですけどね」

話しながら歩くうちにリンド=バーグさんの家に到着。

「久々でもないけど我が家は最高!!」

「帰ったのか」

「リンド、ただいま。注文いいかな?」

「待て!!」

夫婦でもスッと伝わらない事があるのだな。…というか、注文の時に書くノートがリンド=バーグさんの手元に無かっただけだった。そしてアリサお姉ちゃんの要求する内容が連連とメモられていった。